表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
傲慢の塔(プライドタワー)編
67/148

そは堕天する人の業06


「はふ~でやんす」


 照ノは、自身のアイデンティティを、脱衣所に置いてきた。


 下駄は元より。


 キセル。


 曼珠沙華の意匠をあしらった紅の羽織。


 喪服。


 というのも理由は簡単で、入浴しているからである。


「タバコが駄目ならしょうがありやせん」


 照ノの傍には、御盆が浮いている。


 乗っているのは、とっくりとおちょこ。


「タバコが駄目なら酒を呑む」


 まさに駄目人間の見本であった。


 とはいえ、この程度で「駄目人間」と照ノを責めれば、ツッコミが追いつかなくなるのも、また事実なのだが。


 照ノが裸で日本酒を楽しんでいる横では、アリスが同じく裸でシャワーを浴びていた。


 肉付きの良い体は、彼女が可憐な少女時代であることを示す記号だ。


 胸もそこそこ。


 お尻も安産型。


 クリスは貧乳で、トリスはスレンダーであるから、アリスの体は、余計極まって照ノの目に映る。


 だから何だと云うわけではない。


 ただ


「そうあれかし」


 と思っているだけだ。


「師匠はさ」


 シャワーを浴びているアリスが問う。


「ゲイなの?」


「特に同性愛嗜好症を差別する意図はありやせんが、小生には当てはまりやせんなぁ」


 クイと日本酒を飲む。


 ちなみに照ノのアパートは、照ノとアリスの二人暮らしだ。


 倭人神職会に籍を置くものとしてのしがらみである。


 対抗組織である神威装置に籍を置くクリスとトリスとジルはアパートの隣の教会で姦しく暮らしている。


 であるためクリスとトリスとジルを差し置いて、アリスは照ノと風呂を良く共にする。


 それについての抗議は箇所箇所から上がっているが、照ノにしろアリスにしろ痛痒を覚えることも、ケジメをつけることもしていない。


 馬耳東風。


 閑話休題。


「じゃあアリスには女性としての魅力が欠けるとでも」


「とは言いやせんがね」


 クイと、おちょこを傾ける。


「はい。お盆持ち上げて」


「へぇへ」


 ザブンと全裸のアリスが入浴した。


 照ノに重なる形で。


 照ノの胸板に、柔らかなアリスの胸が押し付けられる。


 照ノの股間に、淫靡なアリスの股間が擦り付けられる。


 傍目には、いかがわしいことをしている風だが、照ノは一線を越えようとはしなかった。


 アリスの入浴によって波立った湯船が、落ち着きを取り戻したところで、御盆を再度浮かべて酒を嗜む。


「む~」


 ふくれっ面になるアリス。


 まったくもって照ノの股間センサーが赤信号にならないことで、矜持が崩されているのだ。


 とは云うものの、


「小生がアリス嬢と知り合ってから幾らでやんす?」


「六十年ちょっと……でしょう」


「その間一切の情事がありやしたか?」


「そうだけどさ……」


「むつごとも、まだつきなくに、明けぬめり……となったことがありやしたか?」


「そうだけどさぁ……」


「そゆことでやんす」


「師匠はアリスのことをどう思ってるの?」


「可愛い弟子」


「可愛い女子?」


「で・し」


「そんな念を押さなくとも……」


 残念そうなアリスを表面上は無視する。


 おちょこをクイ。


「トリスのことはどう思う?」


「愛娘とはアレを指して言うんでやしょ」


「血は繋がっていないだろう」


「それは義母たるクリス嬢もそうだと思いやすが」


「ま……ね……」


「甘露甘露」


 照ノは酒を嗜む。


「ジルのことは?」


「愛らしい萌えキャラでやすな」


「ジルの慕情をわかってて言ってるのかい?」


「まぁアレだけあからさまであれば誰でも……でやすなぁ」


「容姿は整っているよね」


「アリス嬢がそれを言いやすか」


「違いない」


 くっくとアリスが苦笑する。


「ちなみにクリスは?」


「可愛いでやすなぁ」


 秒単位の躊躇も無かった。


「即答だね」


「他の答えを知らんでやんす」


「特別扱い?」


「に……なるんでやすかね?」


 酒を呑む照ノ。


「小生、これらのヒロインたちならクリス嬢を選びやす故」


「でもクリスはツンは有ってもデレは無いよ?」


「小生、基本的に嫌われてやすからなぁ」


「やっぱり」


「それにクリス嬢は主に操を誓っていやすし」


「強姦すれば?」


「そこまで性欲が暴想することもありやせんなぁ」


「若年寄り」


「年寄りでやすよ」


 くっくと今度は照ノが苦笑。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ