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第四章 お嬢様学校の深層3
「これか」
下駄箱までやって来た際、掲示板が目についた。部活の宣伝ポスター学校行事のお知らせ等に並んで七色に輝く『生徒会発足』の文字があった。どうやったらこんなクソみたいなフォントを使おうという発想になるんだろう。目立つには目立つが。
確かに、『相談にのります。まずはなんでも仰ってみて下さい。お話はそれからで構いません』と、書いてあった。消極的なんだか積極的なんだか協力的なんだか分からない文句だ。全てにおいてセンスが感じられない。
『生徒会 白百合友里園』と、最後にあった。
署名だけ自筆であった。つくった後で名前の記入を忘れたことに気がついたのであろう。案外ズボラなのかもしれない。
字は下手くそだった。
そういえば役職さえ決まっていない。どうでもいいが。
暫くは一人でやるつもりだったのか、自分が話に乗って来なかったらどうするつもりだったのか考えると自然に自嘲的な笑みがこぼれてしまっていた。
「やっちゃるか」
拳を力強く握り左手に押し付けた。
ぱん、と乾いた音が廊下に響いた。