まだ【4月】の会田家
今回、悠貴目線の夢の中からお話が開始されます。
花畑の中にいた。可愛らしい小花のたくさん咲いている花畑。色鮮やかな景色が一面に広がっていた。
その花の香りも感じることができる。
あぁ、夢だな。
と、悠貴は思った。
その花畑に悠貴は一度も行ったことはないが、何度か見ていた。
目は一面の花畑を見ているが、悠貴は手を動かすこともしゃべることもできない。目線は勝手に動き、体は勝手に花に触れ、香りを嗅いで、そして微笑みに目元と頬を動かしている。
それをしているのは、エヴェリーナという女性。悠貴はその女性の中に入り込んだ居候の意識。
本当にただの夢なのか、体に実際入り込んでいるのかはわからないが、この現象は小さいころから起こっていた。
花の香りを楽しみながらエヴェリーナは誰かに話しかけているが、その言葉は理解できない。
日本語ではもちろんないし、英語やフランス語、その他の悠貴が知りうる限り、調べられる限りの地球上の言語ではないということも知っている。
言語を理解できないが、その女性がエヴェリーナということを知っている。小さい頃から、周りの人間がその女性を呼ぶ時に使っていたから。
さらに、人名というならもう一人の名前も知っている。
シーユンという おそらくその女性と同い年の男性の名前。
その二人はたぶん、恋人同士といって差し支えないだろう・・・。
二人は花畑にいた。
・・・まぁ正確には、エヴェリーナは花畑の真ん中で花を楽しみ、シーユンは少し離れた大きな木の下で持参した本を読んでいた。
それは悠貴が夢の中で見る、二人の日常の風景だ。
悠貴はその穏やかな二人の一日の姿を夢の中で見ているのだ。
*
*
*
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
機械的な音が聞こえてきて、目を覚ます。
悠貴は枕元に置いてある目覚まし時計を止めた。
先ほどまで見ていた夢を思う。
「ほんと、何をしゃべっているかはわからないけど、いつも幸せそうな二人だよなぁ…。」
そう呟いてから、ベッドから抜け出してTシャツ、パーカー、ハーフパンツという動きやすい服に着替える。
朝はまだ少し寒さを感じるが、走っているうちにそれもなくなるだろう。
悠貴は人気のない朝のジョギングに出かけた。
ジョギングは体力を改善させるために行っていることだ。体力はついてきたように思うのだが、なかなか人ごみには慣れることはない。
適度にジョギングしたところで帰宅し、シャワーで汗を流してから制服に着替えて学校へ向かう。
悠貴が学校へ向かうタイミングとしては、朝練のある部員が登校して部活動を始めた頃である。
同じ方向に歩いていようと酔うものは酔うのだ。久しぶりの登校中に人の波に酔うのは避けたい。
登校するとまず職員室に向かう。
教室に通えない状態なので、まず登校したことを担任に知らせないと出席にもならない。
職員室に行き、担任の先生を見つける。
悠貴のクラスの担任は体格からして運動部の顧問をしていそうなタイプの人なのだが、そうではない。
生徒指導の先生ではあるが・・・。
「先生。おはようございます。」
「おおっ、おはよう。元気か?」
声をかけると、ニッと笑う体格のいい担任の先生が答えた。
「この事についてお聞きしたいんですけど…。昨日、クラスメイトの子がこれを持ってきてくれました。」
空のクリアファイルと、それに入っていたノートの写しを取り出してから話を切り出した。
「あぁ、それな。とても読みやすいノートだろう?なかなか授業に出てこられない会田にも読んでわかりやすいだろうと思ってな。
ちょっとその生徒に頼み込んでコピーして家に届けてもらうようにしたんだよ。役に立ちそうだろう?」
聞く前にいろいろと教えてもらってしまった・・・。
『お聞きしたい』と言ってしまったので、何かを聞かなくては・・・・・・。
「あ~、そう…なんですか…。聞きたいことなのですけど。このノートの持ち主の…学年順位って…?」
いや、そんなことを聞いてどうするんだ、自分・・・!少しは気になっていたことだったけど・・・。
担任の先生は不思議そうな顔をした。それもそうだろう。なんで順位なんかを知りたいのかって思うだろうな。
「学年順位か。まぁ、4月だからまだ定期テストはないからなぁ。だが1年の頃なら学年で30~50くらいじゃないかと思うが…。」
「あ、そ…そうですか…。」
なんだ、思っていたよりもかなり低い。これだけのノートを書くくらいだから、せめてトップ10くらいに入っていると思っていた。
そう思って、興味を失いかけるが・・・。
「だけどな。その生徒は……。」
その後、先生の言った言葉でまた興味がムクムクわいてきたのだった・・・。
思いがけず、次の日にアップできましたね。
でも、引っ張った言い方をしているのに、次は遅いかも。
担任の先生の名前を入れるタイミングがわかりません。
そんなに引っ張る名前でもないんですけど、出てこなかったら不便。
わたしは生徒指導の先生ってごついイメージがあります。




