ミックスの恫喝(4)
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『種族を問わずに強くなれる試練』の場所を幻獣王として作り出して残りの護衛団や騎士団、そして冒険者達のレベルアップをする為のダンジョンを作ることを提案したサビーヌの暴走により、受理された為に【ミノアの大迷宮】を新たな試練の場として再利用する事になったのだ。
理由としては、ミノアの財宝を溜め込んでいた醜小鬼に利用させる恐れがあるために設置されている転移魔法を全て取り除くか帰る必要があった事と、内部が複雑な迷宮になっている為に試練として必要な場所を形成する為に必用な魔力を流し込む事で作り替えることが可能になった為である。
「そもそも、300年もミックスはんの魔力を地下の最深部から受け続けた【ミノアの大迷宮
】程都合のいい場所はあらへんけどええんか?2人とも…?」
「ん?どういう意味だ?何か不都合でもあるのか? 」
「いや、普通にリザーナはんとの出会いの場所でもあるわけやろ?その思い出の場所をこんな形で使ってもええんかな~って思ってな?」
「そこは大丈夫だよ?幻獣神になってもミックスはミックスだし、今はガルディアのあの屋敷の裏にある洞穴が寝床だしね。
それに後500年もしてたら抱いて貰える約束事してるもん。
なら、皆でガルディアを護って行かないとダメだもん。だから、気にしなくていいよ?」
ミックスとリザーナの2人にとっては出会いの場であり、思い出の場所でもある【ミノアの大迷宮】を有効活用することに不満がないかと尋ねられたのだ。
2人にとっては思い入れのある場所であるのは代わりないがそれを悪用される可能性がたかいのだ。
それなれば、これからの永い戦いが続くかも知れない為に少しでも勝利する可能性をあげるのが優先であるのだ。
ミックスはリザーナを肩から下ろすと魔力を戦斧に練り込んで魔力を溜め込んで『種族を問わずに強くなれる試練』の場所を幻獣神の力を使用してミノアの大迷宮を作り替えたのであった。
勿論、ミックス自信もかなりの魔力を消費した為にドライアド達から持って余っていた緑核を取り出して魔力補給をしていると、既に装備万全のサビーヌが近づいてきたのだ。
「ミックス殿、ありがとう。これでルイ王女やグリオン殿の足手まといにならずに済む…」
「あの2人はお前の事を足手まといに思ったりはしねぇと思うけど…ずっとルイ王女を護ってきた誇りがあるもんな… 」
「あぁ… それにジズ様が妊娠している今、新しい官能小説は執筆されないのだ。一ファンとしてジズ様の官能小説や恋愛小説を次の世代に残す為にもワタシは強くならねばいけないのだ!! 」
「理由が半分ぐらい不純すぎる気がするぞ? まぁ、そのおかげでこうやって色々な種族との繋がりが生まれている訳だからバカにもできんからな… 」
実際にミックスも地上に出てジズの官能小説の影響で風評被害にはあっていたが、実際に役にたっている所や元々はマルセル国王が目指していた国の形を小説として表していたのかもしれないと思うようになってきたのだ。
ジズ自身も初めてあった頃はグリオンに手間を掛けさせるダメ女王かと思ったが、意外と母性というものを持ち合わせており、マルセル国王を押して押して押して、異種連邦国とガルディア連邦国は合併し、国名はガルディアのまま多種族共存国家【ガルディア】として生まれ変わった経緯もある。
他種族を受け入れる事に抵抗のない国を作り上げたのは紛れもない事実であるのだ。
そして、何よりもこのガルディアをまもりたいという戦士達に力を与えるという選択を選んだミックスが幻獣神に推薦して良かったと、ベヒーモスはレヴィアタンと顔を見合わせていた。
この場にいないのは産卵の為に自室に籠っているジズとそれの様子を見守るマルセル国王とミザリー達有翼族の雌達が立ち会っている状況である。
幻獣神の力を使用してミノアの大迷宮を作り替えたミックスは【幻獣神からの試練】と名付けをすると、今から挑む戦士達に向かって激励の言葉を放った。
「試練の内容は俺自身もよくわかっていねぇ。俺が魔力で作り出した場所には強さを乗り越える為に必要な試練を受けられる様にしただけで内容までは全て決めてねぇ… 」
「まぁ、早い話が試練の内容を理解して戻ってこいちゅーシンプルでしんどい試練を作ったってことやろ? 」
「それくらいの試練でなければ、醜小鬼の魔王ミノアクラスの軍勢とは戦って行けないのはわかってるし、ミックスがここまでやってくれたのにそれに答えなきゃギルドマスターとして顔がたたなくなるし、後輩のレオーネにも情けない姿を晒したくないからな 」
「それは俺も同じだな。海辺の大都市のギルドマスターとしてアルガー殿一人に頼るつもりは毛頭ないからな…」
サビーヌの他にもミックスやメルディアの恫喝によって覚悟を決めた戦士達はミックスが幻獣神として護る為に必要な強さを身に付ける為に作り出した【幻獣神からの試練】を受けるに相応しい戦士の顔つきをしていた為にミックスはただ一言、強くなってともに戦おうと伝えると戦士達は雄叫びをあげて試練を乗り越える為に次々に内部へと入っていったのだ。




