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悪夢の魔女と死んだ恋  作者: かなゑ
始まり

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1

爽やかな日差しの中を歩くこのひとときは、贅沢だ。

今日摘んできた花から、蜂蜜を思わせるやわらかな香りが、ほんのりと立ちのぼる。


(花の手入れが終わったら、紅茶とパイを用意しましょう。)

「今日は、お客さん来るかしら」


花や草木が所狭しと並ぶ道を進む。

その背後に、建物がぽつりと聳え立っている。

音のない静けさの中、見慣れた扉が現れた。

扉を開けると、いつもの景色が広がる。

窓から差し込む陽の光。開け放たれた窓から入り込む、心地よい風。

それらを一身に受けながら、店のソファで眠っている─間抜け面な男。


「警戒心を捨てた野良猫ね」


小さく呟いても、目を開ける気配はない。構っている暇はないので、いつも通り作業に取りかかる。

十時の鐘が鳴る前に、ひと通りの仕事を終えた。

あとは紅茶とパイの準備だけだ。

まだ開店前なのだから、客のことは気にしなくていい。

仮に誰か来たとしても、あの間抜けがいる。

起こしやすいよう、置き紙を一枚残す。

支度を整え、裏口から外へ出る。

庭を抜け、母屋へと足を向けた。

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