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サキュバスさんがおうちにやってきた  作者: hikoyuki


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第3話 サキュバスさんとお風呂に入った

「さて、お風呂はもう沸かしてあるわよ。一緒に入りましょう」


 こうしてさきゅちゃんに連れられて我が家のお風呂場までやってきた。


 そして私もさきゅちゃんも服を脱いで浴室の中へ。ああ、お父さん、お母さん。私は今から大人の階段を登るですぅ……。


 「ふふ、緊張してるわね。ぜんぜん興味ない振りしてたのに、本当は待ちきれなくて仕方なかったでしょ♥」


「……もうっ。さきゅちゃんが能力がなにかを使ってるんでしょ?」


「何もしてないわよ?あなたが勝手に堕ちちゃっただけ。まったく、メグって気持ちいいことに弱すぎない?かわいいわねっ」


 そんなわけないのです……でも、やっぱりその言葉を否定できない私。というよりも、そんなちょっと小馬鹿にするような言葉すら不思議と私には心地良くて、このまま彼女に屈してしまいたくなる。


「ほら、正直に言ったらどう?さきゅちゃんに気持ちよくしてもらいたいですーって。そうしたらご褒美をあげる」


 そんな事、恥ずかしくて言えるわけないです。でも……私……。


 幸せを取るか、それともプライドを取るか約1秒にもおよぶ果てしない思考を頭の中で繰り返し、そして私は答えを口にする。


「……わ、私は……さ、さきゅちゃん!!気持ちよくしてください!」


「良く言えました♥さあ……目を瞑って……」


 も、もしかして、キスされちゃうです……!?舌とか入れられちゃうです……?


 ファーストキスなのですよ?それなのに、別に付き合ってるとかでもないのに……女の子同士なのに……。


 それでも私の心は嫌だとは感じなかった。なんでだろう。気持ちよくなりたいから?それとも……。


 私はこれから訪れる淫らで淫靡な触れ合いにどきどきしつつ、そっと目を閉じる。


 そしてさきゅちゃんの唇の感触をじっと待っていると……。



「波ァっ!!!」



 さきゅちゃんの掛け声と共にどかーん!と激しい爆発音が鳴り響き、お風呂の水がばしゃーんと跳ねる。


「ひゃっ!なんなのです!?」


 閉じていた目を開き、何が起こったのか確認すると、そこには!!


 薄緑色に染まったお湯が溜まったお風呂の姿が!!


「これがあたしの第一固有能力……お湯を温泉に変える力よっ!!さあ、入りましょう!気持ちいいわよ!」


「ふざけんな!!!!」


 わたしのどきどきを返せ!!


 どこの世界に温泉を生成するサキュバスがいるです!?


「なによ?お風呂で気持ちいいことって言ったら温泉に決まってるじゃない。逆になんだと思ったの?……そういえばさっきからまだ温泉に入ってないのに気持ちよくなってたみたいだけど」


「きききき気持ちよくなんかなってないですよ?さあ入るです!」


「あらそう?人間が気持ちよくなるとエネルギーが溜まるから間違ってないはずなのだけど。ちなみにもう1年分くらい溜まったわ」


「コスパ良すぎ!?」


 お話してるだけで1年分も貯まるなら1ヶ月もすれば100年分くらい溜まっちゃうでしょ!


 とはいえせっかくさきゅちゃんが作ってくれた温泉だ。さっそく入ってみることに。そっと足を入れてみると、それだけで確かにすごく気持ちいい。疲れが一気に取れていく気がする。


 そのまま肩まで浸かってみると、身体がぽかぽかしてなんだかぼーっとしてきた。なんというか、お母さんに抱きしめられててすやすや眠っていた時みたいな、そんな感覚がある気がする。


 すっごく期待はずれではあるけれど、確かに極楽気分。これはこれで悪くないです。


「この温泉はお肌の美容にも効果があるのよ。3分も入ればお肌つるつるでもっちもちよ!」


「なるほどー。もっちもちー」


 もうこのふわふわした感覚が既にもちもち気分なのだけど、とりあえず二の腕を触ってみた。


「うわっすごい!なんか食べられそうなくらいもっちもちなのです!」


「あたしも食べちゃいたいくらいよ」


「はやく食べてほしいんですけど?」


 思わず本音が出てしまったけど、さきゅちゃんはすっとぼけてるのかわたしの発言を軽くスルーして「極楽ねー♥」などと言っている。


「ちなみに他にも病気が治ったり寿命が伸びたり胸が大きくなったりするわよ」


「よくわからないけど、まーなんでもいいです。まったりしましょー」


「そうねー」



 それから1時間くらいぼーっと浸かっていると、そのままのぼせてしまった。


 お風呂から上がってベッドの上にばたっと倒れ込む。


「ふわー。身体がとろけるですー」


「今日はありがとね。おかげでエネルギーが100年分溜まったわ。これでしばらくは安泰よ」


「もう突っ込む気も起きないのです」


「ふふっ、だらけてるメグは可愛いわねぇ。それっぷにぷにっ」


 さきゅちゃんはそんな私のほっぺたをつんつんして遊んでいる。私と同じくらい入ってた割にずいぶん元気そうなのです。


「ほっぺたももっちもちなのですー」


「ずっと触っていたくなるくらいね。ぷにぷに」


 それからベッドで横になっているわたしをさきゅちゃんがしばらく突いてきて。しばらくしてからほそりと声を漏らす。


「ふふふ、どうやら動けないみたいね。計画通りだわ」


「えっ……?」


「ふふっ、抵抗できないわよね?これからあたしのサキュバスとしてのテクで夜のマッサージをしてあげるわ!」


 よ、夜のマッサージ……!?ど、どうせ普通のマッサージに決まってるです!もう騙されないですよ!!


 ここまでの展開でもうオチは読めてるです!それで身体の凝りが全部解れて気持ちいい!っていう事ですよね?わかってますよ!!


「ほら、私に身体を預けて……?」


「や、優しくしてくださいです?」






 読みどおりのオチだったので描写は割愛するのです。

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