第201話 道徳心
セトラー国に作った学校に通う子供達が随分と増えて来た。
住人を含めてアレン領から通いで炭鉱や鉱石掘りに来ている親が、働いている間に子供を学校に預けて行くようになったからだ。
預けていく親も自分達の稼ぎだけで生活できるようになり、子供を働かさなくても済むようになったこともある。
主に授業をしているのは妻のノエルさんだ。
妊娠しており、つわりもまだ続いているようだが、家に居て何もしないのは嫌だと言って子供達に勉強を教えている。
授業は主に数学や読み書きだ。
そして時々俺が参加して、化学などを教えている。
高学年にはアレン領から裁縫や木工加工の出来る人を雇い、職業訓練所みたいなことも始めている。
そして道徳の時間も大切な事業だ。
幼少の頃から生命や、善悪の判断などを学ぶことも大切だからだ。
しかし道徳の時間ほど退屈なものはない。
子供達が飽きない様に工夫が必要だった。
そこで思い付いたのが『紙芝居』だった。
この世界にはTVもネットも無い。
紙は貴重で子供向けの本なども無い。
娯楽が無いのだ。
絵で見せ話を聞かせることで子供達の興味を引き、自然と物語から教訓を得ることが出来る。
それが狙いだった。
物語の内容は俺が適当に『ふかし話』を書き、空いている時間にノエルさんや、俺の妻達が交代で読み聞かせをしている。
そしてもう1つ大切なことがある。
『紙芝居』といえば『ねり飴』だ。
砂糖と水で『ねり飴』を作り、割りばしに付けねりながら『紙芝居』を見る。
これこそ『紙芝居』のだいご味だ。
子供達もお話しの楽しさと飴がもらえるので、この道徳の時間は楽しみにしている子供が多い。
「エリアス様~、今日はなんのお話?」
「う~と、今日はね…」
昔々、あるところに子供のいない、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にでかけました。
おばあさんが洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと、流れてくるではありませんか。
「これはまあ大きな桃だこと。おじいさんと一緒に食べましょう」
おばあさんが家に桃を持ち帰ると、おじいさんは驚き仲良く2人で食べました。
するとどうでしょう。
翌朝、目覚めると2人の体は十代後半に若返っていました。
桃には不老長寿の効果があると言われる由縁でしょうか。
若返った2人は今まで以上に仕事に励み、夜も…励み…げっふん、げっふん、1年後には玉の様な男の子が産まれました。
玉の様な男の子のなので名前は金…もとい桃太郎と名付けられました。
男の子はすくすくと成長していきました。
近所の子供達と比べると一回り大きく育ち、近郊の村の若者達を束ねるようになりました。
そんなある日、桃太郎が言いました。
「お父さん、お母さん。私は鬼が島へ鬼退治に行こうと思います」
2人は桃太郎を止めましたが決意は固く揺らぎません。
仕方なく無事に戻ることを約束させ旅立ちます。
桃太郎は近郊の村の若者を集め、船を作り鬼が島を目指します。
島に上陸した桃太郎達は武器を構え進みます。
突然現れた桃太郎達に鬼達は対応できずに倒されて行きます。
そして鬼が島で1年を過ごしその後、桃太郎達は村に金銀財宝を持ち帰り村はとても豊かになりました。
あれから50年が経ち人類国際連合が設立されました。
鬼と呼ばれていた人々も今では人類と認識されています。
そして50年前の出来事を未だに問題視しています。
肌や目の色が違うと言うだけで、鬼と呼ばれ侵略され略奪をされたという言い分。
そしてもう1つ、困ったことがありました。
桃太郎達も男です。
島で過ごした1年の間に公娼を募りました。
※公娼:公に営業を許された娼婦。
しかしかの国は50年が過ぎた今でも何かにつけて、その問題を持ち出します。
桃太郎の村の言い分では報酬が支払われていたこと、斡旋業者を頼み新聞広告などで広く募集をしていたこと。
国家責任はないと村側は主張しましたが、戦時下での女性に対する重大な人権侵害として問題にします。
そして人類国際連合が設立されてから、村は賠償金を『償い金』としてかの国に支払っています。
しかしかの国は選挙がある度に、国内の不満が募る度に、何かある度に慰安婦問題を持ち出し政治の人気取りに利用しようとしています。
やった側は代を重ねると、いつかは忘れていく。
しかしやられた側は忘れない。
やられたことは子孫にも代々引き継がれる。
そしてこれからも、ゆすり、たかりのように、半島国家は同じことを村に求め続けるのだろうか?
教訓!!
見た目や肌の色で人を差別するのは止めよう!!
自分達と違う人とは、『お互い違っていいんだよ』という広い気持ちをもとう!!
いつも応援頂いてありがとうございます。
本編はフィクションであり、何の意図もありません。
次回は核戦争後の世界を描いた世紀末覇者、ラ王の物語。
ツルツル、シコシコで…なんて。




