第212話 お披露目
翌日の早朝。
陽がやっと昇り始めたころ俺は起こされ、騎士団が集る訓練場に連れて来られた。
こんな朝から体を動かすなんて。
周りには騎士団員が50人くらい俺を遠回しに見ている。
立ち合いはサバイア国王と、70歳くらいの背筋の通った老人。
たしかガストン宰相とか言っていたな。
それと偉そうな恰好をした騎士団長アーガス・リベラを紹介された。
30代半ばの口髭を貯えた金髪だ。
リベラ団長の補佐をしているのが、コニーと言う20代後半の男だ。
そしてオバダリア侯爵とビッチェ王女だ。
「ではこれより勇者エリアス殿と騎士団の模擬試合を始める!!」
補佐のコニーが高らかに声を上げる。
俺は全長約1.4mはある肩の凝りそうな大剣、『クレイモア』を肩に担いでいる。
すると騎士団員のざわつく声が聞こえる。
「おい、あの剣を見てみろよ」
「確か寄宿舎に置かれていた剣だろ?」
「あれは重すぎて誰にも使えないから、お蔵入りになっていた奴だ」
「あんなものを振り回せるのかよ?!」
ごもっともです。
ただここで騎士団と試合をしても、勝つことは分かっている。
そこで俺は考えた。
「すみません」
「なんだ?」
コニーが面倒そうな顔で答える。
「準備運動をしていいでしょうか?」
「あぁ、構わない。ただ国王をお待たせしているのだ、手短にな」
「わかりました」
そう答えると俺は他の人より距離を空けた。
「では行きます」
俺はそう言うと肩から『クレイモア』を降ろす。
まずはこれからだ。
一度の踏み込みの間に三度の突きを繰り出す『三段突き』。
新選組一番隊組長である、沖田総司が使用したとされる剣技だ。
気づいた時には攻撃を受けていたという、剣技だったのかもしれない。
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
俺の剣が風を切る音が聞こえる。
シ~~~~~~~~ン!!
辺りが静まりオバダリア侯爵が驚嘆した顔をし、ビッチェ王女が興奮したような大喜びと安堵した顔をしていた。
次はこれ佐々木小次郎がの剣技『燕返し』だ!!
刀を打ち下ろした後に燕の羽のように、刃を折り返して斬撃を繰り出す技だ。
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
俺は見せつけるように何度もそれを繰り返す。
次は東郷重位が開祖となる示現流の剣技『雲耀』だ。
『一の太刀を疑わず。二の太刀要らず』で、一刀に全てを掛ける必殺の剣技だ。
新撰組局長、近藤勇に「薩摩者と勝負する時には初太刀を外せ」と言わせしめるほどの剣技だったという。
『雲耀』と言う言葉は『雷』という意味で、それだけ早い剣技を繰り出すようだ。
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
俺は調子に乗り次々と技を繰り出す。
そして河上彦斎の『片手抜刀』だ。
別名「人斬り彦斎」が独自に編み出した剣技だ。
左足の膝が地面に着くほど後ろに伸ばし、右手で斬撃を繰り出す剣技だ。
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
更に桐野利秋の『桐野抜刀術』だ。
桐野の抜刀は『軒先から雨粒が地面に落ちるまで三度抜刀した』とされている。
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
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〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈 シュン!!シュン!!シュン!! 〉〉〉〉〉
俺が剣を振るうたびに剣圧で訓練場の砂が舞う。
面白くなってしまい、剣技をやり続ける。
「こんなのを相手にするのは無理だ…」
「そ、そうだ…」
「俺も嫌だ…」
「あんな大剣を正確に振り回されたら…」
「一合あわせた瞬間に剣が折られ、体が胴から離れているかもしれない…」
騎士団員達の声は波紋のように広がっていった。
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剣技に詳しい方、あくまでもフィクションですから突っ込まないでくださいね。




