3話『紅い花弁』
目が覚めた瞬間、頭が痛かった。
二日酔いでもないのに、世界がやけに眩しい。
そりゃそうだ。太陽の位置は高く、おそらくもう昼を過ぎているだろう。
窓の外では、夜の雨が嘘みたいに止んでいる。
光を受けたカーテンの縁が金色に光って、やけに現実感がある。
隣を見ると、レオニスが静かに眠っていた。
寝顔は穏やかで、昨夜のあの“暴風”のような表情は微塵もない。
夜明けすぎまで抱かれ、気を失ったように眠ったからいつ寝たかも覚えていない。
「なんなの一体」
声にならない悲鳴を飲み込んで、枕に顔をうずめる。
体の節々が痛い。情緒も崩壊寸前だ。
リディアには奥手すぎてキスもろくに出来なかった童貞だとは思えないほどの激しい夜だった。
セレーネの記憶の中にも、昨日のようなレオニスとの激しい夜伽はなかった。
でも、いいか悪いかと言ったら、そこまで良くはない。
「盛りのついたお猿さんじゃあるまいし」
丁寧さもないし、勢い任せの夜伽なんてまっぴらごめんだ。
ただただ早く終わる事だけを願っていた。(終わらない地獄を味わいました)
怖すぎる。こんなの耐えれない。
早々に寝室を別にしてもらおう。
二度と御免だ!!
小説では浮気されたレオニスに同情していたけど、やる事ちゃんとやっといてセレーネではなくリディアを選んだコイツに同情の余地はない。
そんなのは真実の愛でもなんでもないんじゃあああい!
女バカにすんなよお!!
と、いう事で私はそそくさと寝室から出て自室へと戻った。
そうそう何度も黙って男に捨てられてたまるものか。
「奥様、昼食のご準備が出来ております」
「ありがとう」
侍女が知らせにやってきて、着替えをしようと肌をあらわにした瞬間。
「お、奥様」
「え?」
顔を赤らめた侍女を見てから鏡をみると、無数の赤い印が……。
「……」
「旦那様に愛されてますね」
なわけあるかい。
◆ セレーネ・ローレンス侯爵令嬢
年齢:19歳
身長:162cm
▪️髪色
・母イザベラと同じ ヴィンテージゴールド(Vintage Gold)
・陽光を受けると、淡くシャンパンを散らしたように光を返す。
・毛先はゆるいウェーブで、動くたびにきらめく繊細な質感。
・幼い頃から社交界では“陽だまりの髪”と呼ばれていた。
▪️瞳
・深い湖面を思わせる 蒼
•爵位:侯爵家の令嬢(Marquess)
•出自:旧商人階級出身だが、父が戦後に莫大な鉱山資源で富を築いた。
•特徴:
・帝都の金脈を握る「成金貴族」。
・どの派閥にも属さず、資金で両陣営を操る中立ポジション。
・帝国議会の多くの貴族が彼女の家の資金援助を受けている。
・見た目は気品高く、理知的。だが内心は深い孤独と承認欲求を抱えている。
•人物像:
表向きは気丈だが、レオニスを愛しながらも決して手に入らない現実に苦しむ。
「自分の愛で、彼を救える」と信じていたが、実際は破滅の導火線を握っていた。
カインに泣きすがったのは愛ゆえであり、結果的にリディア堕落計画という最悪の愛の形を生む。




