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終章

精霊の王は美しいブルネットの髪と、青空を切り抜いた様な瞳をしているらしい。


普段は精霊樹(ユグドラシル)の根元で深い眠りに付いているが、時折目を醒まし国を巡って祝福を与える。


精霊の王が人間であった頃、精霊の王は聖女として巡礼の旅をしていたと言う。


民衆に寄り添い、その土地の抱える問題を恒久的に解決する術を、聖女がいなくとも、その土地に住む人間が技術を得る事で回る様にしたのだと言う。


それまでの聖女の方法とは異なる手段に当初人々は戸惑ったが、やがて彼女の齎した技術が正しいと知ると深く感謝した。


聖女としての精霊の王を知る世代の人々は、生涯に一度は、感謝を伝えたいと精霊樹(ユグドラシル)を訪れて祈りを捧げる。


その祈りに応える様に、精霊の王は時折国を巡って祝福を与える。


その姿を、国王オリバー二世は何処か物悲し気な面差しで見届けていると言う。


オリバー二世は、


「人間の生きる、精霊から見ればほんの僅かな間。


人間として生きる道も、確かにあったのだ」


と言った。


聖女がどんな人物だったのか。


如何にして、精霊の王へと変生するに至ったのか。


誰もが一度は疑問に感じるが、深くは追求しない。


彼女が心から他者を想い、世界の為に精霊の王となった事だけが、事実として語られている。

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