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第1話:お兄ちゃんのとなり、予約済み!

お待たせしました。「ゆめみる、ゆき、あやなす、むすび。(ゆめあや)」、先日発表した「らいだ~く」に続いての設定を練り直してのリブート連載となります


これも、もはや旧作の面影はありません


それでは、新たなるステージの始まりです




本作は、魅力的なヒロインたちに自分の前世と現世を翻弄されて己の宿命に立ち向かっていくかもしれない?!結城智也が主人公のラブコメ?作品です。


ある意味「らいだ~く」とは対極にある作品です


ぜひ、智也とみくる、紗季、このみ、結、あやめたちの恋愛模様を最後まで見守っていただけたら嬉しいです!




それでは第1話【お兄ちゃんのとなり、予約済み!】、どうぞお楽しみください!

挿絵(By みてみん)


いま、僕の意識は不思議な空間にいた。

どこからか、とても懐かしく愛おしい声が聞こえてくる。


(まただ……)


「ゆき……ゆき……」


それは遠い記憶。誰かが自分に語りかけている。

いまの僕――智也にではなく、直接魂に訴えかけられているような感覚。


(あなたは、誰……?)


僕はその、逞しくも優しい愛情に満ちた声の主を知っていた。けれど、どうしても思い出せない。


「う、うーん……」


「ゆき……」


語りかけられている自分は……白き衣を纏う女性。

僕は結城智也ゆうき ともや。近隣にある結城学園に通う高校生のはずだ。それなのに、ここにいる女性はいったい誰なのだろう。

懐かしいというか、過去の恋人? いや、違う。とても他人とは思えない。


(……あ)


やがて僕の意識は現世へと引き戻されていく。


◇◆◇


カーテンの隙間から差し込む朝陽が、部屋の中に淡いパステルの光の粒子を踊らせていた。

結城智也は、まどろみの中で心地よい重みと、甘い石鹸のような残り香を感じていた。


(……なんだろう、この安心感。さっきの夢とはまた違って、すごく懐かしい……)


再び夢の残像が脳裏をかすめる。自分よりも背が高い「誰か」に抱きしめられていた、遠い記憶。

だが、その穏やかな時間は、鼓膜を震わせる吐息まじりの声で一変した。


「……お兄ちゃん。……おはよ」


智也が薄目を開けると、そこには至近距離で自分を見つめる黒髪ショートボブの美少女――義妹の結城紗季ゆうき さきがいた。

透き通るような肌が朝露のように光を弾いている。


「さ、紗季っ!? お前、なんでここに……」


「……今日は、寒かったから。お兄ちゃんの隣が、一番あったかいの」


恥ずかしそうに頬を染めながらも、薄手のネグリジェ越しにぎゅっと智也の腕を抱きしめてくる。その大胆な体温に智也の心拍数が跳ね上がった、その時――。


突如として現実の嵐が吹き荒れた。


「――智也ぁ〜っ! 朝だよおっ!」


バサァッ!!! と勢いよく布団が剥がされる。


「みくる、朝っぱらから何だよ!」


飛び起きた目の前には、水色のポニーテールを弾ませ、眩しい笑顔を浮かべる瀬能みくる《せのう みくる》。

家族以上の距離感で僕の日常を蹂躙し続ける、「同居中の許嫁」であった。


「えへへ、智也、またうなされてたでしょ? 汗びっしょりだよ。……ボクが着替えさせてあげようか?」


ニヤニヤと笑いかけてくる。


「……出ていけって、みくる! 自分でやるから!」


「いいじゃない、減るもんじゃあるまいし♪ お義父さんたちも『みくるを預けたのはそういうことだ』って言ってたもん!」


みくるがまるで肉食動物のような危うい距離まで顔を近づけて迫ってきた、その時。


「みくるちゃん、朝からうるさい」


布団の中から、紗季が静かに、けれど冷ややかな視線を向ける。


「こーらー!! 紗季ちゃん、あんたまた智也のベッドに潜り込んだわね!」


みくるは水色のポニーテールを揺らし、怒り心頭で全身をわなわなと震わせた。


「ちょっと智也! デレデレしてないで起きなさい! あんたの許嫁はこのボク! 親同士が決めた正真正銘のパートナーなんだからね!」


「……実の両親の遺志では、私こそが正統なる許嫁です」


布団の中から紗季が静かに反論する。朝から火花を散らす二人を、智也は胃を押さえながらリビングへと促した。


そう、朝からお玉を持って僕の部屋へ突撃してきた少女こそ、幼馴染であり許嫁のひとり――瀬能みくるであった。


いま思えば、彼女との縁はこうだった。


◇◆◇


【回想】十年前・幼稚園の年長組に上がる春のこと。


きっかけは、幼馴染の親の転勤だった。

どんなに当人同士が惹かれ合っていても、未成年である以上、保護者の仕事の都合による転居や転校は避けられない。

しかも今回は海外転勤。これまで精力的に仕事をしてきたことが評価されての栄転とのことだった。大人の事情として断ることなどできるはずもない。


やむを得ず引き離され、疎遠になり、ただの過去の思い出となっていく。普通なら、そうなるはずだった。


しかし――。


水色のポニーテールを揺らす猪突猛進な少女、瀬能みくるは、その運命に猛反発したのである。


「智也と離れるなら、ここから飛び降りて死ぬーーーっ!!!」


涙を流し、園庭のジャングルジムの頂上で泣き叫ぶみくる。

その命がけの叫びに、大人たちは驚くべき結論を出した。


「こんなに好き合っているのに、親の都合で引き離すなんて、さすがになあ……」

「ホントに。私達も、二人にはこのまま将来ぜひ一緒になって幸せになってほしいわ」

「うん、そうだね。こんなに気の合う相手なんて、もう一生見つからないだろうに」

「それに、海外転勤はずっとじゃないから、いずれ日本に戻ってくるわ。娘のためにも、みくるちゃんは日本にいたほうがいいんじゃないかしら」

「でも、どうしたら……」


その時、大人たちの脳裏にとんでもない解決策が閃いた。


「あっ、そうだ結城さん! よろしければ、二人が結婚するまでの間、うちの娘を預かっていただけませんか!?」

「ああ、瀬能さん! その手がありましたか!」

「それじゃあ、みくるちゃんはうちで責任を持ってお預かりします。二人は将来、一緒になるべき運命なんだから!」


力のない子供にとっては避けることのできない、親の都合による引っ越し。

普通なら転勤先へ同行し、どんなに幼馴染同士で悲しんでもどうにもならないことのはずだった。

だが、両家の親が出した結論は違っていたのである。


こうして、水色のポニーテールを揺らす少女は僕の家へと「お預かり」され、十年にわたる甘く騒がしい共同生活が始まったのだった。


◇◆◇


そして現代――。


リビングには、すでに食欲をそそる味噌汁の香りが満ちていた。


「智也くん、おはよう。ふふ、紗季ちゃんはまた『不意打ち』だったのかしら?」


おっとりと微笑みながらお盆を運んできたのは、隣家に住む坂下このみ《さかした このみ》だ。

茶髪のロングウェーブが朝の光を纏って柔らかく輝いている。

穏やかな笑顔。だが、その瞳の奥には決して譲らないという強い意志が宿っていた。智也が唯一、本能的な恐怖――そして、それ以上の信頼を感じるのが、この「最古の幼馴染」だった。


「こっ、このみさん……。おはようございます」


「智也くん。私がみくるちゃんより『一日早く』あなたと出会って、予約を済ませたこと、忘れないでね?」


「は、はは……。このみさんとは一番長いからね……」


それを聞いたこのみは、ようやく満足そうな笑みを浮かべた。


「ほら、智也。ボサッとするなよ」


いつの間にか席についていた腐れ縁の幼馴染、真田幸人さなだ ゆきとがパンを齧りながら呆れたように言った。


「お前、朝からこんな美少女たちに囲まれて……。俺なんて、このみさんの視界に入るだけで精一杯だってのに」


「幸人……。お前、本当にこのみさんが好きなんだな」


「うるせーよ。さっさと食え。……行くぞ、学校。今日は街中が騒がしいんだ」


「……って、ここは僕の家だぞ!?」


「はーい、そこうるさい! 早く食べてよ、いつまで経っても片付けられないじゃん。ボクも遅刻しちゃうよ!」


給仕をしてくれるみくるにそう言われてしまっては、智也も幸人もこう答えるしかない。


「「はい、すみませんでした」」


「よろしい。早く食べ終わったお皿はキッチンの水に浸けておいてね」


これが、結城家のいつもの朝食の一コマだった。


◇◆◇


登校中、智也たちは異様な光景を目にした。

街中の大型ビジョン、バスの車体広告、そして電柱の看板。そのすべてが、一つの巨大なロゴに塗り替えられていたのだ。


『ほんじょ〜っ、ほんじょ〜っ、世界を、手の中に。――本庄グループ』


学校へと急ぐ途中、賑やかなコマーシャルソングが聞こえてくる。


「ねえ智也、本庄グループってすごいよね。あたしたちの身の回りのものの大部分が、このグループの商品ばかりだよ」


「そうそうお兄ちゃん。昨日の夕食に使った食材も、かなりの割合が本庄コンツェルンのものだったよ」


「何かもう、生活の一部としてなくてはならない存在だよな」


「本庄グループって、智也の家の結城グループとどっちが大きいの?」


「さあな、それと僕じゃない、じいちゃん達が金持ちなんだ。だから僕たちを目の届くところ…つまりは自分で運営している結城学園に通わせているわけさ。まあ、それより今は遅刻しないようにするのが先決だけどさ」


「あきれた。智也が夜中まで起きていて朝起きられなかったんじゃん」


「みくるちゃん、お兄ちゃんのせいだけにしないで」


そうこう言っているうちに、一行は「結城学園」の校門前へとたどり着いた。


「……なにあれ。気味悪いわね」


みくるが眉をひそめる。

この時、これからどのような事態が自分たちの身に降りかかるのか、まだ誰も知る由もなかった。


第2話につづく

こんにちは、まりもです。


はじめての方ははじめまして




BlueSkyでの公言通り、何とか今週中に連載開始することができました




この『らいだ〜く − light and darkness −』は全二部構成で、一昨年に企画して、一度最後まで書き上げたのですが、やはり序盤のキャラの掘り下げや世界観のつくり込みが弱すぎたので、一度封印、「らいだ~く」や近日連載開始する「Chrono・Sphere」と同様、難航しておりましたが、並行作業をしていたところ、難題を解決することができましたので連載リスタートとなりました。

序盤はみくる、紗季、このみのキャラクターの魅力や演出が弱いということで、メインキャラはそのままですが、主人公の智也とヒロインのみくる、紗季、このみ、結、あやめの設定をとことん突き詰めました。


これから登場するこのみや結の秘書にあたるキャラなどは、今回新規キャラとなります


こちらの旧第1話はこのネットのどこかにまだあるので、もし見つけられたら比べてみると、その違いに驚くと思います。


なるべく早く上げていきますので、どうか最後までお付き合いのほうよろしくお願いします


メインヒロインのひとり瀬能みくるが歌う、らいだ~くのOP主題歌です


『らいだ~く』


 架空アニメ 「らいだ~く」 OP主題歌 星崎 怜花




 https://suno.com/s/nzCsxahuhluQvExo 

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