第232話 優位に立つ者
私はビッチェ・ディ・サバイア。
今、謁見の間に来ている。
妖精のミリアちゃんの力を借りることができ、私自身も簡単な聖魔法が使えるようになった。
でも私を支持してくれる人はもう誰もいない。
私は先日の聖女召喚が成功したことを話し、国王に会えるように直接願い出た。
「面を上げい。ビッチェ王女」
国王クリストフ ・ディ・サバイアの、野太い声が聞こえる。
謁見の間で国王と会うことで私達親子を下に見る、派閥に知らしめることができる。
そしてロターリ司祭にも来てもらうことを頼んでおいた。
ガストン宰相が口火を切る。
「ビッチェ王女様、本日はどのようなご要件でしょうか?」
「聖女召喚についてです」
「なに?!まだ言っておるのか!聖女召喚をするも何も現れず、しかも勇者エリアスも忽然と消えてしまったと聞く。おかげでこの国は、領主や他国に対していい笑いものだ」
「いいえ、それは認識が間違っていたのです」
「認識が間違っていただと?どう言うことだ」
私は事前にミリアちゃんと打ち合わせをして話を決めておいた。
召喚者は一つの時代に二人は存在できないと言うこと。
次の者が召喚されると先に召喚されていた者が、代わりに元の世界に戻されると言う話。
そして文献に書かれていたのは聖女召喚ではなく、聖女と言われる力を召喚し手に入れることが出来る儀式だったと。
だから今回は成功し誰も出て来なかったことを説明した。
そしてそれに相応しいものを備えていた、側にいた私が力を手にしたと。
ここが大事だった。
所詮、召喚なんて眉唾物、それなら適当な都合のいい嘘をつけば良い。
「どうして、そうだと分かるのですかなビッチェ王女様」
ロターリ司祭だった。
「それは、これです」
『お願いミリアちゃん』
『あいよ!』
肩に乗っているミリアちゃんから、ものすごい魔力が放出される。
〈〈〈〈〈 ズウゥン~~!!! 〉〉〉〉〉
「わっ?!」
「な、なんだ?!これは!!」
周りの重臣達が、よろけたり、座り込んだりしている。
『もういいわ、ありがとう』
魔力放出が終わり、みんな元に戻った。
「い、今のはなんだ、ビッチェ王女」
「はい国王様、私を中心に、魔力を少し放出しただけです」
ミリアちゃんは私の肩に乗っている。
魔力を放出すれば結果、私を中心を放出したのも同じだ。
「なんと!!そんなことが。ロターリ司祭どうだ。ビッチェ王女をどう見る?」
「は、はい。確かに魔力だと思います」
ロターリ司祭は、汗をダラダラ流している。
「ではロターリ司祭、ビッチェ王女は聖女なのだな?」
「いえ、確かに以前の王女様の魔力量には、比べものになりませんが、聖女では…」
ロターリ司祭は色々とあった仲だ。
私は彼の顔を見ていると無性にムカついてきた。
それがわかったのか、ミリアちゃんが言って来た。
『ちょっと、懲らしめてやろうか?』
使徒になった私の感情が少しなら、分かるらしい。
『ミリアちゃん、お願い』
『分かったわ!』
〈〈〈〈〈 |Ability Release!! 〉〉〉〉〉
私は左手をロターリ司祭に向けた。
同時に左肩に乗っている、ミリアちゃんが魔法を放つ。
まるで私の左手から、魔法が放たれたように見えるだろう。
「ウワ~~ァ!!」
私の魔法を受けたロターリ司祭は眩く輝いた。
「な、なにをしたビッチェ王女?!」
「あなたの魔力を封印したのよ」
「なんと、そんな馬鹿な!!」
実際には一時的に相手の能力を奪うのだが。
「嘘だと思うなら、私に向かって魔法を打ってみたら?」
「この、あばず…「駄目だ、許さんぞ!ロターリ司祭、窓の外に向かって放て!!」
さすがに孫娘は可愛いのか、サバイア王が助けを出す。
仕方なくロターリ司祭は、窓の外に向かって魔法を唱える。
「Holy Arrow!!」
しかし、何も起きなかった。
「そ、そんな馬鹿な?!」
「Holy Arrow!!」
「Holy Arrow!!」
「Holy Arrow!!」
「Holy Arrow!!」
「Holy Arrow!!」
「そ、そんな…」
ロターリ司祭は突然の事に座り込み、絶望した顔をしていた。
聖魔法が使えて初めて神官以上になれるのだ。
もし使えなくなったら…。
ロターリ司祭は立ち上がり、私のところにやってきた。
そして跪く。
「ビッチェ王女様、いいえ聖女様。私が悪かったのです、お許しください」
「私はあなたが司祭から、ただの信徒になっても一向に困りませんわ」
「そ、そこをなんとか、お許しください!!」
「それならこれから教会も、魔物討伐に協力しなさい!」
「協力は今までも、してまいりましたが?」
「それは法外な報酬を得てでしょう。私が言っているのは世の中を導くのが教会なら、無償で人と資金を出しなさいと言っているのよ」
「そ、それは…」
「あなたの次の立場の人は誰かしら?その下の人は?あなたが魔法を使えなくなれば、あなたの下に付いているたくさんの人の立場が上がりきっと喜ぶわ」
「わ、わかりました、聖女様。あなたのいう事に従いますから…」
「では今後は討伐隊の編成費用は、教会側も持つという事で良いわね?」
「も、もちろんでございます」
「それから神官も出しなさい」
「はは~、仰せのままに」
ロターリ司祭は、さらに跪く。
「サバイア国王、お願いがございます」
「なんだね、ビッチェ王女」
「近郊の魔物が生息する森の討伐部隊を編成願います」
「討伐部隊だと、だが…」
「大丈夫です。必ず森を浄化してみせましょう!!」
「それは頼もしい。それではこちらからも、先鋭300名を送ろうではないか」
「はい、ありがとうございます」
「それでいつ出発したいのかね?」
「早ければ早いに越したことはありません。時間が惜しいですから」
「では3日後の早朝に出発としよう」
「ありがとうございます、それからロターリ司祭様」
「は、はい。なんでしょうか?」
「そちらからはあなた以外の神官を、6名を無料奉仕で出してください」
「6人もでしょうか?それではこちらの業務に…」
「出来ないと言うのですか?魔法が使えない司祭様」
「そ、それは…!どうか魔法を使えるように…、元に戻してください!」
「そうね~、どうしようかしら?」
「わ、分かりました。6人出しましょう。ですから魔法を使えるように…」
「そうね、2~3時間は、そのままで居てもらおうかしら。もし今後、教会が私に非協力的な態度をとれば、また使えなくなるかもしれないわね」
「そ、そればかりは、どうか…」
「今後の、ロターリ司祭様次第ですわ」
「は、はい、わかりました…」
サバイア国王は、そのやり取りを見ていた。
女神ゼクシーを仰ぐシャルエル教は、この大陸全土に信者がいる。
時には司教の意見は一国の王よりも、力がある場合がある。
それが今、司祭ではあるがシャルエル教より優位に立つ者がでてきた。
これは国として大きな切り札だった。
★教えてミリアちゃん!!
は~い!!ここでは皆様から寄せられた、素朴な疑問にミリアちゃんが答えます。
では第1回目は東京都のイタチさんからの質問です。
「夫婦円満の秘訣はなんでしょうか?」
ミリアちゃんの答え!!
『話さないこと、一緒に居ないこと』です!!
ではまた来週~!!!
ぶふふ。




