第四十七話「名前を決める夜」
子どもの名前について、初めて二人で話したのは、夜の図書室だった。
お腹が丸くなってきた私は、本を読むのが少し大変になってきたが、それでもここの時間が好きだった。
「……名前、考えているか」
カイゼル様が本から顔を上げずに言った。
「少し考えています。手がかりがあれば」
「……魔族の名前には意味がある。どんな意味を込めたいか、から始めると良い」
「……温かい、という意味の名前が好きです」
「なぜ温かさを」
「……神殿では、ずっと寒かったんです。ここに来て初めて温かくなったから」
カイゼル様が本を静かに閉じた。
「……では、「レヴィア」はどうだ。魔界語で「光の熱」という意味だ」
「レヴィア……」
呟いてみた。
胸がじわりと温かくなった。
「……いい名前ですね」
「……女の子だったら、の話だが」
「男の子なら?」
「……考えてなかった」
「!!」
「……今から考える」
「お願いします笑」
カイゼル様が、ほんの少しだけ苦笑した。
「……ヴィオル。深い魔力を持つという意味だ」
「ヴィオル……こちらも素敵です」
「……どちらになっても、この城に合った名だ」
私は本を膝の上に置いて、お腹に手を当てた。
「……お父さんが考えてくれた名前よ」
小さな命に、静かに話しかけた。
カイゼル様が、また本を開いた。
でも、その口の端は少し上がっていた。
第四十七話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
名前を考える夜のシーン、温かい気持ちになっていただけましたか?
「光の熱」レヴィアと、「深い魔力」ヴィオル……どちらも素敵な名前ですよね。
さて、どちらの名前が選ばれるのかは……最終回でわかります!
次回もお楽しみに!ブックマーク・評価お待ちしています✨




