第4章 ― 死とチョコレートの間で ˙⋆✮
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「セオジン、少し休んだほうがいいかも。」
前夜のことから、まだ立ち直れていなかった。目は遠くを見つめ、焦点を失い、まるで心がどこか遠くで捕らえられているかのようだった。
「う…いや…」
アレクサンダーは歯を食いしばった。ただ立って見ているだけではいられない。
「『いや』は認めない。」
彼は、作業していたダイニングテーブルからセオジンを導き、小さなソファに座らせた。
セオジンのフードが外れ、黒髪がふわりと顔を覆う――その柔らかさは、いつもアレクサンダーを天国に誘った。撫でることは、今や彼のお気に入りの趣味だった。
「ちゃんと歌えないなら…何が起こるか、わかってるだろう?」
誰もが知っていた――たった一人でもパフォーマンスを台無しにすれば、全員が代償を払わなければならない。しかし、アレクサンダーが言う意味はもっと深かった。
セオジンは彼を見つめ、その手に包まれるとあまりの安心感に、つい「人生で一番馬鹿なこと」と今でも思う言葉を口にしてしまった。
「アレクサンダー…僕…そうなってほしい。そしてその瞬間が来たら…彼女も一緒に巻き込む。」
笑っていた――喜びの笑みではない。胸にナイフを突き刺されるような痛みだった。
セオジンは、彼にとってかけがえのない存在だった。年上として育ててきたようなものだ。大切な人から、こんなにも胸をえぐられる言葉を聞くのは辛い。
「な、何だそれは!?」
止める前に、言葉が飛び出してしまった。
セオジンは震え、涙がこぼれそうになる。走ってアレクサンダーの腕に飛び込もうとする足も止まらない。しかし、彼はその場に立ち、アレクサンダーが壊れるのを見つめた。
「…せめて、彼女が誰か教えてくれる?」
その質問で現実に引き戻された。やりすぎた、見せすぎた。氷水を浴びせられたような屈辱感が襲う。
「はあ…数日眠ってない奴の言葉を真に受けるな。」
立ち上がろうとする。胸は焼けるように痛むが、考えはただ逃げ出すことだけ。ゆっくりとドアへ向かう――心は全力で走り、叩き壊して逃げろと叫んでいた。
「止まれ。」
アレクサンダーの声はこれまでにない鋭さだった。セオジンは凍りつき、心臓が激しく打つ。すべてを台無しにしたのだと気づいた。
だが、アレクサンダーは叫ばなかった。懇願もしなかった。責めもしなかった。
「外は寒い。ジャケットを着ろ。」
それだけだった。
喧嘩も嵐もなし。ただそれだけ。
セオジンは目を瞬かせ、混乱しながら言われた通りジャケットを手に取り、重い心で外に出た。
静かな部屋に一人残ったアレクサンダーは、壁にもたれ、手で顔を覆った。
「セオジン…お前、本当に俺を狂わせる気か。」
まだセオジンとの言い争いを反芻していると、奇妙な物音が思考を引き戻した。
音は隣の部屋――ハヌル、テヤン、ヒョンウのアパートからではなかった。違う。共有ラウンジの、キッチン近くからかすかに響いてくる。
眉をひそめる。普段なら気にもしないが、近づくほど音は奇妙さを増した。さらに不気味なのは暗闇だ。ラウンジはいつも明るい――ランプ、天井の光、モニターのほのかな光。それが今は?何もない。そこにいる者は、スイッチも入れていなかった。
アレクサンダーは静かに足を踏み入れ、床を踏む音を消しながらスイッチに近づいた。
カチッ。
部屋全体が明るくなった。
そして、スポットライトに捕まったかのように、そこには偉大で、壮麗で、触れられぬアドリアンが――床にあぐらをかき、チョコバーを頬張っていた。
二人とも凍りつく。
アドリアンの目は見開かれ、顎は驚きで緩んでいる。一瞬叫ぶかと思ったが、代わりに慌てて立ち上がり、横へ飛び出して逃げようとした。
アレクサンダーは反射で追いかけた。
「何してるんだ!」
アドリアンはすぐに諦め、床に座り込む。恥ずかしさで顔を赤くしながら、うめき声を上げる。
「放っておいてくれ!お菓子が欲しいなら持っていけ!お願いだから行かせて!」
強がっているように見せたが、声の震えが本心を示す。怒ってなどいない。怖いのだ。
アレクサンダーは歩みを緩め、アドリアンと同じ目線まで下がった。
「チョコなんてどうでもいい。持ってろ…でも、なんでここにいる?迷ったなら、予言者を呼ぶけど――」
「やめろ!」
アドリアンは慌てて口を押さえ、必死に静かにする。目は切迫して燃えていた。
「冗談でも言わないで。見つかったら…俺は終わりだ。」
アレクサンダーは目を瞬かせ、アドリアンの手をそっとどけ、顔を探す。答えはない。
「…じゃあ…えっと…俺の部屋、見たい?」
言葉は止められず口から出た。頭の中で考えたものとは全然違う響きだった。
アドリアンは視線を落とす。アレクサンダーの心臓は喉元まで飛び出そうだった。
そして、不意にアドリアンが顔を上げ――明るく無謀な笑みを浮かべた。
「さあ?何を待ってるの?!行こう!」
その瞬間、アレクサンダーは、自分がどれほどのトラブルを招き入れたかを悟った。




