第三十七話「婚礼の朝」
朝、目が覚めた。
カーテンの隙間から、青い魔力光が差し込んでいる。
今日は——私とカイゼル様の婚礼の日だ。
「ルナ嬢、起きてらっしゃいますか」
ミアの声がして、扉をノックされた。
「起きています」
「では支度を始めましょう。今日は特別仕様です」
ミアと他の侍女が数名入ってきて、にわかに部屋が賑やかになった。
髪を整え、衣装を着せてもらいながら、私は少し緊張していた。
「……ルナ嬢、硬いですよ」
「そうですか?」
「深呼吸を」
言われた通りに、ゆっくりと息を吸って、吐く。
「……ルナ嬢は、カイゼル様のことが好きですか?」
「はい」
「答えが早い」
「聞くまでもないので」
ミアが小さく笑って、最後の仕上げをしてくれた。
「……完成です」
姿見を見た。
魔界と人間界の境を表す、月光のグラデーションのドレス。
深紅の薔薇が髪に飾られている。
「……綺麗でしょうか」
「最高です。カイゼル様が顔を赤くされること請け合いです」
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大広間の扉が開いた瞬間、城の全員の視線が集まった。
私はゆっくりと歩き出した。
正面、玉座の前にカイゼル様が立っていた。
いつもの漆黒の衣装に、深紅の装飾帯。
私が近づくと——彼の目が、わずかに見開いた。
そして、耳が、赤くなった。
「……あの、カイゼル様」
「……なんだ」
「綺麗に見えますか?」
「……」
「……カイゼル様?」
「……余計なことを言うな」
でも。
その目は、はっきりと——確かに、私を見ていた。
第三十七話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
婚礼当日!カイゼル様が耳を真っ赤にして「余計なことを言うな」……もう全部が愛おしいです笑
次回はいよいよ誓いの言葉です。
あの三十回書き直した誓いの言葉……どんな言葉になるのか、楽しみにしていてください!
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