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第217話 護衛

「エリアス様、お父様と国王より許可がおりました」

 そう言いながらビッチェ王女が部屋に入って来る。

 明後日の討伐前に王都を見て回りたいと言う俺の願いが通ったのだ。


「ですが私も城下に出たことがなくて。この機会に私も見て回りたいので、道案内をご紹介いたします。2人とも入ってきて」


〈〈〈〈〈 チリン、チリン!! 〉〉〉〉〉


そう言いながらビッチェ王女はハンドベルを鳴らした。


「「お呼びでしょうか?」」


 ドアが開き同じ顔立ちの15~16歳くらいのメイドが2人顔を出す。

 双子なのか?


「ご紹介致します。この2人は私のメイドと、護衛を兼ねている戦闘メイドのリンリン、ランランです」


「「 よろしくお願いいたします。勇者エリアス様 」」


 2人は声をハモらせながら俺に挨拶をした。


 ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


★ビッチェ王女の私心


 エリアス様が街を見て回りたいと言う。

 私も生まれてから城下に出たことや街を探索したことはない。

 この機会に便乗し一緒に視察に行こうかしら。


 私の世話をしてくれているのは戦闘メイドのリンリン、ランラン。

 2人は私と同じ15歳。

 私と歳が近い方が良いだろうと言う配慮のようだ。


「良いですか、リンリン、ランラン。明日は勇者エリアス様と一緒に城下へ視察に行くわ。あなた達の任務はその道案内と護衛よ」

「分かりしたビッチェ王女様。ですが外出着はいかがいたしましょう?さすがにそのドレスでは…」


「そうね。庶民寄りの服を、誰かに借りることは出来ないかしら?」

「私の服で良ければ、お使いください。丁度、私達は王女様と背格好が同じくらいですから」


「えぇ、リンリン」

「いいえ、ランランです」

「ごめんなさいね」

「良いんです、双子ですから。見分けが付きませんよね」


「そうだわ」

 私はタンスからスカーフを2枚取り出した。


「このブルーのスカーフをリンリンに、赤いをランランにあげるわ。付けてみて」

 2人それぞれにスカーフを渡した。

「まあ、素敵。2人共よく似合うわ!!」

「「ありがとうございます」」

 2人は嬉しそうに私に頭を下げた。

 そんなに恐縮しなくてもいいのに。


「こちらこそ、ごめんね。2人が分かるように目印を付けたんだもの、気を悪くしないでね」

「いえ、そんなことはありません」

「では、お着替えを持って参ります」

 そして2人は部屋を出て行った。




 しばらく待っていると2人が戻って来た。


「お待たせいたしました、ビッチェ王女様。私達2人の服を色々、探してみましたがこんな物しかございませんでした」

 リンリンにそう言って見せられたのが、朱色のタイトなワンピース型のドレスだった。


「まあ、シンプルで素敵。それに着やすそうね」

「はい、貴族の方の服は紐止めが多く、1人では着ることが出来ません。ですが庶民は1人で着ないといけませんから着やすく出来ております」

「それは効率的で良いわ。私の服もそうしようかしら」

「そうなると私達、メイドの仕事が無くなってしまいます」

「主人の手間が無くなると、メイドの仕事が減るという事ね。難しい話だわ」


 そして私は着方を教わり1人で初めて洋服を着替えた。

 貴族の服は後ろ側で紐止めする事が多く1人では着られない。

 そのため毎朝起きるとメイドに手伝ってもらいながら、服を着替えることがあたり前だと思っていたわ。

 でも1人で着替えることが出来る服にすれば、その分の労力を他に回すことが出来るわ。

 まあ、それは今後の課題ね。


 え?

 何を私は考えているのかしら?

 私は何の権限も無い王女。

 だからこうして、足掻いているのに。

 国の事を考える立場でもなく、余裕もないのに。


 さあ、着替えられたわ。

 明日はこの格好で行くのね。


「それから王女様。多少装飾品を、身に付けることをお勧めいたします」

「どうしてかしら?」

「そうすれば、どこかの下級貴族の令嬢と見えるでしょう」

「わかったわ。そうしましょう」



 ランランに言われるまま、私は小ぶりな指輪とネックレスを身に付けた。

 そして何か購入した時のために、入物として小さいポーチを首から下げた。


 城の中にいるとお金を使うことはまず無い。

 支払うことがあっても、国からお金が出て直接、自分で払うことは無い。

 でも今日は初めて買い物をする為に、自分のお財布を手に持った。


「それから街に出たら私の事は、お嬢様と呼んでね」


「「 はい、わかりました!!ビッチェ王女様!! 」」


 そこはお嬢様でしょ?!



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