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黒の聖女と白銀の騎士  作者: 赤葉響谷
第1章 王都動乱編~前編~
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第20話 12歳になりました

 新暦1834年10月、あの敗北の一夜から3年と10ヶ月経過した所でようやく私のレベルは99まで到達していた。

 これからゴルドラント高等学院入学まで後3年と5ヶ月しか無いことを考えれば折り返しを過ぎた段階で目標レベルの半分も行っていないのは致命的な遅れだと言わざるを得ないだろう。

 だがそれも仕方の無い事だったと言うしか無い。

 そもそも、保護者同伴で無ければレベル上げが許可されないのでクロード神父が忙しい限り必然的に私がレベル上げに使える時間は少なくなってしまう。

 それに、数時間で行き来出来る範囲内で出現する魔獣は強さのわりに経験値が少なく、1時間近く掛けて倒した大型魔獣の経験値が500だった、なんて事も珍しく無いのだ。

 それなのにレベルが上がるほど入手できる経験値に補正が入る上、1レベル上げるのに必要な経験値はレベル上がるごとに増していき、レベル99から100に上げるためには14,490、100以降は200レベルまで毎回1万5千の経験値を要求されるらしいのでこのままでは200レベルなど到底到達出来るわけが無いだろう。


 だが、私だってただ黙って諦めたりはしなかった。

 どうすれば効率良く経験値を稼げるかを調べ、ダンジョンに生息する魔獣の方が経験値効率が良いと言う情報を仕入れると早速近隣のダンジョンについて情報収集を始めたのだ。

 しかし、残念ながら近隣のダンジョンはどれも適正レベルが低すぎてまともにレベル上げが出来ない事と、私の適正レベルのダンジョンはどれも遠い上に攻略に数日はかかる規模であると判明し、クロード神父が纏まった休暇が取れるタイミングか私1人でレベル上げが可能になる12歳のタイミングまで待たざる得なかったのだ。

 それに、私がダンジョン攻略を行う上でもう一つ問題となる事情があった。

 私も時々忘れそうになるのだが、私の存在は方々に混乱をもたらす危険性があるので生活を行っているブルーロック村や交流のある一部の近隣町村の重役、そして国と教会の一部にしか公表されていない。

 そんな状態で私が好き勝手に王国内を巡っていればやがて大きな問題に繋がりかねないのだ。

 一応、『幻影魔法(イリュージョン)』を使えば髪の色を誤魔化せるし、魔法のレベルが上がったことで髪の色どころか姿形を全く別人のように変えられるようになったのだが、変化が大掛かりになればなるほど効果の持続時間が短くなるし、髪の色を変える程度だったら丸1日効果が持続するとは言ってもバレた場合に宗教的な問題になってくるので直ぐに候補から外すことになった。

 そうやって様々な案を検討した結果、最終的に私が取った行動は『私が12歳になったら、自由に活動出来るように私の存在を公表して下さい』と言う手紙を国王様と教皇様に送る案だった。

 結果、今年の8月の誕生日、8歳の時と同じように私の12歳の祝福の儀を執り行うために教皇様が再度ブルーロック村を訪れたのだが、なんと今度は一緒に国王様まで私に会いに来たのだ。

 そして、これからゴルドラント高等学院入学までの間にゆっくりと私の存在を周知していくので勝手な行動を慎むように釘を刺されてしまった。

 しかし、代わりにブルーロック村に新たな守護者を派遣することでクロード神父を守護の任から外して私専属の監視者にする事と、クロード神父の監視下であれば好きにダンジョン攻略を行って良いと言う許可を得ることが出来たのだ。

 余談だが、私はこの時初めてダンジョンは非常に危険な施設であるため国の管理下に置かれた立ち入り制限区域に指定されている事と、そのダンジョンに入るには行政機関(基本的にはダンジョンが存在する近隣町村の役場か国)の発行する許可証が必要だと言う事を知ったのだった。


 これで無事にダンジョン攻略の権利を得ることに成功した私だったが、勿論ながら直ぐに出発と言う訳にもいかなかった。

 依然私はクロード神父の監視下でしか動けないため、クロード神父が後任に引き継ぎを行う期間はまともに動くことは出来ない。

 それに加え、ダンジョン内は明らかに外から見るよりも中の空間が広大だったり、複雑な地形をしているうえに多数の罠が仕掛けられていたり、最奥にはボス魔獣と呼ばれる他では見かけることが出来ないような強大な魔獣が存在したりと今までの常識が通用しない場所だと言われている。

 そのため、ダンジョン攻略を行う上で事前に知らなければならない知識も多数存在するのでその勉強にも時間を要したのだ。

 まあ、基本的に私が学んだのは野営術などの『ダンジョン内で数日過ごすための心得』が主で、私の場合食料などの問題も『収納空間(アイテムボックス)』で大抵片付くし、罠などについても『変質者(メタモルフォーゼ)』のスキルレベルを上げて習得した【パッシブ】『慧眼(えげん)』が解決してくれるので1月もせずに事前勉強は終了したのだが。


 ここでついでに私が新たに獲得した力と合わせて現時点での私のステータスを紹介しておこう。


アイリス Lv.99(次のレベルまで13,920)

(能力情報)属性:星・人  疲労度:―  疲労補正:0%

 適性武器:剣  適性クラス:剣士(セイバー)騎士(パラディン)

 体力:2,960/2,960  魔力:2,350/2,350  技巧値:200/200

 攻撃力:932(632)+4,950  魔法力:2,682(2,382)+2,970

 防御力:2,161(661)+990  俊敏力:1,718(718)

(装備)

 武器:神刀『三日月』

 防具:

  戦女神の礼装(バトルドレス)

  疾風の靴

 アクセサリー:

  幸運の指輪(ラッキーリング)

  戦神の祝福

(状態)

 【疲労無効】【全状態異常無効】【CP自動回復】


(習得魔法)

 聖なる矢(ホーリーアロー) 熟練度10/10 MP25

 聖なる槍(ホーリーランス) 熟練度10/10 MP65

 聖なる翼(ホーリーウィング) 熟練度10/10 MP90

 聖なる光(ホーリーレイ) 熟練度10/10 MP250

 漆黒の矢(ダークアロー) 熟練度10/10 MP25

 漆黒の槍(ダークランス) 熟練度10/10 MP65

 漆黒の翼(ダークネスウィング) 熟練度10/10 MP90

 漆黒の光(ダークネスレイ) 熟練度10/10 MP250

 小四大属性(エレメンタルエナジー) 熟練度10/10 MP40

 中四大属性(エレメンタルフォース) 熟練度10/10 MP130

 大四大属性(エレメントバニッシュ) 熟練度7/10 MP300

 回復魔法(ヒール) 熟練度10/10 MP30

 自動再生(リジェネレーション) 熟練度10/10 MP150

 範囲回復魔法(エリアヒール) 熟練度6/10 MP300

 光の加護(ライトプロテクション) 熟練度10/10 MP20

 闇の霊気(ダークネスオーラ) 熟練度10/10 MP20

 転移魔法(テレポーテーション) Lv.Ⅹ MP200

 創造魔法(クリエイション) Lv.Ⅹ MP360

 幻影魔法(イリュージョン) Lv.Ⅹ MP200 


(保有スキル)

【特殊】

 次元の支配者ディメンショナルドミネーター Lv.Ⅹ

 創造者(クリエイター) Lv.Ⅹ

 変質者(メタモルフォーゼ) Lv.Ⅹ

【パッシブ】

 属性支配者アトリビュートルーラー Lv.5/5

 解析者(アナライザー) Lv.5/5

 縮地 Lv.5/5

 不屈

 回復魔力量向上(大) Lv.5/5

 消費魔力軽減 Lv.5/5

 収納空間(アイテムボックス)

 道具錬成(アイテムクリエイト)

 慧眼(えげん)

【戦技】

 解析技巧(アナライズ) CP5

 分身(わけみ) Lv.5/5 CP50

 空間転移(ディメンションムーブ) CP30

 物質変換(トランスオブジェクト) CP100

 蜃気楼 CP60


 それと、伸ばし続けた髪はとうとう腰の辺りまで到達し、身長も144.6cmまで伸びたのだ!

 もっとも、同年代の同性に比べて未だ私の背が低い事には変わりは無いが。


 さて、気を取り直して色々と説明をしていこうと思うが、種類が増えた魔法については呼んで字の如くと言った技がほとんどのため説明は割愛しよう。

 強いて語るとすれば全体的に熟練度が高いことについてだが、クロード神父が忙しい時はほとんどレベル上げに行けないので、私は分身体とひたすら模擬戦を繰り返しながら魔法の熟練度を上げ続けていたのでこうなったのだ。

 特に、『消費魔力軽減』を極めてからは表示魔力の半分の消費で魔法が打てるため、魔力量の多さと合わさり1日で面白いくらい熟練度が上がったものだ。

 あと語るべきは『変質者(メタモルフォーゼ)』を極めた事で覚えた2つのスキル、『慧眼(えげん)』と『蜃気楼』だろう。

 『慧眼(えげん)』は一言で言えば、あらゆる秘匿された情報を見極めることが出来るスキルで、レベル差が有ろうが『秘匿のローブ』を着てようがお構いなしに相手のステータスを全て閲覧できるようになるのだ。

 しかもそれだけで無く、隠された罠や隠し扉なども探し出すことが出来、なんならクロード神父がこっそりと隠しているおやつの場所だって一発で見極めてしまう優れ物だ。

 そして『蜃気楼』は、発動後1度だけどのような攻撃でもまるでそのダメージが幻だったかの如く無効にしてしまう強力な【戦技】スキルだ。

 ただ、発動後最初に受けた攻撃に自動反応してしまうため、上手く使い熟すには相手の強力な一撃を見極めてスキルを発動出来る熟練の技が必要になる点が欠点だろうか。


 こうして、新たな力やダンジョンに挑むための知識も得て、私とクロード神父が『それじゃあどのダンジョンから挑もうか』と言う話しをし始めた頃、ガブリエルさんから1通の手紙が届く。

 その内容は、『担当する村の近くで新たなダンジョンが発見されたのだが、私の代わりにその調査を行ってみないか?』と言った内容だった。

 ガブリエルさんとは彼女がこの村を出た後も定期的に手紙の遣り取りを行っており、前に出した手紙でレベル上げのためにダンジョン攻略をしたいと言う事も書いていたのでこの提案をしてくれたのだろう。


 こうして、私の初めてのダンジョン攻略が始まろうとしてた。

 その果てに、あんな事になるなんて知りもせずに……。

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