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理想の恋人と現実の・・・  作者: 雪 まりあ
~気になる人~ 悠貴
22/26

【9月】~彼女と出会う~

お久しぶりな更新です。

……妄想暴走の短編(続きそうな雰囲気がある)を投稿してしまいました。


さて、悠貴編では清凪さんと初の接触です。恋心を自覚した悠貴の心情は如何に?

今朝吉野先生から、ノートの持ち主と合わせてくれるというのを聞いてから、1限目から4限目のあいだずっとそわそわしていて、僕にしては珍しく勉強が手につかなかった。

4限目が残り10分くらいの時間になってから、人気(ひとけ)のない廊下を通って生徒指導室に行った。

4時限目には担当する授業はなかったようですでに吉野先生は待機していた。


「告白でもするのか?」


などとからかわれながらノートの持ち主の事を待っているとドアがノックされた。


「あぁ、いるよ。はいれ~。」


一度僕の方を見てにやりと笑った後、とまったりとした雰囲気で外にいる子に中に入るよう促した。


入ってきた女の子は、肩より少し長いくらいのさらさらしていそうな黒髪、制服を着崩すこともなく真面目そうな女の子。

その子はチラリと一度悠貴を見たが、すぐに目線を吉野先生に向けていた。


「しつれいします」


そう言った後、悠貴にも会釈してくれた。

悠貴はその女の子を見て驚いた。少し前に恋心を自覚した相手、図書室の彼女だったから・・・。


 まさか、彼女がノートの持ち主で、シーユンとエヴェリーナの事を知っているなんて。


僕がそんなことを考えていると吉野先生が簡単に僕たち二人の紹介をした。

そして、腕時計を見るふりをして僕にだけ見えるように親指を立てたグッドサインをしてニヤリと笑って、去って行った。


僕がドキドキしながら彼女にノートの事についてのお礼を述べると、彼女は事務的のようにその言葉を受けてすぐに部屋を出ていこうとした。

彼女とせっかく接点を持てたというのに、その機会を逃がすことはできない。

動揺で早口にならないよう、持ってきていたシーユントエヴェリーナの絵の描かれたルーズリーフをひらりと彼女に向けながら声をかけた。


「ねぇ、これ…君が描いたの?」


すると彼女は可愛らしい悲鳴をあげてルーズリーフを僕の手から持って行くと、早口で


「落書きです。気にしないで下さい。気にしたら負けです!」


と言って逃げ去ろうとするのでつかまえると、彼女はうっすら涙を浮かべて僕の方を見た。

その涙を見て僕はひどく動揺してしまった。

でも、確かに自分の描いた絵を急に出されたらびっくりするだろうなと思いつつ、聞きたかったことを聞いて見ることにした。


「それって、シーユンとエヴェリーナ…?」


「そう、シーユンと、リーナ嬢の……え?シーユンとエヴェリーナ…って?」


驚いたような顔をしている彼女もかわいいと思って動揺してしまい、言葉がどもりながらも説明する。

難しい数学の問題の答えの説明をする時もこんなに焦ってどもることもないというのに…。

ぐちゃぐちゃな説明に彼女は真面目な顔をして、僕の言いたかったことをスラスラとまとめてくれた。


こういう風に僕のぐちゃぐちゃな発言をきれいにまとめられると、やはり彼女がノートの持ち主なのだとわかる。ノートをまとめることがうまいように、話しをまとめることがとてもうまいのだ。


僕はどうにかぐちゃぐちゃになった頭を再起動させると、さらに「君も夢を見ているのか」と質問をする。


「……も、か。会田くんは見ているのか。あぁ、ごめんなさい。誤解を生む言い方でした。わたしは二人の夢を見ていますよ。」


彼女は冷静にそう答えるので、さらに言葉を続けようとするとチャイムが鳴ってしまう。

僕が引き止めるかもなく、彼女は部屋から去って行ってしまった。


僕が呆然としていると、吉野先生が入れ違いに入ってきた。


「どうだ、告白はでき……その顔じゃ、振られたのか……。」


吉野先生が不憫そうな顔をして問題発言をするので、焦って「違います!まだ振られていません!」と返してしまう。


「まだ…?あぁそうか、これから告白するんだな。まぁがんばれ。高山は放課後印刷室でノートをコピーしてから図書室に行くはずだからな~。」


ニヤニヤとする吉野先生にさらにからかわれてしまうのだった。



放課後、彼女がいつも本を読んでいる図書室の机で勉強をしながら待っていた。


彼女がちらりとこちらを見て、僕を避けるように別の机に座ろうとするので、焦って声をかける。

彼女は不思議そうな顔をしていたが、僕が自分の隣の椅子をひいて「高山さん…?」と緊張気味に名前を呼んで待っているとゆっくりと歩いてきて隣に座ってくれた。


 うれしい。


それから、彼女はクリアファイルを差し出して今日の授業の内容の書かれたノートの写しを渡してくれ、どうして授業に来ないのか、と尋ねてきた。

そして「人に酔う」と伝えると、「三半規管が弱いんだね。人がいっぱいいると乗り物酔いに似た状態になることがあるらしいし。」と答える。


僕は彼女の博識さに驚いていると彼女はとても柔らかく微笑んだ。

その顔に見とれてしまう、真っ赤になったその顔を彼女に見られないように一度顔をそらした。


何かを勘違いしたのか、彼女は笑ったことを謝って今度はシーユンとエヴェリーナのことを話してくる。

僕も急いで相槌をうつ。


「そうか…、会田くんみたいな感じなのか。」


エヴェリーナの事を話していると急に小さな声でそんなことを言うので、何のことかと思って見つめる。

それだけで、わかってくれて話の続きをする彼女。


「えぇと。エヴェリーナさんがこの学校にいたら、モテモテなんだろうなぁって思ったんだ。それでさ、会田くんもかっこいいでしょ。きっと会田くんみたいな感じになるのかなぁと。男版エヴェリーナさん、みたいな。あぁ、でもエヴェリーナさんのように決まった人はいないのならば、更にモッテモテだね!」


とんでもないことを、彼女に言われた。


 僕が、かっこいい…と、モテモテだろうね、と。


好きな人にそんなことを言われて、嬉しくないわけがない。

そして、エヴェリーナの事を高く評価しているらしいので、彼女のことが好きなのかと問うと肯定する。

彼女のことを努力家だといい、「シーユン一筋で、一途で、健気で、守ってあげたいと感じ、自分が男だったら好きになっちゃう気がする。」とまで言っていた。

彼女の好きなタイプを聞いて、真面目に考える。


 僕は努力をしているだろうか、彼女に会うために何か努力をしてきただろうか。

 努力する男になれば、僕は彼女に好かれるだろうか…?


それからも彼女は博識なところを見せてくれた。僕は頷く事しかできなかった。

教科書や辞書以外からの知識を彼女はとてもたくさん持っていた。

彼女の魅力をまた一つしり、更に好きになってしまう自分がいた。


彼女が 帰るというので、僕は彼女と離れたくなくてもう少し話をしたいと思って家まで送らせてほしいと頼んだ。


そして、自分の荷物を鞄に片付けて彼女の鞄も一緒に持って「行こう?」と声をかけると彼女は鞄は自分で持つから返してほしいといわれてしまう。

高山さんは自転車で登校しているということなので、2人で自転車置き場に行く。


 あぁ、いけない。陽菜にいつも鞄とか持たされるからつい…。

強引な奴だと、人のものを触るなんて無神経な奴だと思われてはいないだろうか……。


僕はそんなことを考えながらも高山さんの後についていく。

自転車置き場につくと、彼女は籐の籠に自分の鞄を入れてから僕に向かって手を出す。

考え事をしていた僕はすぐに反応ができない。


「会田くんの、自転車のカゴに入れるから、ちょうだい?」

と言葉でも言われて、悩みつつも彼女に鞄を渡すとすぐに彼女の鞄の上にポンと置く。

彼女は自転車をひきながら、また話し始める。

妹の事、僕の知らない間に彼女と妹は知り合っていたようだ。


僕の家の前につくと、待っているよう伝えてはやる気持ちを押えながら自室に戻り鞄をベッドに置く。

急いで着替えを済ませて彼女のものに行くと、彼女は自転車を止めて壁に寄りかかって携帯電話を触っていた。


「ごめん、お待たせ。」


彼女は不思議そうな顔をしていたが、僕は彼女の自転車のところに行って自転車を引く。


 不思議そうな顔をされたけど、僕「送る」って言ったから最後まで送るし。


そう伝えて彼女の家まで一緒に行くことになった。


僕にとって今日はとても楽しくて、嬉しくて、ドキドキする一日だった。

そして、彼女に会うためだけでも明日は教室に行ってみようと思う。

後、彼女に教えてもらった三半規管を強くする運動もしよう。



 よし、明日はジョギングに加えて、腹筋・背筋・マット運動を加えよう。腹筋なら夜でもできるから、寝る前にでもすることにしよう。

 人酔いを治して、教室に行けば彼女に毎日会うことができるんだからな!


彼女に相応しい男になれるよう、努力しよう そう決意した。


どうにか書けました。

次は教室に行ってからのことになるのでしょうね。はい、例によって例のごとくいつになるかはわかりませんが。←

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