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永遠の非モテ男子を演じてきた俺。しかし、好きだった幼馴染に嘘告されたので、俺は演じるのをやめて下克上をします  作者: 沢田美


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最終回 第29話:幾千の夜を越えて、永久の誓いを

 文化祭の熱狂から時が流れて、季節は巡り――桜の花びらが舞い散る春。

 俺と一葉は、無事に鳳凰高校を卒業した。


 都内の難関大学へ共に進学を決めた俺たちは、学園生活の締めくくりと、新しい人生のスタートとして、二人で暮らすための小さなマンションで新生活を始めていた。


 ※ ※ ※


「――タカヒロくん、お夕飯の準備できたわよ」


 柔らかな春の風がカーテンを揺らす、日曜日の夕暮れ。

 キッチンから届いた一葉の甘い声に、俺はリビングのデスクから顔を上げた。


 エプロン姿の彼女は、高校時代よりも少し大人びた雰囲気を纏いつつも、俺に向けられる瞳には相変わらず溢れんばかりの情愛が宿っている。


「ありがとう、一葉。……今日も美味しそうだな」

 

「ふふ、当たり前じゃない。タカヒロくんの奥さん……じゃなかった、婚約者としての腕の見せ所なんだから」


 一葉は照れくさそうにはにかみながら、俺の目の前に温かい料理を並べていく。


 左手の薬指に輝く、シンプルなデザインの指輪。

高校の卒業式の日の夜。「二人で暮らすなら、未来の約束をしよう」と俺から手渡した、大切な誓いの証だ。


テーブルを挟んで向かい合い、互いの顔を見合わせて「いただきます」と手を合わせる。

かつて『非モテ男子』を演じ、誰からも理解されずに孤独の影に隠れていたあの頃が、今では遠い出来事のように思い出される。


あの日、幼馴染の裏切りによって氷のように冷え切った俺の心を救い、暗闇から温かい光の中へと連れ出してくれたのは、他でもない一葉だった。


「ねえ、タカヒロくん」

「ん?」


食事を終え、ソファで二人並んで身を寄せ合っていると、一葉がそっと俺の肩に頭を預けてきた。

ふわりと香る、いつもの優しいシャンプーの香り。俺は彼女の華奢な肩を優しく抱き寄せ、その指先をしっかりと絡め合わせる。


「私ね……10年前のあの日に、図書館であなたを見つけられて、本当によかった」

「俺もだよ。あの日、一葉が俺の努力を見つけてくれていたから……俺は自分を嫌いにならずに済んだんだ」


一葉は顔を上げると、潤んだ瞳でまっすぐに俺を見つめてきた。

学校では誰もが羨む完璧な美貌と知性を誇りながら、俺の前でだけ見せてくれる、この素直で、愛おしくて、少しだけ独占欲の強い最高のヒロイン。


「これからはね、ずっとずっと……私の隣で、世界で一番格好いい姿を見せてね? 誰よりも一番近くで、私が自慢し続けるんだから」

「ああ、約束する。……俺の全ては、最初から今まで、一葉だけのものだから」


俺の真っ直ぐな言葉に、一葉は一気に顔を沸騰させ、愛おしそうに瞳を揺らした。


「〜〜〜っ! もう……一生、逃がしてあげないんだから……っ!」


彼女は背伸びをすると、俺の首に愛おしそうに手を回し、吸い寄せられるように深く唇を重ねてきた。


重ね合わせた唇から伝わる、熱く、甘く、溶けるような情愛。

過去の傷跡も、通り過ぎた嵐も、すべてはこの温かい愛の海の中に溶けて消えていく。


二人で掴み取った『完璧な溺愛の王国』で、俺たちの新しい未来は、これからどこまでも、永久に続いていくのだった。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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