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二節 さっそく政治に巻き込まれました


「お、落とすなよ」


「大丈夫だって」


 いつもの凛とした姿とは真逆のキーアが背中でおどおどしている。


「そろそろ本国だ」


「じゃあ下りるか」


 さすがに本国の領土に下りるわけにもいかないので、手前で着地した。


「王様ってどんな人?」


 俺は歩きながらキーアに質問する。


「今の王は身分に関わり無く、実力があれば起用される名君だ」


「ふ~ん。それなら別に心配ないと思うけど」


「王ではなく、王族たちが曲者なのだ」


「どういうこと?」


「前にも言ったが、王はあくまで議長で、王族を無視すればすぐに解任されてしまう」


「いろいろ難しいのね」


 違いはあれど、俺の世界と同じ所もあるのだなと思った。


「あれが本国だ」


「お~、ザ!お城って感じだな」


 キーアたちの要塞もすごかったが、ここは数十倍は大きい城塞がそびえ立っている。


【だから、お前はボキャブラリーに品がないな】


 リベラルが厳しい指摘をしてきた。


《素直なリアクションって言ってくれよ》


「私から離れるなよ」


「りょう~かい」


 俺はいまいち緊張感が持てず、力の抜けた返事をする。


「東砦族長のキーアだ。議会からの命で勇者殿と共に参上した」


「は!ご苦労様です。どうぞお通りください」


 西洋甲冑に似た鎧を着た兵士が巨大な門を開く仕掛けを作動させた。


 ゴゴゴと音を響かせながら門がゆっくりと上がっていく。


「行くぞ」


「ああ」


 いつもより仏頂面になっているキーアの後に続いた。




「ようこそ勇者殿。よくぞおいでくださった」


 長身で筋骨隆々のイケメンな王様に爽やかな笑顔で出迎えられる。


「私はこのクリア共和国を任せられている者だ。サルマと呼んでくれ」


 どんな横柄な政治家かと思ったが、えらく気さくな中年オヤジだ。


「王、このような輩に軽々しく言葉を交わされては」


 横に控えている側近らしき男が王に注意してくる。


「いいではないかギール」


 王はハハハと笑いながらギールをなだめた。


「それで、さっそく本題なんだが」


 サルマはさっきまでの軽い態度から真剣な表情になる。


「王族たちが勇者殿の実力を疑っていてな」


「俺の実力?」


「ああ。キーアたちからの報告は聞いているのだが、どうも納得していないらしい」


「そうですか」


《納得出来ないって言われてもな》


 俺はどうしたものかと困ってしまう。


「それでだ。我が軍の将軍と決闘をしてほしいと思って来てもらったのだ」


「決闘ですか?」


「そうだ。悪いが頼む」


 また軽い調子に戻ったサルマがニコッと笑いながら拝んでくる。


「王、さすがに将軍との決闘はどうかと」


 黙っていたキーアが割って入ってきた。


「俺はかまわないよ」


「だが」


「それで丸く収まるなら、別にいいじゃないか」


【人が良すぎるだろ】


《異世界でも、俺の世界でも助け合いが大事ってことだよ》


 リベラルが呆れていたが、俺は聞き流す。


「勇者殿、感謝する」


「いいえ、気にしないでください。あと、一郎でいいですから」


「ハハハ。本当に助かる。ありがとう一郎」


《本当に気さくだな。さっそく呼び捨てだし》


 想像していた王様と違い過ぎて、俺はちょっと苦笑いになってしまう。

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