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家ができて 襲われて

久しぶりの翔視点。

  扉を開けて、一番先に目に飛び込んできたのは木だった。直径40センチぐらいの、杉の木だった。ただ、それが並んでいるだけ。

別に、草が生えていて足の踏み場が無いわけじゃない。地面は木の茶色と、土の茶色の2色しかなく、逆に空を見上げると、葉の緑と、木の茶色と、空の青の、3色だった。 

 不思議というか、不気味だった。


 このなんとも言い難い光景にしばらく立ち尽くした。

 忠誠心の高いイネラは、俺の後ろで黙っているのみだった。




 「はぁ…、まぁ普通に木を切って拠点でも作るか。『なんでも切れる剣を2本が俺の足元に落ちてくる』。」

 別に、のこぎりで木を切っても良いわけなんだけど時間がかかりすぎるので剣にした。

 2本というのは、イネラの分でもある。

 「…お。落ちてきたな。」

 上を見上げると、剣が2本落ちてきていた。


 サクッという心地よい音と共に、剣は地面に刺さった。


 その剣を回収して、辺りの木を二人で切っていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 剣の色は、青白かった。おそらくはミスリルとか、オリハルコンとかいう、異世界感溢れる鉱物名なんだと思う。


 落ちてきた剣は切れ味がとても良かった。


 剣を、木に対してスライドしただけで切れたのだ。

 

 マシュマロか、板チョコを、限界まで熱した包丁で切るような感覚だった。


 そんな切れ味で切れるわけだから、本数など気にせずに切ってしまう。

 イネラは、俺が止めるまで最高効率で木を切ったりしているんだろうか。

 「『切った木は、俺が異次元空間にしまえるようになる』。」

 

 そんなことを呟いて、地面に倒れている木を異次元空間にしまった。


さ、木を切ろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 長いこと木を切っていると、日が傾いてきた。

 そろそろ、拠点を作らなければいけないだろう。


 「イネラ、今そっちに行くから声を上げてくれ!」

 「はい!ここにいます!」


 そして、返事が聞こえた方向に、歩いていった。

 イネラが切った木を回収しながら。


 

 

 

 イネラを確認できた頃には、太陽が沈みかけていた。

 ちと急がなきゃな。


 ちょっと広めの場所に、しまった木を取り出して俺はこう言った。

 「『家になれ』。…流石に大雑把だよな……ってええええええ!?」

 

 家が出来た。

 正確には、ログハウスなのだろうだが。


 「すごいです…。ご主人様。」

 声色が、さっきより高いのは気のせいだと思うことにした。


 「まぁ、問題は中身だからなぁ。…どうにでもなるだろうけど。」

 そう言いながら、ログハウスに入る。



 一言でいえば、完璧だった。

 ログハウスのくせに3階もありやがる。


 生活に必要なものは全て、ログハウスの中に入っていた。

 

 「深いことは考えないで寝るか。別にたいして腹減って無いし。」

 「はい。」


 …寝室に入ると、イネラもそこにいた。

 イネラの寝室は俺の向かいの部屋なんだけど。


 「なぁイネr

 「いやです。一緒に寝ます。」


 おかしいな、俺まだ言い終わってないんだけど。


 …でもまぁ、よく考えたら、俺にメリットしかないので、一緒のベッドで寝ました。


 あっちから抱き着かれたのは寝相の問題だと思いたい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 朝起きて、自分がどういう状況に置かれているか全くわからなかった。

 

 なぜならば、俺は磔にされているのだ。

 しかも、大きい大きい闘技場の真ん中である。


 磔にされた俺の前で、イネラは立っていた。

 イネラは、俺の目の前でただブツブツ言っているだけだった。


 イネラの後ろには、イネラの爺ちゃんがいる。


 「ふわはははは!気分はどうだこのゴミ野郎!」

 

 プチン!と、何かが切れる音がした


 「最悪だよ!目の前で攫われたってのに、何もできなかったクソジジィ!後悔させてやるよ!」


 どうやら、理性が切れたらしい。

 

 「ふははは!これから殺されるのに、随分と余裕だなぁ!愚民よぉ!」


 本当に後悔させてやるよ、この貴族ども。


 「『自分の黒歴史を全て、大声で叫べ。この闘技場全体にな。観客は、黙ってこの黒歴史を聞いとけ。』。


 


 それから1時間後、イネラの爺ちゃんは黒歴史を全て話し終わり、俺に怒りを向ける前に闘技場から出て行った。


 顔を真っ赤に染めながら自分の黒歴史を語るじじぃを見て、気分はすっかり晴れた。


 「じゃイネラ、この拘束解いてくれ。」

 「…はい。」

 心なしか、イネラの顔は嬉しそうだった。


 さて、剣も取り返すか。

 「『俺の剣は、手元にある』。」

 そう言うと、俺の両手は、昨日木を切りまくった剣を握っていた。

 

 「そんじゃ帰るぞ、イネラ。」

 「はい。」

 俺は、堂々と歩いて闘技場を出た。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「あー、朝ごはん食うか。腹減ったー。」

 なんか、面倒くさくなったので全部無視して家に帰ってきた。

 「すいませんでした!」

 家に帰ると、イネラはいきなり土下座をしてきた。

 俺はイネラに何かされたのだろうか。

 「私がしっかりしていれば、あんなことはありませんでした。これは、私の問題なのです。どうか私に然るべき罰を!」

 

 えぇ…、一体どうすりゃいいの?

 

 「『ずっと俺の傍にいろ』。それだけだ。」

 カッコつけたけど、言う側になるとすごい恥ずかしいよね。


 「っ、それではいけm

 イネラは、土下座から顔を上げる。

 最後まで言わせねぇよ?

 「命令で罰なんだ。大人しく受け入れろ。聞けないのか?」

 若干照れながらも、怒った感じで言う。

 「承知しました。イネラは、カケル様の傍にいさせていただきます。」

 顔を上げて言ったイネラの顔は、少し泣いてるような気がした。

 あんまり気にしないようにするか。


 「まぁ、うん。はい。これでお終いな。朝ごはんだ朝ごはん。まぁ、『お茶漬けを二人分』でいいか。」

 俺がそう言うと、テーブルの上に熱々のお茶漬けが、二人分乗っかっている。

 


 

 イネラに、食べ方やらを説明しながらお茶漬けを食べ終えた。


 因みに、鮭でした。


あれ?何も進んでなくね?

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