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婚約破棄されたので、王宮を出て制度を作り直します ~王国の財政を握っていたのは私でした~  作者: 月守いとは


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第67話 効率の盾

 帝国の回答待ち、二日目。


 公開枠組みは静かだった。


 だが、水面下では緊張が走っている。


 そのとき、ハルフェンに一人の男が現れた。


「久しぶりですね」


 カイ・ルーベルト。


 第4章以降、前線から一歩引いていた彼が、

 再び会合室に入る。


「参戦ですか」


 エリシアが問う。


「防衛戦でしょう」


 即答だった。


 カイは、資料を広げる。


「帝国は公開を読んで、弱点を選択した」


「ええ」


「ならば、弱点を減らせばいい」


 単純だが、強い発想。


「どうやって」


「効率を、内側に使う」


 彼は新たな指標を提示する。


『依存分散指数』


 ・港湾依存率上限設定

 ・代替経路構築速度の数値化

・中間層資本耐性の最低基準


「効率は、淘汰のためだけではない」


 カイは淡々と続ける。


「構造を強化するためにも使える」


 エリシアは資料を読み込む。


 依存率が一定値を超えた場合、

 自動的に改善勧告が表示される。


 資本集中が過度になれば、

 分散誘導指標が点灯。


「透明性は、弱点を晒す」


 カイは言う。


「だが、同時に改善方向も示せる」


 ヴァルドが呟く。


「公開を“攻撃耐性設計”にする」


「そうです」


 効率は刃だ。


 だが、盾にもなる。


 夜。


 王宮。


 レオンハルトに報告が上がる。


「依存分散指数を公開枠組みに追加する提案です」


「帝国への対抗策か」


「直接ではありません」


「構造改善です」


 王子は頷く。


「理念を曲げていないな」


「ええ」


 翌日。


 公開枠組みに、新たな指標案が掲示される。


 市場は即座に反応した。


 特定港湾の依存率が可視化される。


 投資家の一部が、自主的に分散を開始。


 帝国の選択圧力は、やや鈍る。


 イグナーツは報告を受ける。


「……興味深い」


 帝国側が選んだ弱点が、

 即座に補強され始めた。


「彼らは、学習が速い」


 側近が言う。


「透明性は、適応速度を上げる」


 イグナーツは静かに言った。


「戦略としては悪くない」


 ハルフェン。


 エリシアとカイが並ぶ。


「効率は、あなたの武器でしょう」


「武器は使い方次第です」


 短い沈黙。


「あなたが敵でなくて良かった」


 エリシアが言うと、


 カイは、わずかに笑った。


「敵は、構造です」


 第5章は、攻防の均衡に入り始めた。

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