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「南宋の黄昏から、次の世へ……。時を跨ぎ、血脈を繋ぎ止めた家系が、いずれ私たちの『輪』に加わることになるのね」
公孫勝様が示した羅真人様の書き置きと、その予言。
それは単なる今の勝ち負けの話ではなく、これから訪れる「動乱の百年」を生き抜くための、壮大な家系図の始まりのようでもありました。
百年の絆、未だ見ぬ星々
お嬢の独り言
「国が形を変え、嵐のような時代がやってきても。
私たちが今、この『華翊商会』で結んでいる『義』の糸は、決して切れることはない。
やがて、次の世になっても、この地で力強く根を張り、生活を営み続ける家系。
彼らが私たちの志を継ぎ、仲間に加わる日が来る……。
羅真人様の予言にある『三十六星』の加護とは、単なる武力の集結じゃない。
時代が変わっても揺るがない、民の暮らしと誇りを守り抜く『血の連なり』のことだったのね」
私は、燕山の勇士たちや、海を渡ったおじさんへの想いを馳せながら、まだ見ぬ未来の仲間たちのために、一枚の「家系録」の白紙を用意しました。
お嬢の独り言
「……今、私がこの筆で記している邸報や商会の掟は、百年後の彼らへの手紙でもあるわ。
趙長官との駆け引きも、高麗への命懸けの航路も、すべては『未来の仲間』が迷わずに済むための道標。
おじさん。あんたが命懸けで守っているのは、今の商売だけじゃない。
私たちの孫の、そのまた孫の代まで続く、消えない星の光なんだわ。
燕青の娘として、私はこの『時を超える契約』を、最高の墨で書き留めておくことにするわね」
陽ちゃんは、遥か先の未来の話に目を丸くしながら、
「おねえさまが書くものなら、百年後もきっと残っていますよ」
と力強く頷きました。美林様も、自身の故郷の行く末と重ね合わせるように、静かに祈りを捧げておいででした。
お嬢の独り言
「……さあ、筆を休めている暇はないわ。
南宋の次へ。激動の時代を生き抜く家系が、いつかこの門を叩くその時。
『よくぞ繋いでくれた』と胸を張って迎え入れられるように。
私は今日という日を、精一杯、力強く書き進めるわ」
筆房の窓から見える星空が、心なしか以前よりも明るく、そして遥か遠い未来まで続いているように見えました。
そして、長期的な視点での「商会の永続化計画」を柴翊様と練り始める事にした。




