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#51 想い
私はただ、泣き続ける優也を抱きしめるしかできなかった。
「大丈夫だよ」
とか
「優也ならできるよ」
なんて言葉を、口にするのは簡単だけど、
そんなものを、容易に発するなんて、できなかった。
大人びているとはいっても彼はまだ学生で。
正直、まだ家族の優しさが必要な年齢なのに。
彼はそんな優しさに、甘えることが許されないなんて………。
「…優也、話したくなかったこと無理に聞いたのに………私、何にも言ってあげられない……。頼りなくて、本当にごめん………」
仕事のデスクワークはできるのに、
大事な人が困ってるとき、必要な言葉もわからない。
そんな自分がたまらなく嫌だ。
「……いぃ。……香帆さんが傍にいてくれたら、それでいぃ……」
そう言って、抱きしめてる私の背中に腕をのばした。
「本当に?私、何にもできない………」
「変に言葉をかけられるより、こっちのほうが全然いぃ……」
それから私たちは交わす言葉もなく、誰もいない店内で抱きしめ合っていた。
ふっと私の肩から顔をあげ、顔を覗き込んでくる優也。
「ゆぅや……?」
完全にもらい泣きで、目がうるうるの私。
格好悪いから見ないで………っ。
「わっ私……!////」
「俺……………
…………香帆さんが、好きです」




