武器はロマン
例によって昨日の記憶はない。
味噌と鰹節をお湯でといただけの味噌汁とパックのままの豆腐に冷凍枝豆を食べながら昨日の配信アーカイブを確認している。
昨日はヨイドレの武器選びと銘打って配信してた。
画面の中では酔っ払いバージョンでたくさんの武器を振り回している。
何回かの探索で貯めたお金で安い武器をたくさん買ったのだ。
チャンネル登録者も順調に増え5万人に到達している。ありがたいことだ。
本当はアーカイブを編集して動画にしたり、ショート動画を作成しする必要があるのかもしれないが、現状では有志の切り抜き動画に新規視聴者の呼び込みを頼っている状態だ。
自分でやるのは面倒くさいし働かないと決めたのにどうかと思う。
やるとしたら、どこかに依頼するか、税金対策のために会社は立ち上げるつもりだから雇うこともできる。
ともあれ、武器の選定だ。
本当に色んな種類の武器を用意した。
直剣、曲剣、両手剣、短剣、細剣、大剣、双剣、鉈、斧、斧槍、鉈槍、棍棒、鎚、鎌、弓、暗器、銃、などなど…。
メジャーな物から誰も知らないだろというようなものまでとにかく集めまくった。
二週間はかかったな。お金もかかった。
途中から楽しくなってしまってやめ時を見失ってしまった感はあるが、そのおかげで僕の武器コレクションは潤沢である。
動画を見ていると、ほとんどの武器をある程度扱えるようだった。
なんだ、コイツ。
コレだけ集めれば一つは他より一段と得意な武器が見つかるかと思ったが、横並びである。
こうなると自分の戦闘スタイル、強みに合わせて絞っていくしかない。
酔っ払いバージョンの僕の強みは戦闘IQの高さにあると思う。特段、速くも、力強くもない僕が終始相手を圧倒しているのは一つ一つの動きが次に、そのまた次に繋がって僕の独壇場が形成されている。
そしてなにより自由でトリッキーな動き。型にはまらない意味のわからない派手な動きが相手の読みをかわし、確実に相手を積みの盤面へと導いている。
相手の意表を突き、自分ペースに持ち込み、ずっとそのまま。
それが僕の強さの真骨頂だ。
それと相性がいいのは手数の増える武器、丈夫で多少雑に扱っても構わない武器、自分の動きを制限しない武器。
なにより自分が気に入った武器。
…コレが1番大事かもしれない。なんせ大体どんな武器でも僕の強みを消すことはないのだから。
そんな事をうんうん悩み、二日酔いの頭痛と合わせて寝込み、翌日。
決めた。
爽やかな朝日に選んだ武器を掲げた。
左手にはシンプルで丈夫そうな形状の片刃の短剣。
使い勝手の良さ、取り回しの良さ、できることの多さでいったらコレに勝るものはない。
いろんな武器を手に取ってみたが、この手の中におさまり、こねくり回せるミニマムな感じがとてもいい。
腰の後ろに2本、左腿に1本。
切ってよし、突いてよし、投げてよし、受け流してよし。
主武器というよりサブ武器として運用する予定だ。
右手にはマカナ。
木の板に溝をほり、黒曜石の刃を挟んだ木剣である。
アステカやマヤ文明で使われていた刀剣で、トドメを指すというより行動不能にして人間の生贄を用意するのに最適だったらしい。
コレに関してはもう趣味だ。
見た目がかっこいい。エキゾチックで奇妙な温かみがあるのだ。武器集めの時一目見て、この武器に決まりそうと予感はあった。
使ってみた感想としては「とりまわしも悪くないし、モンスターに普通の刀傷より肉をこそぎ落としてひどい怪我を与えられるし、手に馴染む。切れ味は良くないが、熟練すればモンスターを真っ二つにすることもできそうだ」とのこと。
使ってみて悪くないのなら、この武器の魅力には抗えない。
ということで、マカナが僕のメイン装備になった。
他にも使ってみたい武器はたくさんあった。
幸い、僕は扱えない武器はなさそうなので配信のネタとして違う武器で戦う日も作ろうと思う。
鏡の前でマカナを右手に、短剣を左手に逆手で持つ。
思わずにやけた。
よし。今日はダンジョンに行こう。




