第240話 魔族
「…アス様…。エリアス様。お気を確かに…」
誰かに体を揺り起こされるようだ。
俺は目を開けると、俺は横になっていたらしい。
「エリアス様、良かった。いきなり倒れたと思ったら目を覚まさなくて…」
そこには涙目になったエリザちゃんとオルガさん、アリッサさんも居た。
いったい俺はどうしたのだ?
「ここは?俺達はどこにいるのかな、エリザちゃん?」
起き上がりながら尋ねる。
「シェイラ国近郊のアスケルの森の中です」
「どうしてそんなところに?」
「覚えていないのですか?この地域を縄張りにしていた火竜を倒した、魔族の動向を探るためにここまで来たのですが突然、エリアス様が倒れて…」
魔族が火竜を倒した?
魔族?
なにを言っているのだろう?
「オルガさん、アリッサさん、ここにきてお腹の赤ちゃんは大丈夫なのかい?」
「何を言っているの?エルフの私と人族のエリアス君とでは子供が出来ずらいのよ。それにオルガも獣人だから同じね。まあ、エリザちゃんはこれからだけどね」
「ではノエルさんは?」
「ノエルもまだ授かっていないわ。どうしたのエリアス君?」
アリッサさんが心配そうな顔をして、俺の顔を覗き込む。
確か次元の綻を見つけ、ストレージで収納可能か試みたはずた。
そして召喚され…。
元の時系列に戻れなかったのか?
「いや、ちょっと記憶が曖昧で。確かめたかっただけです、アリッサさん」
「そう、無理はしないでね。大丈夫?」
「もう大丈夫です。心配をかけました。話の続きを聞かせておくれエリザちゃん」
「はい、物見に出ていた闇妖精の話では、火竜はアスケル山脈の向こう側からやってきた、魔族と名乗る軍勢に倒されたと聞きました。そして彼らはシェイラ国近郊のこの森に集まってきています」
「ではその魔族は国作りの真最中ということか」
「えぇ、その様です。闇妖精の話では、彼らは身体能力が高く攻撃力もあり魔法も使えるようです。個体にもよりますが、角や翼があるようです。これから彼らがどうしたいのか、それを知る為にも偵察に出てきたのです」
空いている土地を誰が手に入れるかは早い者勝ちでしかない。
しかにその後が問題だ。
そこからセトラー国まで南下して攻めて来るのか、西側のシェイラ国に攻め込むのか、それとも友好を結ぶのかだ。
魔族の考えを知りたい。
そう思って俺達はここまでやってきたようだ。
俺達は森の北部に向って進んで行くと開けた場所に出た。
正確には火竜との争いの場になったのだろうか、木々が倒れ辺り一面、焼け野原になった場所にでた。
そこには1,000人、いいや2,000人近くの人々がいて、木々を伐採し簡単なテントの様な物を立てている。
そして火竜を解体している者もいる。
「どうするエリアス君?」
「まずは責任者と話をしてみましょうか?アリッサさん。まあ、俺達みたいな子供に、会ってくれるかは分からないけどね」
「そうね。でもどう言う人達なのかがそれで分かりますわ」
俺達は魔族と言われる人達のところに、目立つようにフードを取り歩いて行く。
近付くと遠目には見えなかった人達の額には、角が1~3本生え背中には翼がある者もいる。
すると向こうから5人の男達がやってきた。
その中の指揮官と思われる、額に2本角と翼を生やした男から声を掛けられた。
「おい、現住民か?!しかも子供がこんなところに何故いる?この近くに村でもあるのか?」
「俺達はここから南にあるセトラー国の者だ。代表者に会いたい」
「なにがセトラー国だ!!嘘を言うな」
周りの取り巻きがまくし立てる。
「本当のことだ。これからあなた達がどうしたいのかを、確かめるためにここまで来ている」
「そんなのは決まっている。新天地を求め食糧を得ることが我々の目的だからな」
責任者風の男が答える。
「それなら仕方がない。我が国に仇なすなら叩き潰すのみだ」
「何を言っている。女子供子供だけで、なにが出来るというのだ?」
「ここにいる人数くらいなら、俺で1人で十分対抗できるけどな」
「な、なんだとぉ!!おい、こいつらを拘束しておけ」
「「 はっ!! 」」
部下の6人が俺達に掴みかかろうとする。
俺は周りにストレージのドームを張った。
「わっ!!なんだ」
「進めないぞ?!」
ストレージは生き物を収納できない。
生き物は近づくことが出来ず、物理攻撃や魔法は収納することができる。
だから掴もうとする行為も俺には届かない。
「剣を抜け!!」
「かかれ~!!」
すると突然、彼らは剣を抜きだした。
ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!
ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!
ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!
ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!ドカ!!
「駄目だ!!攻撃を受け付けないぞ!!」
「魔法だ、魔法で攻撃するんだ!!」
俺達の周りに騒ぎを聞きつけて集まり人だかりができる。
ドンッ!!バコッ!!ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!ババッ!!
ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!
ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!
バコッ!!ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!ババッ!!ボオァ!!
ドンッ!!バコッ!!ババッ!!ボオァ!!ドンッ!!バコッ!!ババッ!!
俺達は集まった30人くらいの魔導士から、それぞれ得意な魔法攻撃を受けている。
土煙に覆われ周りが見えなくなっていく。
攻撃を受けている魔法は火、水、風属性が多い。
これはすでに俺が持っている属性だから嬉しくないな。
おぉ、これは闇と雷属性か?!
これが手に入るなんて!!
俺は自分が持っていない属性を、収集できるのが嬉しくて微笑んでいた。




