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理想の恋人と現実の・・・  作者: 雪 まりあ
~気になる人~ 悠貴
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【9月】 ~迷い込んだルーズリーフ~

悠貴は【図書室の彼女】への恋心の自覚、そして次は【ノートの映しを持ってきてくれるクラスメイト】に何か異変が・・・。

日差しの暖かい日、川辺で二人が座り込んで幸せそうに語らっている。


エヴェリーナが微笑み、黒髪の青年に何かを話している。

二人が目を向けた先には小さな青い花が一つの茎にたくさんついた植物があった。


シーユンがエヴェリーナの瞳を見て何かを伝えると、エヴェリーナは家庭教師に何かを教えてもらっていた時のようにコクコクと頷いていた。

彼女の癖なのだろうか、何かを教えてもらうときはそうやって相槌をうっている。


*

*

*


悠貴は5月くらいから出来る限り学校へ出席しようとしており、9月に入ってからは彼女の姿を見たい一心で、毎日(図書室に、だが)出席するようになっていた。

・・・のだが、久々に熱を出してしまった。

熱と言っても微熱程度だが、心配した母に休みなさいと言われておとなしく休むことにしたのだった。


「う……あぁ、寝ていたのか……。」


熱と言っても微熱なので、午前中は母に言われ大人しくベッドの中に入っていたのだが、昼には平熱に戻っていたのでそれを母に知らせてから了解を得て、昼ごはんの後は机の前に座って勉強をしていた。


 ご飯の後は、つい眠くなってしまうよなぁ・・・。


ぼーっと考えてながら、キッチンの冷蔵庫から飲み物を取りに行っていると、玄関の方から カコン という音が聞こえてきた。


 あっ、ノートの写しを持ってきてくれたのかな。


キッチンの掛け時計を見てそう思ったので、郵便受けまで出ていく。

持ってきてくれたクラスメイトはクリアファイルを郵便受けに落としてすぐに帰ったのか、後姿も見えなかった。


 クリアファイルの子もなんか謎な子だよな。持ってきてくれる子は女の子だったんだっけ?


4月から晴夜の接待攻撃(?)で、晴夜のいない時間にクリアファイルを届けるようになったクラスメイトだが、一体何を考えながら持ってきてくれているんだろうかと今さらながらに思った。


授業中以外は別に勉強熱心でもないのに、担任に頼まれたからと毎日ノートの写しを持ってきてくれる。

考えて見れば、別に毎日持ってくるのは正直面倒くさいことのような気がする。

先生に頼まれただけなのだから、一週間分を金曜日にまとめて持ってくるとかでも良いような気もする。

 悠貴にとっては毎日あのノートを見ることができて、一日遅れとはいえクラスの中で一緒に勉強している気持ちになれるので嬉しいが。


 毎日持って行くように、担任に頼まれたのかなぁ?


考えながら、麦茶を注いだコップとクリアファイルを持って部屋に戻った。


麦茶を一口飲んでから、クリアファイルからノートの写しを出していく。

ノートの写しのあとにルーズリーフが一枚入っていた。


 クラスメイト紹介かな?


と思って、ルーズリーフを取り出してみる。


「え、なにこれ…?」


つい声に出して誰にともなく聞いてしまった。

それもそのはず、そこには二人の人物の絵があり、それは悠貴の知っている二人だった。


「シーユン…と、エヴェリーナ…?」


悠貴の夢の中に時々出てくる二人だった。

絵の中の二人はとても幸せそうに笑っている。

男の方の絵は夢で見るシーユンよりも少し美化されている気もするが、エヴェリーナの瞳を通して見るあのシーユン。

女の方の絵は髪の毛の長さも、目の大きさも幸せそうに微笑む頬もまさにあのエヴェリーナ。


色はついていないが、悠貴の見慣れたそのふたりの姿にしか見えなかった。


この絵が入っていたのは、いつもノートの写しの入ったクリアファイルで、この絵の感じはクラスメイト紹介の時に名前の横に描かれていた似顔絵に似ていた。


 つまり、このノートの写しを持ってきている子は、シーユンとエヴェリーナのことを知っているのだろうか・・・?


気にはなったが、今日はもう遅いので明日担任にこのノートを取っている子の事を詳しく聞こうと思いながらいつもよりも早めに寝ることにした。



次の日の朝はいつものジョギング後にすぐ学校へ向かった。

登校してすぐ職員室へ向かって担任の先生に声をかけた。


「吉野先生。おはようございます。」

「ん?あぁ、おはよう会田。今日は早いんだな。」


吉野先生はスポーツマンタイプなのだが、実は運動部の部活の顧問をしていない。

今年は生徒指導をメインにしていくとか言っているようなのだが、去年まで担当していた部活が無くなったので、暇になったという話も聞いたことがある。


いや、まぁ先生のことはいいか。


「はい、今日はちょっと先生にお聞きしたいことがありまして……。いつもノートを届けてくれている子の事なんです。

 毎日届けてもらっているのに、その子の事全然知らないのでその子の事を知りたいのと、あとお礼を伝えたいと思いまして。」


そう話をすると、なぜかにんまりと吉野先生は笑っていた。


「そうかそうか。“その子の事を”知りたいのか。そうかそうか。大丈夫だ。この学校は進学校だが、健全な男女交際なら認めているぞ。」


大きな体のごつい顔に反して、恋バナをぶつけてくるとは思わず、悠貴は「……え……。」と表情が固まってしまった。


「うんうん。わかった。じゃあ、昼休みにその子を連れてくるから、昼になったら生徒指導室までくるんだぞ。先生、邪魔しないから安心しなさい。うん。」


そして、満面の笑みのまま職員室から送り出されてしまった悠貴だった・・・。


 吉野先生って、悪い先生じゃないんだけど。話を最後まで聞いてくれてない気がする・・・。


職員室のドアを見つめて、一つため息をつくと悠貴はいつもの図書室へと向かったのだった。




悠貴が去って少ししてから、悠貴がため息をついていた職員室の前では一人の女の子が同じようにため息をついて職員室のドアを見つめる姿があった。


「しつれいしまーす…。」


女の子は一つため息を落とした後、職員室のドアをあけて中に入って行った。


あれ?まだ清凪さんと絡めないんですけど・・・?

うん、次回は確実に絡みます、きっと絡みます。

次回の投稿がいつになるかはわかりませんけど←


【吉野先生】

悠貴・清凪の担任。生徒指導の先生。運動部の部活顧問はしていない。

面倒見のいい先生ではあるのだが、人の話を話半分に聞いていることも多い。

清凪には【見た目に寄らず口八丁。丸め込むのが上手。】と思われている。


丸め込むのが上手の割に、人の話を聞いていない。

……それってある意味乙女ゲーのヒロインに向いてない!?←

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