キースの謀略(3)
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ガントに製造させて更に数を増やして数日後、 キースの予想通りの事が起こっていた。女性の死体を利用した鎧騎士達は次第に殺し合いをし始めたのだ。
元々、港町と農村部同士の税を軽くする為に戦う風習がこの帝国の女性達の怨念や私怨が根強く何時いているのだ。
例え、元の身体で無くても憎い相手の気は感知出来るほど人間の女の憎悪は凄まじい力を持っているのだ。
現に前まではただ徘徊するだけの鎧騎士達が出会う先々で武器を交えて殺し合いを港町、農村部で行われているのだ。
そして、製造者であるガントはその光景にただ恐怖する事しか出来なかった。
「あ、あの… キース様これで本当に良かったのでしょうか…? 」
「あぁ…問題はない。 ワシが欲しいのはより強い怨念が溜まった魔石じゃからな…
ワシはただこの帝国の女達に再戦の場を与えてやっただけじゃ… 」
「で、ですが…あの鎧騎士達は破壊されればただの死体が… 」
「構わん。所詮捨て駒だから女の死体がどうなろうとワシの知った事ではない。違う女の魂が憑依して気が済むまで闘わせて『邪気』をこの地に集めるのが目的だからな… 」
グランザニア帝国の城壁から自らが作り上げた鎧騎士達の殺し合いこそがキースの本来の目的であり、相手をより憎む憎悪は感情豊かな人間の女性のが強力であり、グランザニア帝国の兵士よりも強いと確信していたからだ。
元々、東の帝国は悪政で港町も農村部も高い税を帝国から取られており、ミノアの策略により、女同士の喧嘩が当たり前の国では子どもでも母親が違う女性と喧嘩しても止めずに母親を応援するような国であるように悪循環は簡単には治るものでは無い為に死んでもその怨念が漂っているのを利用したのだ。
キースからしてみれば、鎧騎士達の殺し合いで悪霊の鎧騎士か死霊騎士の上位種になって貰い西に攻め込む為に難関な渓谷の怪物・黄金の三首持つ蛇と闘わせる為だ。
「クケケ…魔石の欠片にちょっとした魔法をシャーロンとジョセに掛けて貰っている。それが肝になるのだ 」
「ど、どういう事ですか… ? 」
「クケケ…負けた女の怨念を魔石の欠片に溜め込んで北の山脈の竜種と黄金の三首持つ蛇に食べさせるのさ… 」
「つ、つまりは竜種と黄金の三首持つ蛇も鎧騎士達の様にして闘わせると…?」
幻獣神の一人であるベヒーモスが産み出した渓谷の怪物である黄金の三首持つ蛇は高い再生能力を持つ不死の黄金の蛇としてグランザニア帝国の人間が北の山脈に住み着く竜種と同じ位恐れる怪物である。
その為にいくらジョセ達が竜種を倒せるからといってそう易々と渓谷を通らせる事はしないだけでなくこちらの戦力を減らすリスクが高いために正面から闘っても無駄に戦力を減らすだけの愚策であると考えたのだ。
ならば、グランザニア帝国の女の怨念と私怨を魔石の欠片に溜め込んで北の山脈の竜種に植え付けて進化した悪霊の鎧騎士か死霊騎士と闘いにいかせて負けた女の怨念が溜まった魔石の欠片を黄金の三首持つ蛇に食わせれば勝手に北の山脈で女の戦いを姿を変えて続ける為に自分達は戦力を減らす事なく西に侵攻する事が出来るのだ。
「クケケ…ガントよ。決して無駄ではないのだ。醜小鬼は馬鹿だがマヌケじゃない。昔。捕虜にした女を盾に人間や他種族を脅すのに利用したことがある。
生きていようが、死んでいようが利用できる者は何でも利用して使うのがズル賢い醜小鬼の生き方でもあるのだ… 」
「ズル賢い醜小鬼の生き方…」
港町と農村部ではそれぞれ勝ち残った鎧騎士達が移動を初めて戦い始めたのだ。すると、一体の鎧騎士の鎧が黒色に変色し、兜から鬼のような角が突き出し、手に持っていた剣も黒く輝く大剣になり、悪霊の鎧騎士へと変貌を遂げるとキースは独特の笑いをしてオルガーナに復讐の為に溜め込んだ力を振るうのにもう時間は差程掛からないと伝えると既に出産を終え自らも自らも金砕棒を手に取り戦場に赴くつもりであったのだ。
既にジョセとギガースの力と雌の醜大鬼の巨人とマドンナ達が醜小鬼の魔王級の力を持つ醜小鬼の闘士や醜小鬼の魔術師が複数達既に戦力として使えるまで育っていたのだ。
一方で、エレーナとルイ王女以外の者達が未だ戻って来ないガルディアに残された時間は僅かであるがミックスらはまだ危機的状況にまだ気づかずにいたのだ。




