第52話 ヒロインの特典?
ヒロイン視点です
乙女ゲームのヒロインの特典ってなに?
チート? でもそれはゲームの設定によりけりだよね。
優れた容姿? でも、それは攻略対象や悪役令嬢だって同じこと。
なんだろうと考えて、一つだけ思い当った。
ヒロインにしか…… というより、ヒロインをプレイしている人間にしかできないことがあった。
―――― リセット。
さすがにね? ばれたら殺されると言われれば、さすがの私も恐怖感は感じるし、だからね。
ここが現実だと認識していても、考えちゃったわけですよ。
リセットしたい~ と。
まぁ、その後、でもそんなの無理だしどうしよう。と思ったけど。
まぁ、そのあとザックがばれない様にと髪の色をアマリリスと同じ金髪に変えてくれた上に、殆どの時間ザックが一緒に居てくれたから、誰も訪ねてこないしで気が緩んできたところに、出されたお茶とケーキにまったりしちゃったのは否定しない。
うん。思わず喋るな、声出すなと言われていたこと忘れて、ケーキとお茶に癒されていたため、入ってきた人間に、誰? と聞いちゃったし。
声出してから、喋るなって言われていたこと思い出して固まったけれどね。
入ってきた人は王弟のシャルハム殿下で、どうやら私のことも黙っていてくれる? ような感じだったと思うんだけどね……
「ジートルがお前に興味を示さなかったら、お前に出逢わなかったのだから愚問だな」
っていう彼の言葉に更に固まった。
リセットオジサマの存在を思い出したからである。
ガラス細工の乙女シリーズのゲームでは、リセット方法が一緒で、リセットを選択すると、ミニシナリオが発生するのである。
ゲームでは名前こそ出てこなかったが、1では離宮にヒロインが迷い込み、侍女の殺害現場に遭遇。
血濡れの剣を構えたままの男性に、自分の専属侍女がたった今、居なくなったから代わりになれとスカウトされる。
最終選択で了承するとリセットとなり、拒否するとリセットせずにゲームが再開できるのだけれど、拒否した時に男性が言う言葉が……
「兄上の息子が見い出した女性を奪うわけにはいかないな。王太子が召し上げなければ出逢うこともなかったのだから愚問だな」
といって通常のゲーム画面に戻る。
2でリセットを選択すると、街中を歩いているときに、君のことは息子から話を聞いて良く知っているよ。できれば私の側に仕えてくれないかと声をかけられる。
最終確認で了承するとリセットとなり、拒否すると
「ジートルがお前に興味を示さなかったら、お前に出逢うことはなかったのだから愚問だな」
といってゲーム再開になるのだ。
うん。思い出した。
『彼はね、ヒロインが好きなんです。ヒロインであることが重要で、ヒロイン以外の女性には興味を示しません。ですから、皆さんがいう所のリセットオジサンは同シリーズで次の作品が発売されたのなら、やっぱり居ますよ。
それに、リセット選択時にしか出てきませんけど、ちゃんとキャラも作りこんでありますし、ここだけの話、彼が一番チートですよ。生まれながら特別な能力を持っています。まぁ、本編出てきませんけど(笑)
え? どんな能力なのかですか? うーん。これから先の展開でメインの登場人物にならないと可能性はゼロではないので、今は内緒です』
っていうゲーム会社のインタビュー記事!!
今回、リセットオジサマが来たのって、ザックはジートル殿下が手配してくれたんだろうと言っていたけれど……
絶対に違う気がする。
私がリセットしたいって思ったから出てきたんじゃ……
というか、リセットしたいって思ったままだったら、どうなっていたんだろうか?
っていうか、まって?
生まれながらの特別な能力ってなに?
え? 私の事、黙っていてくれるみたいだけど、敵なんだよね?
……………… 考えたところで分からないし、良い案も浮かばないし。
私はケーキを食べるのを再開した。




