四節 また敵国に乗り込みました
《じゃあ突っ込みますか》
俺はグルス帝国が見える距離の空中を飛んでいた。
【馬鹿者めが】
無謀な戦いに赴こうとしている俺にリベラルは呆れた声を出す。
《はいはい》
精霊の小言をいつものように受け流した。
「おおおーーーーー」
俺はグルス帝国めがけて全速力で突っ込む。
ドーン、ドーン、ドドーンと激しい砲撃が次々と襲ってくる。
「あぶねえなっと!」
かわしながら砲台へと魔法で攻撃を返していく。
ドゴゴーン。
スピードを出しすぎて止まりきらず、俺は城下街の家に激突してしまう。
「はぁ~死ぬかと思った」
【安心しろ。馬鹿者はしぶとい】
《どうせ馬鹿者ですよ》
俺は立ち上がりながら精霊相手にいじけてみせる。
「せりゃーーー」
一息つく間もなく、頭上に現れた敵が剣を振り下ろしてきた。
「はあ!」
俺は受け止めながら敵を振り投げる。
「相変わらず素晴らしい動きですね」
襲ってきたのはゴルザだった。
「お前とは戦いたくなかったんだけど」
素直な感情が言葉となって出てくる。
「私は戦いたくて我慢できません!」
ゴルザは容赦なく両手の小太刀で連撃を繰り出す。
「そっちは相変わらず面倒くさいな」
俺は攻撃を最小限の力でいなしていく。
【戦いが長引くとまずいぞ】
《わかっているよ》
「はい!はい!はい!」
どんどん興奮していくゴルザの攻撃は激しさを増す。
「あ~くそ!」
苛立ってきた俺は一旦距離を取る。
「神器、炎龍の陣!」
「やる気になってくれましたか」
「さあね」
「じゃあ、嫌でもやる気になってもらいましょう」
ゴルザはお構いなしに襲い掛かって来た。
「だから付き合っている暇はないって」
俺は炎を剣に纏ってタイミングを見計らう。
「魔邪双龍斬!」
「炎龍剛波斬!」
俺とゴルザの技が同時にぶつかり合った。
「おおりゃーーー」
パワーアップした俺の一撃でゴルザは物見櫓らしき建物に叩きつけられた。
「マジックプリズン」
一瞬怯んだのを見逃さず、俺はゴルザを魔法で封じ込める。
「はぁ、はぁ、は~」
俺は思わず膝をついて体を休めた。
【休んでいる暇はないぞ】
リベラルが喝を入れてくる。
《わかっているよ》
強がった返事をしつつ、軽くふらつきながら立ち上がった。
「おっしゃ!待っていろよキーア」




