第十三章 どっちが。2
「助けに来たつもりだったのに」
華英はぽつりと吐いた。
吐いた言葉は虚空へと浮かび、甘い煙と融けて消える。
園に目をやる。何のつもりかと問うような瞳だ。
どうせ、来るまでに時間がある。体を拭い、着替え、髪を乾かし、なんてやっていたら五分以上は掛かるだろう。はなしするくらい良いはずだ。
「わたしたち、先輩が利用されていると思っていたんですよ? 北条先輩を経由して菅原先輩へいって、それでふたり共が抜けるに抜けられなくなって。それは、相手に弱みを握られているからで。それが一体どういう物かは分かりませんけれど、どうせ分かりたくもない、ろくでもない物だとは察せられました。だから動いたんです。こんなの、あんまりです」
割とそのまま言ったつもり。
菅原から話を聞き、自分たちがこの問題に対し事前に抱いていた所感。概ねこんなところだろうと。
「あなた達の敗因は――」
ゆっくりと北条が口を開く。
「――思い込み」
それでおしまい。
華英と園は視線を見合わせる。真意は分からない。けれど、北条の内側には秘めるところがあるようだ。それだけは察せられる、そんな口調だった。問い返してもいいが、なんて言ったらいいか分からない。
実家の連中はもっと分かりやすかった。
自分たちが今、どんな場所に迷い込んでいるのか、それを今更ながら痛感させられる。
ここはエスカレーター式の、お金持ちばかりの女の学校。思考の過程、常識非常識、本人の見方や周囲からの見え方。数年間過ごし、そこで身に付けていく様々なこと。
たぶん、華英たちが想像しているよりもっとずっと複雑なのだ。
それから、ものの数分もしないうち京極はやって来る。
素っ裸の龍玄まりあを引き連れ。




