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[自作フィギュア]モンスター美少女たちのパパになったら、全員俺を殺しにくるんだが!?  作者: 矢崎 那央
第6話 第1幕『キツネ面の巫女と、はたらくお父さま!』
63/307

Scene3:『境界のソードファンタズマ』


 ………。


 空が……ひび割れた。


 その中心にぽっかりと開いた“空虚(くうきょ)な口”から、

 ひとりの男が、ゆっくりと逆さに降りてきた。



 ——それは……仮面をつけたピエロ…。



 そう形容(けいよう)するしかない、黒く巨大な姿だった。


 身の(たけ)は五メートル近く、

 道化服(どうけふく)のようにだぶついたシルエット。


 顔は真っ白な仮面で(おお)われ、

 表情は“()み”に固定されている。


 だがその笑みの奥からは、

 目も、肌も、感情も……何も見えなかった……。


 両手には二本の巨大な杖を持ち、

 片方には失敗した人間のような顔が(きざ)まれている。



 「ヒィ〜ハハハハ☆!

 おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいッ!?

 まだ滅んでなかったのかい☆、このお国は? 

 まったくもう☆、しぶといんだからァ!」



 杖に(きざ)まれた顔から、

 何人もの声帯が()ざり合ったような

 不協和音(ふきょうわおん)(ひび)いた。


   挿絵(By みてみん)


 周囲の魔術師団(まじゅつしだん)があわてふためき、

 警報(けいほう)()りひびく。



 「魔王軍幹部

 《災厄の道化師 -クラウン・カタストロフ-》

 確認……ッ!ただちに迎撃態勢(げいげきたいせい)を——」



 「やぁだなァ☆、もう。迎撃? 

 お掃除される側のくせに?」



 ピエロが両腕(りょうわん)を広げた瞬間、

 地面がうねり、建物の壁が泣き声のように(きし)んだ。



 「この世界を“もう一度、最初からやり直そう”って、

 マスターがおっしゃってるのさァ。

 偉大なる魔王様の、ご意思ってやつだねッ☆」



  ——ひゅん……

  ……ズどおおおーん!!



 世界が(へこ)んだような衝撃(しょうげき)


 幹部(かんぶ)を直撃した砲撃(ほうげき)

 

 熱と音が街の人々に届く前に、

 クラウン・カタストロフの影は蒸発(じょうはつ)していた。


 空間の狭間(はざま)から現れたていたのは、

 深紅に塗装(とそう)された巨大な浮遊要塞(ふゆうようさい)

 "シュタインロート・リノベイティド"。


   挿絵(By みてみん)


 (ゆが)んだ空間に(なか)ば埋もれたそれは、

 重力を無視するように浮遊し、

 そこから伸びた巨大な砲身(ほうしん)照準(ひょうじゅん)

 宙に合わせていた。


 警報が鳴り続くなか、

 私は左手を上げ、ひとつスナップした。

 空間の(ひずみ)に浮遊要塞が消えていく。


 突如(とつじょ)消滅(しょうめつ)した魔王幹部に、

 魔術師団と兵たちは顔を見合わせるばかり。


 指揮官のひとりらしき男が、

 私の馴染(なじ)みのギルド職員から、

 事情の説明を受けているようだ。


 警報が鳴り終わり、だれかが()け寄ってきた。



 「……お見事ッ!! 我が国の英雄よ!!」



 この国の将軍らしき人物が、

 (ひざ)を折って私の手をにぎってくる。



 「ぜひ、来賓(らいひん)としていや、人類の希望としてっ」



 私は、スッと手のひらを彼に向ける。



 「娘との時間が削られるのは、御免被(ごめんこうむ)る」



 「で、では。貴方に爵位(ノブレス)を!」



 静かに、にぎられた片手を()りはらう。



 「そのようなモノはいらない。

 私が望む称号(しょうごう)は"パパ"。それだけだ……」



 そう告げると、私は煙のように転移した。



————



 なお、私が魔王軍幹部のひとり、

 クラウン・カタストロフを撃破(げきは)した件は、

 魔王討伐(まおうとうばつ)という、

 歴史の転機(てんき)を加速させる引き金となった。


 その約1年後、ついに魔王は()たれる。


 戦いの中心にいたのは、

 「"トウキョウ"という場所から来た学生」

 と名のる、ひとりの少年。


 そして、彼と(キズナ)をむすんだ仲間たち。

 

 聖剣に選ばれた少年と仲間たちは、

 魔王討伐の旅の中、多くの試練と出会う。


 そして、図らずもこの世界の構造そのもの……

 “世界律せかいりつ”と呼ばれる根幹(こんかん)の謎に触れる。


 この世界に存在する『超古代文明』の起源。


 まぎれこんだ、『向こうの世界』の片鱗(へんりん)



 ——世界を救うとともに、その謎を解き明かす旅。



 私も、世界の謎を探るひとりとして、

 彼らと大きく関わることになるのだが……。


  挿絵(By みてみん)





 その件は娘と関係ないので、特に語らない。

 さて、それより次のビジネスだ。



──to be next scene.

——なあ、もしも君が、

ある日突然、知らない世界に放り込まれたらどうする?


魔法があって、魔王がいて、

剣と呪文で世界が救える……そんな“物語みたいな世界”。


……笑っちまうだろ?

でも、それが俺の日常になった。


名前は言わない。

ただの高校生だった——いや、元・高校生だ。


俺はこの世界で、“仲間”と出会った。

命を懸けて笑う奴。誰かのために泣く奴。

背負って、守って、信じ合える奴らだ。


そして気づいたんだ。

これはただの“魔王討伐の旅”なんかじゃない。


この世界の“根っこ”に、

もっとでかくて、もっとバケモンみたいな謎が眠ってる。


それを暴いて、切り裂いて、

俺は、俺たちは——


世界を選び直す。


……信じるのは、仲間とこの(ツルギ)だけだ。


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