幕間 ~騎士団員ポールの供述・1~
オレの名前はポール。脛に傷を持った騎士団員。ガチムチヨロイで火魔法属性の愛されボーイ♪
オレがつるんでる友達は、竜騎士やってるヘイゼル、魔法研にナイショで魔導具くすねてトンズラこいてるフーガ、訳あって騎士団の一員になってるアレン。
友達がいてもやっぱり仕事はタイクツ。今日もヘイゼルとちょっとしたことでどつき合いになった。男のコ同士だとこんなコトもあるからストレス溜まるよな☆
そんな時オレは1人で青空市場を歩くことにしている。頑張った自分へのごほうびってヤツ? 自分らしさの演出とも言うかな!
「よっ、お嬢ちゃん、今日もカワイイね」……そんなことを言いながら買い物途中のご婦人方を軽くあしらう。
「騎士様、仕事中に女口説いてていいんですか?」「っていうかその首から下げてるプレートって何?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。店員の女はカワイイけど薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のオレを見て欲しい。
「すみません……!」またか、と、色男なオレは思った。シカトするつもりだったけど、ちらっと謝る女の顔を見た。
「……!!」
……チガウ……今までの女とは何かが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がオレのカラダを駆け巡った。
「……(やべぇ……これって、アチューメント済……!?)」
女は聖女だった。鍛錬所に連れて行かれて風魔法を撃たれた。「キャーやめて!」水魔法をキメた。「ガッシ! ボカッ!」オレは死んだ。バタンキュー(笑)
のっけからこんなんですまんが改めて、俺はヴァルハラ騎士団所属のポールだ。昨夜から今現在に至るまでの流れを古式ゆかしいスイーツ(笑)なノリで説明させてもらったが、大体合ってると思う。
あえて訂正するなら「店員の女はカワイイけど薄っぺらくてキライ」あたりか。嫌いな女性など存在しない。下はよちよち歩きのお嬢ちゃんから上は60overのお姐さんまで、女性であれば皆等しくレディとして扱うというのが俺の信条だ。薄かろうが分厚かろうが関係ない。小さければ小さいなりの、大きいなら大きいなりの良さがあるだろう。何がとは訊くな。
そういう訳で俺は、というか俺達は今、死んでいる。そういう訳ってどういう訳だよ、とツッコんでくれたそこのお嬢ちゃんサンキューな。今度ゴリラ見に遠乗り行こうぜ。乗馬なら得意だ。
昨日夜。
何か思い悩んでいる風情のカノン様(俺の上官で、ユタ出向中の部隊の長でもある)を心配した俺達は一計を案じた。ミオ様に上手いことやってもらって、何とかカノン様のお気持ちを晴らしてやろうって寸法だ。
ミオ様はいわゆる神託の聖女様ってヤツで、前回の勇者様からこちら百数十年ぶり???回目の来訪者だ。言ってみれば、待ちに待ち望まれてやっとかよってぐらいに待たれてた救国の聖女様だ。まったく来んの遅ぇーよ。待ちくたびれたぜ。
待ちくたびれるぐらいに待たされた聖女様が黒髪黒瞳と知った日にゃ、悪いが騎士団一同がっくりこいたモンだがそれも昔の話だ。ミオ様は黒瞳イコール無能の人という定説を覆す異端の人だった。ゴウコクは画期的な発見だ。あのお嬢ちゃんはゴウコク発見の功績だけでも充分ヴァルオード王国に来た意味がある。脳筋揃いのユタ民は不満らしいがな。
とにかくミオ様をスパイに仕立てて探りに行かせるってコトで話がついた。伝説の聖女様に対する扱いじゃねぇーって? まぁいいじゃねぇか細けぇコトは気にすんな。フーガが魔導具持ってたのはグッジョブだ。どっからパクってきたのかは訊かないどいてやろう。シャレにならんニオイがする。
術者にはヘイゼルを指名した。奴には前科がある。1度も2度も同じコトだろう。ヘイゼルは、あの時はラディウス卿のアシストもあったしとか高度な術の類だし丸1日は寝込むとかグダグダ言ってたが、明日の内警備代わってやるよってコトで話をつけた。それでも奴は気が進まない様子だ。かぜま使いの誉れと羨ましがるフーガにヘイゼルは、だったら君がやればいいじゃないかと暴言を吐いた。フーガもまた見かけによらずバカみてぇに胆が座ってっから、やれるもんならやってますレベル足りないんですよ、と応戦していた。レベル足りてたらやる気だったんかよ、コイツ凄ぇな命知らずだな。
本営(=宿舎食堂)と敵陣(=カノン様の部屋)の中継地点(=廊下)には、アレンが半ば志願する形で詰めている。仮にも嫁入り前の娘さんが云々と聖女様の身を案じてのことだ。奴にも娘がいるからな、気持ちはわからなくもないが相手は堅物の名をほしいままにするカノン様だぞ。あまり意味はねぇと思うがやりたいってーならやらせとく。俺様寛大。
アレンには随時ハンドサインで戦況報告することにした。あんま意味ねぇーとは思うがな。
魔導具が作動してるかの確認の為と銘打って、ミオ様には1曲歌ってもらうことにした。
『あっるこーる♪ アルコール♪ 私は呑兵衛~♪』
増幅器(下)から流れてくる歌声に本営人員は笑いをこらえるのに苦労した。コイツマジで歌ってるよ。ってかその歌何だよ笑わせにかかってんのか? ミオ様の声は通りが良くてよく響く。声質も歌向きで音程その他もしっかりしてる。だが歌い上げる歌じゃねぇーだろと。聖女様の故郷の文化って一体どうなってるんだ。
勝手に記録係を自任してひたすら自動書記に血道を上げていたフーガが、これ書き留めなくていいやつかも、と、こぼしつつもオートマティックにかきかきしている。職務熱心にも程があるだろ。
ミオ様は無事、カノン様の居室に潜入したようだ。いい手並みじゃねぇか聖女様。ドア開けさせちまえばコッチのモンだ、という読み通り、カノン様は割とあっさり吐いた。ミオ殿の天賦の才に感激し、はしゃいでしまってから、ふと我に返って云々と。自身の無神経さを恥じてどうこうと。もうアホかと。バカかと。
ラディウス卿は繊細だね、と、ぼそりと呟くヘイゼルの額には玉のような汗が浮いている。増幅器は文字通り術者の魔力を搾り取って増幅させ『力』に変換させる魔導具だ。要はガチでエナジー吸い取るヤツだ。こんなコトの為に生命削ってるヘイゼルはいい面の皮だぜ。
俺はヘイゼルの汗を拭ってやった。食堂に備えつけのテーブルダスターでだがまぁいいだろ。フーガはオートマティックに自動書記しながら、カノン様優しい……と感激している。フーガはカノン様のことを「地獄から救ってくれたヒト」とかで非常に慕っている。魔法研のモルモットだったフーガを騎士団預かりとして実質保護したのはカノン様らしい。詳しくは知らんが。フーガにとっちゃカノン様は足向けて寝られねぇ大恩人ってワケだ。しかし、かきかきしながら口動かすって器用だな。普通口と手は連動するモンじゃねぇのか? 口ではカノン様を讃えつつ手はしっかりと盗聴内容を記録している。コイツ、弓兵やらしとくより役人にでもなった方がよくねぇか?
廊下で待機するアレンにはハンドサインで軽く経過を説明しておいた。割と物音響くんだよな、この廊下。経費節減とかで時間が来ると消灯しちまうんで真っ暗だし、急ごしらえの安普請だし、何か出そうで怖ぇーえよ。地域柄ユタは怪談話も盛んだしな。ベルク・ルイーネ霊山説とか大真面目に信じてるしなユタの奴らは。
そんなワケで、こっち側からはアレンのリアクションがよくわからなくて残念だ。アイツの反応は時々予想の斜め上を軽々突き抜けてくるからリアタイで見物してたかった気もするぜ。
評価ブクマ等ありがとうございます。とても嬉しく励みになっております。
むしゃくしゃしてやった。
反省はしない。
系のヤツです。
目先を変えてポール殿視点です。
ヒーローポジのカノン様を差し置いて名有りモブ騎士団員が語り手かよとツッコんで下さったそこのお嬢さんありがとうございます。
ガチムチヨロイで火魔法属性の愛されボーイ♪ が、ドライブ(乗馬)がてらのハイキング(山中でのゴリラ見物)にエスコートしてくれますよ~。
あ、でもクマには気を付けてね☆




