94.またレベル上げ
ワールドマーケットを見たら幾つかの素材は売りに出されていたから、お金に困っていない私は即ゲット。
残りの素材と唯一の★★★素材はまとめて夕嵐の双翼に取得依頼を出してみた。
メッセージでカストルさんに送ったら、時間はかかるが取れる、と言われたから、そのうち届けてくれるだろう。
「でも、またレベル上げしないとなんだね〜……」
ついさっきまで裁縫のレベル上げをしていたのにまたか、とも思うけど、ゲームってそんなものだよね。
レベル上げがメインみたいなとこあるし、戦闘しない生産メインなら尚更。
ってことで、錬成もレベル上げしますかー。
「しかし、今回は裁縫よりも大変ですよ?」
「何で?」
「裁縫は★★アイテムでしたからLv.20で良かったですが、今回は★★★素材がありますからね、Lv.40まで上げて頂く必要があります」
「うげっ」
「それに、まだレア度の高いものを作る方法を発見していませんから、下手をしたらただひたすらに作り続けるしかないかもしれません」
「うぎゃあ」
スピカちゃんのセリフに不気味な合いの手を入れていても話は進まない。
現実逃避は程々にして、やれることからやって行こうか。
「レベル上げなんだから、効率良く作れるアイテムの方が良いよね。
一つ一つのレア度は低くても良いから、同じ素材が大量に手に入る方が……」
一人でぶつぶつ呟きながらマーケットを見ていくと、《〇〇草》系のアイテムが良さそうだった。
とにかく大量に出品されているから。
「《〇〇草》は素材にもなりますが、そのままで食べても効果が出ますから需要はあります。
マーケットで在庫過剰になっているものは比較的安全な所に生えているものばかりですね。
弱い人や幼い子どもが取って来て売っているのでは、と思います」
「なるほど。じゃあ余ってるのはいっぱい買っても大丈夫そうだね」
マーケットに預けたら劣化しなくなるから、次々と在庫を補充しまくって余り倒してる、っていう店が沢山あった。
物は試しと安いものからひと山買って、目の前に出してみる。
「そういえばさ、随分前に《かなり薄いアパー草の水薬》ってやつを作ったと思うんだけど、その時に、下処理とかしないの? って話をしたよね?」
「……そう、だったでしょうか……?」
「そうそう。それで、下処理しようと思ってキッチンに行ったのにそのまま料理しちゃった、みたいな」
「たしかに、そんな事もありましたね」
「その時のリベンジってことで、この《アパー草》たちをどうにかしちゃいたいと思いますっ!」