15/28
15
「アマリリスさんとわたしに見えたあの花は、鏡に選ばれた人間にしか見えません。そしてあそこに咲く花は、鏡を通って来た人と、想い人を繋ぐ─記憶の花です」
「記憶の花。それでタイムだったのね。あなたがラグトの名前までわかったのは、魔女だからかしら?」
「まあ、そうですね」
正解でもなければ、間違いでもない。シェイラは曖昧な返事を選んだ。しかしそれは、アマリリスの求める答えではなかったらしい。彼女は眉を寄せ、怒気を孕んだ視線を向けてくる。
「曖昧な返事ね」
(説明するの、正直面倒なんだけどな。)
「……魔女であることも要素としてはあります。ですが、それ以上に」
『わたくしの加護の力が大きいでしょうね。でも他の魔女では、この力を行使するなんて到底無理なのよ。』
声が落ちたのとほぼ同時に、シェイラの頭にわずかな重みが加わった。
実体は小さい。けれど、白いドレスに白い花冠を戴いたその姿は、場の空気を支配するには十分すぎるほどの存在感を放っている。まるで王座に腰掛けるかのように、優雅に、当然のように、シェイラの頭上に鎮座していた。
「説明する前に出てきてはダメだと、言いませんでしたか。─カトレア」




