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理想の恋人と現実の・・・  作者: 雪 まりあ
~理想の恋人~ 清凪
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13/26

【4月】の会田家

思うところがあって、書いてみた4月の会田家の様子です。

「ね~ぇ?悠くん、明日は学校行くのー?」


夕方、自室で勉強をしていてのどが渇いたので、台所に行くと母親にそう聞かれた。


「どうだろう、明日の体の調子によるかな…?」


そう曖昧に濁すと母親はぷっと頬を膨らませる。

いくつだよ、僕の母親・・・と心の中で突っ込むが、そんな表現をしても違和感のない人なので何とも言えない・・・。


母親は腰に手を当ててむっとした表情で振り向いた。


「あのねぇ、悠くん。お弁当を作るのにも準備って言うものが必要なのよ?

卵焼きはその日でもできるけどね、唐揚げを作るなら夜のうちから味をつけておきたいし、おにぎりを作るのも中身何がいいかとか考えて中身用意しておかないといけないの!

作る身にも少しはなってほしいのよねぇ。」


学校に無理に行けとは、母親が言うことはない。

僕も学校に行きたくないわけではない。だいたい、行きたくないのならまず高校の受験もしていない。


「うーん、わかった。じゃあ、明日は行くって言うことにしておく。

でも、行けなかったらごめん。」


そう言うと母親はにっこり笑って「了解~。」と居間の方へ向かい、僕も飲み物を手に部屋に戻ろうとしたのだが・・・。


「あっ」


という、母親の声が聞こえて振り返った。

母親は時計を見てから、玄関の方を見ていた。

どうしたんだろうと思って見ていると、玄関のチャイムが鳴った。

母親はなんだか嬉しそうにスリッパをパタパタさせながら玄関に向かっていた。


 何かお取り寄せ商品でもしたのが届く日だったのかな?


そう思って、玄関の様子をうかがった。



「こんにちは。あの、これ…。」


宅配の人ではなさそうな、女の子の声が聞こえてきた。


「あぁ、あなたがそうなのね!ありがとう。」


母親の声は顔を見なくてもわかるほどに嬉しそうな声だった。不思議に思っている間にも会話は続いている。


「今日は初日でしたのでご挨拶に伺いましたが、明日からはポストに入れておきます。」


「えぇえぇ、ありがとうございます。ふふふ」


「あー…では、お忙しいところすみませんでした。」


母親の喜色満面に圧倒されているであろう女の子が「失礼しました」の声と共に去って行った。


母親は女の子を見送ってから、再びパタパタと廊下を走って台所に戻ってきた。

その顔は想像通りの笑顔一色だった。


その顔には、何があったか聞いて聞いてっ と書いてあったので、苦笑いをしてから尋ねる。


「母さん、今のは…?」


その言葉を発すると、「ふっふっふ…」という含み笑いをしてから話し出した。


「今のはね。悠くんのクラスメイトの子よ!」


「…え?なんで僕のクラスメイトの女の子がわざわざうちに…?」


僕は4月から2年生に進級してはいた。だが、進級してから4月の半ばである今日までほとんど学校に行っていないので、友だちができるどころか、クラスメイトの顔さえも知らない。もちろん、名前も知っているはずもない。


そんな中、誰がわざわざうちに来たのだろうか・・・?


「悠くんが授業に来られないのを心配した担任の先生が、今日来てくれた子に授業の内容を板書したノートの写しを届けるように頼んだそうよ。

…ふふふ、可愛らしい女の子だったので、母さんもう嬉しくってニコニコしてしまったわよ~。」


 ・・・なんだ、ノートか・・・。


別にそんなものがなくても、勉強はできる。そのノートの写しを持ってきた女の子は、担任への“しっぽ振り”の一環でしている事なのだろうと予想を付けた。


ニマニマと嬉しそうに笑う母親から、今渡されたばかりのクリアファイルに入れられたノートの写しを受け取って、飲み物と共に自分の部屋まで持って帰った。


 わざわざ届けるほどのノートなのだろうか・・・?


もともとそんなものが無くても、悠貴は学年でよい成績を維持している。

僕が在籍している学校に入って落ちこぼれないほどの学力であれば、いい大学に軽々入れると言われているが、ほとんど家で勉強しているだけの自分でも30位以内の成績なので、そのノートの写しとやらも そうたいしたこともないだろう、と・・・そう思っていた。


クリアファイルを机の上に置いて、少し考えた後ノートの写しを見てみることにした。

ノートは書いた人の性格を思わせる、丁寧な字が読みやすく並んでいた。

今日の授業は 古典 リーダー 倫理 生物 数学 音楽だったらしい。


読み進めるうちに、引き込まれていく。

読みやすく、理解しやすく、見ていて楽しいノートだ。

どの教科も隔てなく丁寧に書き込まれたノート。

ただ単に板書をしただけのノートではない。

教師が話した重要と思われるポイント、授業を受けての疑問点と考察。さらに疑問点はそのままにせず担当の教師に尋ねたのであろう、答えが書いてあった。


 このノートを書いた人はすごい。こんなノートを書けるくらいなら、そうとうレベルの高い子だろう。


そう思って、ノートの写しを自分のファイルにおさめた。

全てのページを読み終えた後の悠貴はこのノートを書いた人に興味を持っていた。

そして、明日は担任の先生にノートの持ち主について聞こうと決めた。


悠貴が『ノートをかいた人』に興味を持ったのは、4月の半ばです。


清凪は晴夜さんに少々、引いております。なんてテンションの高いお母さんなのだろうと。

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