第246話 魔界へ
あれから俺達は何度も魔族領を訪ねた。
『空間結合』を俺が覚え移動が楽になったのもある。
貿易が始まれば線路を引くのもいいだろう。
食事に関してはドラゴンの肉がいつまでも日持ちするわけではない。
干し肉や燻製にしておき素材が売れてからということで、俺のストレージの中に蓄えて置いた穀物を後払いで渡してある。
簡素な家も建ち始め人々の顔は活気に満ちている。
彼らにとって生活の不安がないことが、気持ちを前向きにさせているらしい。
これからやることは魔界の住人と家畜を連れてくることだ。
だが険しい山脈を越え家畜を連れてくる術が彼等にはない。
そこで俺の『空間結合』の出番だ。
バジムさん達に実際に体験させると、目が飛び出るかと思うくらい驚いていた。
これから俺がやることは『空間結合』を使い、魔王アモンに状況報告と、許可を取り魔界の住人と家畜を連れてくることだ。
それに俺の能力の高さを見せつけることで、魔王国への牽制にもなるだろう。
俺にはオルガさんが同行し、バジムさんは副官のエイベルさんに後を任せ、戦士2人を連れ魔界に向かうことになった。
エリザちゃんとアリッサさんはお留守だ。
アリッサさんがいれば何かあっても対応できるだろうから。
そして俺達は『空間結合』をくぐり山脈を超えていく。
歩きなら数か月かかる距離を、数時間で向こう側に付くことが出来た。
「今の時期だと我々の集落はあちらの方角だと思います」
バジムさんの従者の1人、エイベルさんが口を開く。
もう1人はアルフさんという魔族だ。
「わかりました。向かってみましょう」
そう言うと俺達は『空間結合』で進んでいく。
しばらく進んでいくと集落が見えた。
「あっ!あれです、エリアス陛下」
バジムさんが指を指して叫ぶ。
そこに簡易テントテントのような集落があった。
魔族の人達は俺に敬意を表して、『陛下』と呼んでくれるが恥ずかしいものだ。
しかし友好関係がいつ崩れるかわからない以上、油断はできない。
魔族の戦士の戦闘能力は比較的高く、冒険者A~Bクラスになる。
指揮官のバジムさんや副官エイベルさんはS~Aクラスかもしれない。
そんな戦士が2,000人も居たら小さな領など、ひとたまりもない。
彼らの種族は力がすべて。
最初に出会ったのが俺だから、人族はレベルが高いと思ってくれているようだ。
そうでなければ他の国を今頃、侵略しているだろう。
「何者だ!!そこで止まれ!!」
見張りの兵士から制止を掛けられる。
「私は魔王軍第一遠征隊を任されている指揮官のバジムだ。プセウドテイ様はどこにいらっしゃる?客人をお連れしたのだ」
「はっ!失礼いたしました!!あちらのテントになります」
見張りの兵士が指さすテントに俺達は案内される。
魔族の人達は人族や獣人を見たことがないそうなので、騒ぎにならないように俺とオルガさんはフードを被って歩く。
「プセウドテイ様、バジムただいま戻りました!!」
「おぉ、バジムか入れ!!」
そう声がかかり俺達はテントの中に案内された。
そこには三対六枚の翼を持ち、炎の短剣を持つ蛇の顔をした男が立っていた。




