第151話 出会い
昨日の夜は小人族の人達の歓迎会で、みんなたくさん食べて飲んだな。
そして俺はその時にいい機会だから話をした。
人も増えたのでこの機会に、みんなに開墾は任せると。
もちろん手伝うけどね。
みんなも分かっていたらしく、快く承諾してくれた。
これで産業に力を入れることができそうだ。
そして今、俺がいるのは開拓村を出たアスケルの森の中だ。
森の中を把握しておきたかった。
どこを行けば、どうなっているのか。
どこにでるのかだ。
そう言えば村に帰る前にレッドクラブを茹でておこうかな。
俺はストレージ内で『創生魔法』で横3m、縦2mくらいの大鍋を創った。
鉱石で鍋を載せる台を創り、その上に鍋を置いた。
生活魔法の火と水を使い熱湯を鍋にそそぐ。
そして開拓の時に収納した木材を出し、火の魔法で点火する。
これを5セット創った。
それから各鍋にレッドクラブを、3匹ずつストレージから出し入れていく。
レッドクラブが更に赤くなったら、茹で上がった証拠だ。
ストレージに収納し、さらに茹でていないレッドクラブを出し入れし、茹でるを繰り返す。
10匹くらい茹でたところで、もう十分なのでやめた。
レッドクラブを茹でたお湯をストレージで収納し、異物と出し汁を分けておいた。
これで後に野菜や蟹を入れたら、美味しい蟹汁の出来上がりだ。
その前に茹でた蟹の味見をするよ。
さあ今日も、eaクッキングの始まりだよ~!!
タラッタ、タタタ、タラッタ、タタタ、タタタ、タタタタッタンタタ
タッタタタッタ、タッタタタッタ、タッタタタッタ、タッタラタタラタンン
用意するのは、大きめの包丁(約1.5m)、大きめのまな板(約4m)、大きめのお皿(約3m)、大きめのキッチンバサミ(約1m)、大きめの先の細い割りばし(約1m)だよ。
は~い。
さばき方を教えるよ!
まずは少し大きめの4mのまな板の上で「ふんどし」と呼ばれる、お腹の三角の部分を用意した1.5mの包丁で切り取ろう!
「ふんどし」を切り取るとお腹と三角の部分の間に包丁が入る隙間があるよ。
そこにお腹の殻を割るように刃を入れよう!
刃が通ったら下側からお腹をめくるようにして甲羅から脚を外していこうね!
剥がしたお腹に詰まっている蟹味噌も、美味しくいただこう!
さあ、ここまではいいかな?
今度は付け根に付いた脚を、1mのキッチンバサミで切っていくよ。
脚が付いていた腹部は手で割ろうね。
5つの部屋に分かれているので、その部屋に沿って割っていくのがコツだよ。
そして1mの大きめの先の細い割りばしで穴を押すと、中から身が出てくるよ。
脚は関節の手前でキッチンバサミで切っていこう。
食べやすい様に事前に、ハサミで切れ目を入れておくのがコツだよ。
そして3mのお皿に載せよう。
さあ、みんなできたかな?
「おい、おまえはさっきから1人で、なにを言っているんだ?」
振り向くとそこに筋肉隆々で、豊かな髭を伸ばした3人の人が立っていた。
な、なんだ。
こんなところに人が?
は、恥ずかしい。
例えば夜道を歩いていて誰も居ないと思ってつい、独り言を言って振り向いたら真後ろに人が居た、みたいな恥ずかしさだ。
身長は130cmくらいの人達。
アルベルト長老達とは違う部族の小人族かな。
「アルベルトさん達とは違う部族の方ですか?」
「アルベルト?いったい誰だそいつは。俺達はレッドクラブの様子を見に来たのさ。それにお前はここで何をやっていた?」
3人の中で体格の良い男の人が前に出てきた。
「昨日、倒したレッドクラブを茹でていまして…」
「レッドクラブを倒しただと?!あんな硬い甲羅はどうにもならんだろ?」
それは弓矢だからですよ。
「お、親方。ちょっと見てください」
他の2人内の1人が4mある、まな板を指差している。
「おっ、これはレッドクラブ!いったいどうやって倒したのだ」
「あぁ、それですか」
俺はストレージから刀身が120cmはある、黒作大刀を出して見せた。
「な、なんだ。この刀は?!鬆が入っとらん」
マルコス親方と呼ばれた男は俺がストレージから黒作大刀を出したことより、ヒヒイロカネを混ぜたことで刀身が赤黒く光る黒作大刀を見て驚いている。
更に鍛冶屋のブルーノさんが作ってくれた時より、創生魔法で打ち直してる。
「よ、よく見せてくれ」
「いいですよ」
そう言って俺は黒作大刀を親方と呼ばれた人に渡した。
「ほう、これは凄い。う~ん。ふむふむ」
親方は見事な髭を指で絡めながら、他の2人と黒作大刀を見ている。
「この刀でレッドクラブの硬い甲羅を割り倒したのか?おい、坊主。この剣をどこで手に入れた」
「この剣ですか?俺が(魔法で)創りました」
「な、なんだと。お前が造っただと」
「はい、そうです」
「嘘を言うな、こんな鬆の入らない綺麗な鉱物は見たことがない」
「本当ですよ。石炭があれば木炭より高温になり、不純物の少ない鉄ができますよ」
「石炭というのか。それはどこにある?」
「俺が見つけた鉱山から採れますが、勝手に持っていかれても困りますね」
「それはそうだが、なぜ人族がこのアスケルの森にいるのだ」
「俺達は開拓をして村を作っています」
「なんだと。そんなことは信じられん」
「本当です。高い塀で村を囲み、小麦や大麦、野菜も作って生活しています。住民はダークエルフと、最近では小人族の方も仲間に加わりましたよ」
「何人いるんだ?」
「住民は60人くらいでしょうか。その内人族は俺を含めて6人です」
「残りの人数は亜種族という訳か」
「はい、そうです」
「お前の村に行けば、その石炭は手に入るのか?」
「えぇ、それに鉱山も見つけたので鉄、鋼、銀、銅、鉛も使い放題です」
「な、なんだと?!お前の村は鍛冶屋にとっては宝の山だ」
えぇ、鍛冶が出来ればですけど。
でも小人族の方には無理でしょ?
「俺達も住むとはできないか?」
「良いですよ。でもそれには働いて頂きます」
「それは尤もな話だ」
「では畑仕事をお願いしますね」
「畑仕事か!あまり得意ではないが仕方がない。だが鍛冶仕事もやらしてほしい」
えっ、ホビットは農耕が得意で鍛冶は出来ないのでは?
チャレンジしたい、てことかな。
いくつになっても、物事に挑戦するのは良いことだ。
「挑戦するのはいいことです。ですが本業は農業や畜産です。それを忘れないで頂ければ良いですよ」
「挑戦か、そうだな。農業は苦手だが、食べていくことが第一だからな」
「みなさんは何人くらいですか?」
「移住したいかこれからみんなに、聞いてみないと分からないな。それまでは人数は言えんな」
「そうですね。特に急いでいませんから、よく考えてください」
「わかった。戻ってみんなに聞いてみるよ」
「あぁ、そうだ。どうです、せっかくですから食べていきませんか?」
俺は包丁で切り分け食べやすい様に切れ目を入れた、レッドクラブの1mはある塩ゆでした脚を差し出した。
「これを食べると言うのか?」
「はい、そうです」
俺はそう言うと殻を割り、中の身を皿に出して食べてみせた。
「う~ん。美味しい!」
「本当に美味いのか?」
おそるおそる3人も手に取り食べる。
「う、旨い!」
「塩味が効いて美味しい」
「これで酒があればな」
あぁ、たしかホビットはお酒が好きだって言っていたよな。
「ブドウから造ったお酒ですが、それならありますよ」
「ほう、そんな酒があるのか」
「飲んでみたいな」
俺はストレージからグラスとワインを出し3人に勧めた。
「さぁ。飲みましょう!」
それから飲んで食べての宴会になった。
「これは口当たりが良い酒だな」
「強い酒も好きだが、これはさっぱりして美味しいぞ」
「女子供に受けそうな酒だな」
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。俺はエリアスです」
「俺はマルコス。親方と呼ばれている」
「俺はハルトム」
「俺はグレンだ」
「見ての通り俺達は…」
森で出会ったこの種族はいったい!
次回、真相が…。
(もうわかってるて?)
読んで頂いてありがとうございます。
創るについて。
エリアスが『創生魔法』で作ったものは、あえて『創る』と記載しております。




