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三節 盾の神器を手に入れました


「これって生き物の大きさじゃなくない?」


 俺は隣にいる盾ドワーフことドワンに文句を言った。


 ちなみにドワンはドワーフ族の戦士長だ。


「神獣だからな」


 ドワンは何を驚いているという感じで俺を見ている。


「いやいや、神獣でも大き過ぎるでしょ」


 目の前にいるドラゴンは瞳だけで視界が塞がるほどの巨体だった。


【つべこべ言ってないでさっさと戦え】


 リベラルがいつものツッコミをしてくる。


《わかりましたよ》


 やれやれという感じで俺はドラゴンの前に降り立った。


「ほれ」


 ドワンが持っていた盾を俺に投げて寄越す。


「どうも」


 それを受け取り俺は左手に持った。


《あの、今更なんだけど》


【何だ】


《この大きさでドラゴンの攻撃って防げる?》


 盾の大きさは明らかに足りていない。


【まだ不完全だが、鎧と共鳴させて力を引き出せ】


《共鳴って?》


【ヒーローが必殺技を叫ぶのと同じことをやればいい】


《精霊がヒーローって》


 ときどき出てくる精霊らしからぬ発言に思わずツッコミをしてしまう。


【神器、アイギスの盾と叫べ】


 リベラルは無視して話を続けた。


《久々だなこの感じ》


 慣れてきたつもりだったが、恥ずかしさが込み上げてくる。


「何をボケッとしている!」


 ドワンの怒鳴り声で視線を上げた先には業火の火の玉が迫ってきていた。


「神器、〈アイギスの盾〉!」


 俺は咄嗟にヒーロー台詞を叫ぶ。


 白銀の輝きが盾から迸り、巨大化した盾がドラゴンの攻撃を吸収した。


「おお~」


 盾は役目を終え、元のサイズに戻っていく。


「俺は普通のサイズで頑張ったのにな」


 高みから見ていたドワンはずるいと言いたげな顔をしていた。


「よく耐えれたな」


 俺は驚きと関心の声を出す。


「頑丈さがドワーフの取り柄だ」


 ドワンは誇らしげに言った。


「普通死ぬだろ」


「ブオォォォォォ」


 ドラゴンの鼻息だけで吹き飛ばされそうになる。


「くっせ!」


 神獣の鼻息の臭さに叫んでしまった。


 俺は盾を発動させ鼻息を防いだ。


【コラ、神器を何だと思っている】


 盾の使い方にリベラルが怒ってくる。


《だってさ~》


 俺は子供みたいにブーたれた。


「ブオォォォォォ」


 お怒りになったドラゴンが烈火の炎を俺に向かって吐き出す。


「ちょい待って」


 俺は慌てて盾で炎をかき消した。


「ブオォォォォォ」


 ドラゴンはさらに攻撃を繰り出す。


「ドワン、そろそろいいか!」


 俺は炎に襲われながらドワンに呼び掛ける。


「おお。お前が盾に選ばれし者ということは十分わかった」


 条件は満たしていなかったが、ドワンは大声で合格を出した。


「よっしゃ」


 神獣に反撃するわけにもいかず、ただ耐えるだけに退屈していたので俺は歓喜した。


「ブオォォォォォ」


 攻撃を吸収されるだけで不完全燃焼なドラゴンは完全に怒りの声を上げる。


「またな」


 俺はドワンを抱きながら空に浮かび、ドラゴンに別れを告げた。


「ブオォォォォォ」


 飛び去ろうとした俺にドラゴンの怒りの一撃が放たれる。


「いやいや、もう終わったから」


 俺は寸前で攻撃をかわす。


「仕方ない」


 俺は空中で動きを止め、ドラゴンに向き直った。


「ちょっと眠ってくれ」


 右の手の平をドラゴンへ向け集中する。


「〈ブリザード〉!」


 かなりの魔力を込めたのだが、凍らせるので精一杯だった。


「神獣ハンパないな」


 すぐに湯気が立ち始めたのが見え、俺はゾクっとする。


「さっさと帰ろう」


 俺はドラゴンが復活する前に飛び去った。

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