禁術、それは
チュンッチュンッ!
「うん…はぁ〜。」
モロはいつもより深い眠りにつくことができた。
いつもなら憂鬱な朝だが、彼の目からはそんな感情を読み取ることはできない。
カタッカタッ
鞄の中から音がする。もう少しだ。もう少しでみんなから…
「モロー!起きなさーい!」
「今行くー!」
食卓につき、ご飯を食べる
「今日は…なんだかご機嫌ね。」
「ふふっ…分かる?」
ーーご飯を食べ終え、カバンを持ち、扉を開ける。
「行ってきまーす!」
「はい!行ってらっしゃい!」
外に出て、早速鞄を開ける。
そこには骸骨の頭や胸部が所狭しと詰まっている。
モロは手をかざし、魔術を唱える。
カタッーカタカタッ
カバンが発光し、バラバラだった骨同士が結合していき、次第に人の形を成していく。
カタッ…カタ…
光が、音が止んだ。
骸骨は彼を見下ろし、命令を待っている。
「ついてきて!」
カクッ
それは頷き、彼の後ろを歩く。
普段は俯きがちな登校時だが、今日は周りがよく見える。
校門前に着くと、次第に周りの生徒がざわつき始める。
みんな驚いてる!そうだよ。僕、こんなすごい魔術が使えるんだ!
心の中でそう繰り返す。
学園の校舎前で担任の教師が呆然と立ち尽くしている。
「先生!おはようございます!見てください、これ!」
普段自分から挨拶なんてしないモロ。自慢げに後ろの骸骨に指を指す。
カチッカチカチ
何かが揺れる音がする…音のする方を見る。
先生のメガネがかちかちと音を立て、震えていた。
その奥の目は、骸骨ではなく、モロを見ていた。
「…終わった…私のクラスから……き…禁術を…」
やがて音が止み、先生が後ろに倒れる。
その背後には、とてもヒトを見るとは思えない。
そんな目を向けた教師たち。
ーー気づけばモロは椅子に座っていた。
ここは職員室だろうか。
教師の怒号から耳を塞ぐ。
廊下側の窓からは生徒からの冷たい視線。
目を伏せ、頭を抱き抱える。
「チッ、ちゃんと聞いているのか?!」
モロの頬を掴み、顔を近づけ、睨む教師。
「お前は禁術も知らないのか?!全く非常識なやつだ!お前みたいなやつがこの学園にいたなんてな。いいか禁術というのはな!ーー」
禁術とは何か、そのことを長々と説明する教師。
魔術協会、使用禁止、危険思想、死者への冒涜――
聞き慣れない言葉が、次々とモロの耳に叩きつけられる。
その時、突然怒号が止んだ。
「が、学長!」
「そのものが禁術を使った生徒かの?ふむ…お主は下がっておれ。」
学長はモロの前に座ると、俯く彼の頭を撫でる。
「やれやれ…怯えきっておるではないか。」
頭から手を離し…
「…当然の報いじゃ」
「お主には即時退学を命じる。二度とこの学園に足を踏み入れるな!」
モロは俯きながら、校舎を去る。
片手には鞄と、鞄の中に入った骸骨。
「よろしいのですか…学長。その…魔術協会の到着を待つべきでは?」
「よい…魔術協会には…あの子の家に向かうよう言っておる。」
「は、はぁ…しかし。」
「禁術……のう」
学長はどこか遠い空を見上げ、つぶやいた。




