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第四十九話「レヴィアの誕生」

その夜は、嵐だった。


 魔界の嵐は人間界の比ではない。

 稲妻が何色もの光を散らし、轟音が城を揺らす。


 けれど、魔王城の大広間には、暖かい明かりが灯っていた。


 城の医術師が準備を整え、ゾルク様が廊下を何度も往復しており、ダンクル氏が厨房で温かい飲み物を作り続けていた。


 カイゼル様は——私の手を、ずっと握っていた。


「……痛いか」


「……少し」


「……すまない」


「謝らなくていいです。これは私のすることですから」


「……俺も一緒にすべきだ」


「それは無理です笑」


---


 夜明け前、嵐が少し静まった頃。


 産声が——響いた。


 高く、細く、でも力強い声。


 カイゼル様の手が、一瞬——ぎゅっと、私の手を握った。


「……レヴィア」


 私は、赤ちゃんを抱いて、そっと呼んだ。


 小さな体。

 黒みがかった細い髪。

 医術師が「目が……赤みがかっています、魔王様に似ておられます」と言った。


 カイゼル様が、ゆっくりとその子を見た。


「…………」


 珍しく、何も言わなかった。


 ただ——その目が、初めて見る表情をしていた。

 

 やわらかい。

 とても、やわらかい目。


「……抱きますか?」


「……抱いていいのか」


「もちろんです」


 カイゼル様は、慣れない手つきで、でも確かに——その小さな命を、抱いた。


「……レヴィア」


 低い声で、名前を呼んだ。


 廊下の外で、ゾルク様が「っっ……!!!」と声を押し殺しているのが聞こえた。


第四十九話 完

お読みいただき、ありがとうございます!


レヴィアちゃん、誕生です!!

カイゼル様が「光の熱」という意味の名前をちゃんと選んでくれましたよね……!


初めて子どもを抱くカイゼル様の「抱いていいのか」という言葉で、私は限界でした笑


次回、最終話です!長い旅のお供をありがとうございました。必ず読んでください!

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