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永遠の非モテ男子を演じてきた俺。しかし、好きだった幼馴染に嘘告されたので、俺は演じるのをやめて下克上をします  作者: 沢田美


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第25話:熱の余韻と、解けない魔法の夜

 深いキスを繰り返したあとのソファー。

 夕暮れのオレンジ色の光が、静まり返ったリビングを緩やかに満たしていた。


「……ん、はぁ……っ」


 俺の胸元で息を整える一葉の吐息は、まだ熱を帯びたまま荒い。

 首筋に押し当てられた彼女の頬から伝わる体温は火のように熱く、重ね合わせた手からは小さな震えが絶え間なく伝わってきていた。


「一葉……大丈夫か?」

「……だいじょうぶ、じゃない……。心臓、破裂しちゃいそう……」


 一葉は顔を伏せたまま、俺のシャツの生地を指先でギュッと握りしめた。

 学校では誰もが近づきがたいほどの美しさと威厳を誇る生徒会長。その彼女が、今は俺の太ももの上で身を委ね、甘く乱れた吐息を漏らしている。その圧倒的なギャップと愛おしさに、俺の胸の奥も締め付けられるように熱かった。


「……見ちゃ、ダメ」

「え?」

「今の私、すごく……だらしない顔、してるから……」


 そう言いながらも、一葉はそっと顔を上げ、上目遣いで俺を見つめてきた。

 少し赤く腫れた濡れた唇。熱っぽく潤んだ瞳。その瞳に映っているのは、世界中で俺、ただ一人だった。


「だらしなくなんてないよ。……すごく綺麗だ」

「〜〜〜っ! もう……ずるい……っ」


 真っ直ぐに思いを伝えると、一葉は一気に顔を真っ赤にして、逃げるように俺の肩口へ再び顔を埋めた。

 だけど、回された両腕は決して俺から離れようとせず、さらに強く抱きしめ返してくる。


「ねえ、タカヒロくん……」

「ん?」

「私ね……今、生きてて一番幸せ……。10年間、ずっとあなたを好きでいて、本当によかった……」


 耳元で囁かれる小さな、けれど固い意志を秘めた声。


「俺もだよ、一葉。お前がいてくれたから、俺は前を向けた」

「ううん……タカヒロくんが、私を選んでくれたの。だから……もう二度と、逃がしてあげないんだからね」


 一葉は顔を上げると、少しだけ悪戯っぽく、だけど溢れんばかりの情愛を込めて微笑んだ。

 そして、自分からそっと背伸びをして、俺の唇にチュッと短いキスを落とした。


「……お返しの、キス」

「一葉……」

「今夜は……帰さないからね? ううん、ずっと……私の側にいて」


 すっかり日が落ち、夜の静寂が部屋を優しく包み込んでいく。

 かつて裏切りによって失った過去も、過去への後悔も、もうこの部屋には一欠片も残っていなかった。

 ここにあるのは、互いを深く愛し合い、求め合う、二人だけのどこまでも甘く温かい現実だけ。


 俺たちは解けることのない熱と絆を確かめ合うように、静かな夜の中で、さらに深く、強く抱き合い続けるのだった。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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