リザーナの不満
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ミックスが幻獣神を辞退して今後の事を考えての決断だった為に誰も何も言い出せなかったのだ。
今から戦うであろう醜小鬼達は300年前に倒した醜小鬼の魔王・ミノアよりも強力な力と魔力を得ている可能性が高い為、ミノアの魔術で魔物にされたミックスは勿論、エレーナも操られる可能性を考慮してのものだったからだ。
エレーナもミックスの考えを聞いて何も声を掛けてやる事ができなかったのだ。
自分もミックスと同じならば、操られてシルビアらと敵対する事になってしまい傷つけてしまうくらいなら何とか抗っている好きに殺して欲しいと願うと思ったからだ。
だが、頭を下げた状態のミックス前にリザーナはゆっくりと近づいてミックスの身体の上に乗ったのだ。
そして、いつものようにミックスに抱きついてきたのだが、いつもと様子が違うのでミックスがリザーナの名を呼ぶとリザーナはミックスの耳元で大声で怒鳴り声をあげたのだ。
「ミックスの馬鹿!!!そんな弱腰なのはミックスじゃないよ!!!」
「り、リザーナ、急にどうしたんだよ?ミックスの話聞いてたろ?
今回は醜小鬼の魔王・ミノアよりも強い醜小鬼達、産まれてその実験台にされた私らが操られる可能性があるから力を着けずに何とか抗うからその好きに殺してくれっていう意味で…」
「それがミックスらしくない!!!私が大好きなミックスなら例えどんな無茶でも乗り越えて守ってくれる強い漢だもん!!!
ミノアよりも強い醜小鬼達が産まれるのがわそれよりも強くなって守ってやるっていってくれるのが、世界で一番カッコよくて強くて頼れる私の相棒のミノタウロスのミックスなんだもん…
だから、そんな弱気にならないでよ…
いつもみたいに私らを護って助けてよ…
私を怒られてもいいから…
だから醜小鬼達よりもっと強くなって俺がリザーナの大事なものを護ってやるくらい強くなってやるっていってよ…
いつもの強いミックスに戻ってよ…」
「リザーナ…」
ミックスの胸元のでどんどんか細い声になっていき涙ながらにミックスがどういう魔物で今まで自分を護るために無理をしてきたミックスを知っているからの言葉であった。
初めてリザーナがリリスの力を使って戦斧になり、普通の魔物ならば絶対に口にしないただの魔力の集合体である魔核を食いつづけてリリスの能力のある『接吻をした雄の魔物を武器として扱える能力』に少しでも相応しい力を得るために人の知恵を借りて行動してくれて迷宮を脱出してから自分絡みで色々な事に巻き込んでしまっても、決してミックスは自分を見捨てようとはしなかったのだ。
海辺の大都市で絶対的な支配者の力と威圧感を放っていたレヴィアタンが相手でも自分を護る為に武器を手にして例え勝てなくても護ろうといつでも護る為に強くなろうと自分に出来る事をしてくれるのがミックスという自分の相棒であり、リザーナが好きなミックスの姿であった。
だが、今は強力な魔力を持った醜小鬼達相手に知らず知らずの弱腰になってまっていたのだ。
結局、最悪の想定ばかりをしてリザーナ達を護る為にレヴィアタンやジズの使い魔であるアルガーやグリオンを推薦したり多種族からも人望もあり慕われているレオーネのが相応しい等、弱腰な言葉を並べるミックスに不満を持って怒鳴り付けたくなるのも無理はなかったのだ。
確かに、獣王として慕われているベヒーモスみたいに全種族から尊敬を集めるような幻獣神には自分はなれないだろう。
ミノアが産み出した牡牛と人間の怪物・ミノタウロスを慕ってくれる種族など普通にはいないだろう。
だが、ここにはリザーナなの大切な人や大勢にいるのだ。 ミノアの大迷宮から一緒に出来るときに金貨を貸すだけではなく仲間として養ってくれと今思えば馬鹿のような口約束を護りつづけている。
それならばやること単純明白であったのだ。
ただ、護りに徹するのではなく醜小鬼達に真っ向から挑めるほど強くなって護ってやればいいのだ。
もっと強力な力を手に入れて、リザーナを支えてやればいいだけの話だったのだ。
今までそうしてきたように護る為に強くなればいいだけなのだ。
「… スマン。確かに弱腰になっていて、いつもの俺らしくなかったようだ。
確かに、リザーナのいう通りだな。
今の醜小鬼達がミノアよりも強いなら、それよりも強くなればいいだけの事だ。
何でこんな単純な事を忘れていたのかわからねぇが…
最初から俺は自分よりも強い敵と戦いたくてリザーナと迷宮から出たんだ。
いい機会だし、醜小鬼達にこのミノタウロスのミックスを操る事を出来るのはこのリザーナだけだっていわせてやれるくらい強くなればいいだけの話だもんな?」
「うん… じゃないとミックスじゃない!!!
私の相棒はミックスしかいないもん!!幻獣神になっても一緒にいるからね!!」
「ガッハッハッー!!!流石はレヴィアタンとジズが惚れて力を授けるだけの魔物ではあるワケだな。
先程までの弱気な態度違い覚悟を決めたミックスの存在感は確かに惚れ惚れするわ!!
この獣王・ベヒーモスが推薦した漢の魔物であるぞ?
そもそも、ミックス以外に試練を受ける資格を与えると数百年はかかるから普通に時間が足りんのだ!!!
もし、断っても無理矢理にでも試練を受けさせるつもりだったからな!!!ハッハッハッー!!!」
「…それを先にいってくれよ!!?何か必死こいて色々と思考してた俺が馬鹿みたいじゃねぇかよ!!?」
ベヒーモスの発言にミックスがキレのある突っ込みを炸裂させると暗かった雰囲気が一転して皆が笑顔になって笑ったのであった。
これからどんな酷い戦いになるか想像も着かないが、ミックスが覚悟を決めたように他の重鎮達も今自分達が出来ることをやろうと覚悟を決めたのであった。
養ってくださいを護るという意味で考えたテーマなのでようやくここまでもってこれたという実感が…




