油断大敵
もう隔週更新でもいいかなって。
「で?この下にいるって話だけど、今からどうするんだ?」
準備体操も一通り終わり、作戦会議を始めた。
小さな焚火を4人で囲んでいる。
「翔さんなら何とかできますよ!」
ノニケールに聞いたら、笑顔でそう返された。
「いや、そういう事じゃなくてさ?」
「正直言って後先考えずにここに来ました!」
「てことは?」
「翔さんに丸投げです!」
……まぁ実際どうにかなるんだろうけども。
「はぁあ……。皆、気引き締めろよ。『この真下の空間に、俺とイネラと栞とノニケールが移動する』」
真下にいるんだったら、こちらから真下に行けばいいだけだ。
正直、相手の方をこちらに呼び出すことも可能だし、殺してしまうのも可能なんだけど、それだとここまで歩いてきた意味が無いような気がした。
ていうか無い。
俺のいきなりの宣言に栞は突っ込もうとしたけど、その頃には移動が始まっていた。
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なんか光の輪の中を通り抜けて行った。
ドラエモンの、タイムマシンで移動してるあの映像から時計を無くした感じだった。
移動したら、いつの間にか4人で横並びに立ち、木を創り出す存在と向かい合う形になっていた。
「誰かと思えばお前か。何の用だ?」
その存在は、俺も何度かあった事のある人間だった。
「……お前が木を創り出す存在っていう理由がよく分かったよ。クソジジィ。」
「(え?この人誰?)」
「(ちょっと黙ってて。今いいところだから。)」
栞が小声で俺に聞いてきた。
まぁ確かに栞はこいつに会ったことがないから分かんないだろうな。
この大陸にいる木を創り出す存在は、イネラの父。
つまりは人間の王だ。
どっしりと椅子に座って構えている。
俺達と王以外には誰もいない。
「お前はあの時こう言った。『この世界は、地上が木に覆われてしまい、地下に住むことを余儀なくされた人間達が、木と戦っている世界だ。この世界は木を切ったら救われるのだ』ってな。だが、事実とは異なっていた。」
「お前、じゃない。シラカバだ。で、それが理由になるのか?」
「あぁ。もちろん。俺が言ったことは必ず現実になるが、お前は現実とは違うことを言った。理由はそれで十分だ。」
「ハッタリはいい。それで?」
「お前を、シラカバを、倒しに来た。」
「どうやって?」
「簡単だよ。『倒れろ』」
するとシラカバは、座っていた椅子ごと倒れた。
「中々やるな。……カケル。」
シラカバは立ち上がると、ニヤつき、俺の名前を呼んだ。
「なんで俺の名前を?」
「お前は、これから九つの谷を越えるんだろう?空を翔けて。」
シラカバは、ニヤついたままそう言った。
「おい、どういうことだ。」
「者ども!こいつを捕えよ!」
シラカバがそう叫ぶと、部屋のドアから大勢の騎士らしき鎧をきた男たちが入ってきた。
そうだった。シラカバは王だった。
「『伏せろ』!『邪魔をするな』!」
俺の言葉によって、騎士達は強制的にうつ伏せになった。
シラカバも、この状況は予想できてなかったようで呆然としている。
「イネラ、栞、そいつら部屋の外に出しといてくれ。ノニケールは隣にいてくれ。」
「ご主人様!私も戦います!」
「なんでノニケールは隣なのよ!」
「お前らに死んでほしくないからだ。死んだとしても俺だけで充分だ。ノニケールは一応こんなんでも神の使いなんだぜ?舐めないでやれよ。」
「私こんなんでも戦えまーす!」
イネラと栞は、何か言いたげだったが、ノニケールが先に喋ったことにより言うタイミングを逃したらしく、無表情で騎士を運んで行った。
ストレス解消のつもりなのか、栞とイネラは、たまに騎士を蹴ったりしている。
制服姿の女子二人が、ガッチガチの鎧着た男を蹴ってるってどんな絵面だよ。
「で?どうする?」
俺がシラカバに向き直り聞くと、意地の悪い笑みでこう返された。
「こうする。最終地点」
その言葉を言い終わったと同時に、シラカバの足元から触手と言いたい木が生えてきた。
その木は伸び、俺とノニケールを無視した。
慌てて後ろを向くと、木の先はイネラと栞に向かっていた。
しかも、2人ともこちらを見ていなかった。
「二人とも危ない!『避けろ』!」
俺が咄嗟に声を出したお陰で、2人とも木に当たっていなかった。
「お前が後を向いてどうする。」
そんな言葉がシラカバから投げかけられた。
そして気付けば俺は、太さ20センチはあるだろうという木に、貫かれていた。
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