キースの謀略
醜小鬼 ガント
異世界からの転生者で物作りに携わる仕事関連からか武器の整備を担当していた為に戦闘能力は並み以下である。キースから鎧騎士の製造を学び、非道な道を極めている。
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ミックス達が男漁り大好きなレヴィアタンの為に若い雄の竜の皇を生け贄に捧げている作業をしている一方で、東の帝国でも縄張りを荒らされて怒り狂った竜種の襲来に主力部隊である醜大鬼の巨人達の下図が減った為に西への進行が困難な状態になっていたのだ。
勿論、ただ数が減っただけではなく雌の醜大鬼の巨人達がジョセ達の子を身籠ってみる為に数が急激に減ってしまっていたのだ。
元々はゴブリン・マドンナとオルガーナと子作りに励む筈だったが、危機的状況を打破した英雄の子を産みたいという雌の本能には逆らえなかったということであるのだ。
実際にジョセとギカースはマドンナや雌の醜大鬼の巨人ゴブリン・ジャイアント》と子作りに励み、より強く優秀な戦士の醜小鬼を産み出そうと励み、奇襲にくる古代竜や竜の皇達の討伐も行っているが、ドルトンだけは雄の醜大鬼の巨人達と上位個体の醜小鬼達を率いて北の山脈に出撃して多くの竜種達を討伐し、統率力を着実につけていき色欲に溺れない硬派な所に漢気を感じる醜小鬼の英雄になっていたのだ。
そして、もう一人忘れては行けないのが、同じ醜小鬼として転生され使えると判断されたのはジョセ・ギガース・ドルトンの3人の他にもう一人いたのだ。
その転生醜小鬼の名は『ガント』と名付けられていた。
この転生醜小鬼であるガントはジョセ達よりも戦闘能力も武器の扱いも並み以下であったが、武器の整備が出来る『知識』を持っていた為にシャーロンとオルガーナから評価されていたのだ。
大軍の武器の整備となると一人では間に合う筈間も無い為に冒険者から奪った武器や刃こぼれした刃を研ぐのが主な役割であったが、英雄を育てたキースという醜小鬼によってガントの仕事の役割が変わろうとしていたのだ。
「鎧騎士の製造…?」
「クケケッ…元々はミノア帝国の時に死んだ奴隷の魂を縛り付けて戦わせる呪いの騎士の設計図さ…」
「それは…ありがたいんですが、俺のレベルじゃあ…とても… 」
「クケケッ…関係ない関係ない。 安心しろ。今、ドルトンに北の山脈に攻め込ませてるのは何も竜種達を怒らせる為じゃないからな…」
不敵な笑みを浮かべるキースは鎧騎士に必要なのは強い執着心であるというのだ。 そして、この国は港街と農村部の女同士が仲が険悪である文化で生まれた怨念を有効活用すればいいというのだ。
実際にキースは鎧騎士に必要な装備であるフルプレートアーマーと剣、槍、盾を用意し終えると、一人の女性の死体に装備し始めたのだ。
すると、キースは魔鉱石を少し砕き、遺体の額と胸の部分に押し込むと黒いモヤの様なものが身体に入っていき動き始めたのだ。
「こ、これは一体どうなってるのですか?」
「クケケッ…人間の怨念ってぇのは残りやすいのさ…濃度の濃い魔石の欠片を死体につければその怨念が魔力となり、動き出すのさ… 」
「で、ですが…そのそれでは戦力にならないのでは…?」
「当たり前だ。ただの死体でも使えるなら使うのが醜小鬼だ。昔は捕虜にした女を盾にして敵に矢を入られないようにしたり、突っ込んできた馬鹿を槍で串刺しにしたりな。一度、滅んで死んだ人間の怨念を魔石の欠片に取り込めば、鎧騎士として動きはする。だから、捨て駒としてはいいんだよ…」
実際に鎧騎士になった女の死体は何をしたいのかただ彷徨いながら剣を振り回す等、理解が追い付かない行動をとっていたのだ。
すると、キースは女の怨念は死んでも生き続ける為に鎧騎士の中で戦っているのだと話すと、使えなくなった女の死体を鎧騎士にして西の渓谷に彷徨わせて怪物と恐れられている黄金の三首持つ蛇の能力を知り、討伐する為の捨て駒の兵として利用すると不敵な笑みを向けてのだ。
「北の山脈の竜種相手にドルトン達の主力部隊が使い物になり、マドンナやオルガーナ様がその強い醜小鬼を出産するのにまだ猶予が必要だが、こちらとしても何らかの行動をして置かなければならないからなぁ…ガントよ。鎧騎士に必要な武具や武器はお前に任せる」
「よ、宜しいのですか?私のような小物の低級の醜小鬼風情が…」
「学びは失敗から得る知識だ。ならば使えるものを使えばいい。それが死体でも利用できるなら利用するのが醜小鬼のやり方さ…何なら、まだ生きてて子どもを生めなくなった女を使ってもいい…怨念を入れて魔力を体内に流し込み魔物として利用する手もあるからなぁ…」
「な、なるほど…それはそれでやりがいがありますね。人じゃないから醜小鬼だから出来る事に好奇心が疼きます!!」
「クケケッ…」
物作りが好きなガントに鎧騎士に必要な武具や武器の製作を頼み、西の渓谷を守護する黄金の三首持つ蛇の能力を探るために女の死体を悪用するキースに恐怖心を抱きながらも醜小鬼だから出来る非道な行いに好奇心が疼き、目を輝かせるガントにキースは不敵な笑みを浮かべていたのだ。




