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自分の目で見てみたいんです

午後10時。

俺は雪乃にばれないように家から外出しようとしている。

目的は学校侵入及び、屋上で星をただ眺めること。雪乃にばれてはいけない理由は単に雪乃が不正行為をしようとしている俺を見過ごせず、俺がこの時間に外へ出ようとすると雪乃に止められるからだ。

俺は素早く、靴を玄関から二階の俺の部屋に持ち出す。そして、靴を履き、窓を開け、飛び降りようとする。高さ4mはある。でも、問題ない。この方法で外へ出ることまる一年。すっかり慣れた。

「よし、行くか。」

俺が窓に足をかけた瞬間、俺の部屋のドアが開かれる。

まずい、雪乃か?

俺はこの方法で外へ出ることをやめなければならないと覚悟する。

しかし、俺の部屋に入って来たのは織姫だった。

「あら、どうしたんですか?マスター。窓から飛び降りようとするなんて自殺でもお考えで?」

窓から飛び降りようとする俺を不思議そうな顔で見つめている。

「違うよ、俺はただ外へ出ようとしていただけだ。」

俺は弁解する。すると、織姫が笑う。

「冗談ですよ。知ってます。言ったと思いますが、元はマスターと私は真の一心同体。マスターのことは何でも知ってます。」

「ははは、そうだったな。」

俺は織姫が俺のすべてを知っているという事実を思い出し、苦笑する。俺は話を切り替える。

「織姫。」

「はい、なんでしょう、マスター。」

「実はさ、俺、マスターって呼ばれるのに、ちょっと苦手意識があるんだが、マスターって呼ぶのをやめてくれるとありがたいんだが。」

「はい、わかりました。けど、なんて呼べばいいでしょう?」

俺は織姫の質問に少し考えてから答えを出す。

「うーん、そうだな、じゃあ、俺のことは昴って呼んでくれ。」

「はい、了解です、昴。」

俺の言葉に了承し、織姫は微笑んだ。

「よし、じゃあ、行ってくる。」

俺は再び窓から飛び降りようとする。

「待ってください、昴。」

織姫が俺を止める。

「織姫、俺を止めるなら無駄だ。俺の決意は固い。」

俺はキメ顔でそういう。

「いいえ、止めはしません。ただ、私も学校の屋上に連れて行って欲しいなって思いまして。それにいつ闘いが始まるのかわかりませんし。」

織姫は準備していたかのように、ハイヒールを手に持っていた。

織姫が俺が思っていたこととは違う答えが帰ってきたので少し驚いたが嬉しかった。織姫が星に興味を持ってくれることが。

俺が感傷に浸っていると、織姫が俺の顔を覗き込んできた。

「ダメですか?昴。私はただ見てみたいんです。今まで、昴の視界から見ていた景色を今度は自分の目で。」

「いやいや、別に連れて行ってやってもいいぞ。俺も星に興味を持ってくれる奴が増えるのは嬉しいし。」

俺は織姫の言葉にそう言って返すと、織姫がまた微笑む。しかし、その笑みは今までとは違う種類の笑みだった。満面の笑みだった。とても綺麗だった。美しかった。惚れてしまいそうなそんな笑みだった。

「そんじゃあ行くか、織姫。」

俺は思っていることを探られないようにすぐに話を進める。そして、俺は窓から飛び降りる。

「よっ。」

着陸成功。今度は織姫が窓から顔を出す。しかし、織姫の顔はこわばっていた。

「昴、よくこんなところから飛び降りられましたね。私は怖いです。」

「大丈夫だ、織姫。俺がしっかりキャッチしてやるから。」

「じゃあ、信じますよ、昴。」

俺の言葉で安心したのか、織姫が窓から勢いよく飛び降りる。

「ほっ!」

俺は織姫を受け止める。また、お姫様抱っこ状態。俺は少し恥ずかしくなる。それは織姫も同じようで、織姫の顔は少し赤くなっていた。

「昴、二日連続でしかも、成り行きで別の女の子をお姫様抱っこするなんて、なかなか、天然女たらしの才能がありますね。」

「そんな才能いらないから。」

俺は織姫を降ろす。

「あら、あのまま、学校に向かってもよかったのに。」

織姫は少し残念そうな顔をしている。

「いいから、学校いくぞ。」

俺は恥ずかしくなり、歩き始める。

「待ってください、昴。」

織姫が俺の手をつかむ。

「な、なに?あまりもたもたしてると雪乃に見つかるぞ。」

俺がそう言うと、織姫は顔をさらに赤らめてこう言った。

「私と手をつないでください。」

と。

「なんでだよ。」

俺は恥ずかしがっているのを隠すように怒鳴ってしまう。

「そんな怒鳴らないでください。ただ、私は殿方と手をつないで見たくて。それに手をつないでくれないと、雪乃に窓から飛び降りて外へ出ていることをばらしますよ。」

いきなりの脅迫。俺は降参する。

「しょうがない、雪乃にばらされて、監視が強化されても嫌だしな。」

俺は織姫と手を繋ぐ。そして、学校へと歩き出した。


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