第148話 血塗られた黒い悪魔
小人族のアルベルト長老が俺達を紹介し、移住の話を説明している。
「あの緑竜を、倒されたのもエリアス様だそうだ」
「あの緑竜を倒したのか?それならレッドクラブを倒せるのも納得できるよ」
住民の1人が言い始める。
聞くと小人族は27人中14人が夫婦で子供が8人。
そして独身者がアルベルト長老、ガエタンさん、ランスさん、ウーログさん、ギゼラさんの5人だ。
可哀そうに、あぶれたんだね。
住民も移住の準備ができたようだ。
荷物は俺のストレージに収納した。
そして俺達と小人族27人は森の中を鉱山に向かっている。
小人族の人達は目が良いらしく、弓が上手いと自慢していた。
身長は大人で120㎝くらい、子供だとさらに低い。
まるで園児を引率しているようだ。
そして身長が低いから歩く歩幅も短く、俺達が彼らに合わせて歩いている。
そしてやっと鉱山に着いた。
俺はストレージから蒸気機関車と客車を出した。
〈〈〈〈〈 ドン、ドン!! 〉〉〉〉〉
全員が軽く2回ジャンプした。
この小ネタも浸透しつつある。
「では後ろの客車に乗りましょう」
俺と小人族27人は客車に乗った。
「では行きますぜ」
イーヴァインさんがそう言うと汽笛を鳴らした。
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
蒸気機関車は走り出す。
「はやい、早いよお母さん」
「そうね、まるで空を飛んでいるみたいね」
小人族達は子供の様に好奇心旺盛で、窓から顔を出して喜んでいる。
「みなさん、窓から顔を出すと危険ですから、やめてください」
エリアスがいくら言っても聞いてもらえない。
後日エリアスは、小人族達に手こずった経験を子育てに生かしていく。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
蒸気機関車は小人族を乗せ、開拓村に向かっている。
すると前からサーベルウルフの群れが向かってきた。
以前よりこの場所を通ると追ってきたが、追い付けず振り切っていた。
追いかけるのではなく、正面から向かえば良いことにやっと気づいたようだ。
「サーベルウルフが向かってくるぞ!」
「汽笛を鳴らせ、アルガス!」
「はい!ディオ様」
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
「だ、駄目だディオ様。やつら汽笛の音にもビビらねえ」
「仕方がない。アルガス、マイクでみんなに知らせるのだ」
そう言われアルガスはマイクを手に取りマイクに向かって話しだす。
「あ、あ、あ~。テス、テス、テス。只今マイクのテスト中!!」
「な、なにを言っているんだ」
「こ、これはエリアス様が、マイクを使う時のお約束だって言うからだよ」
「なんだ、その『お約束』て、言うのは」
「わ、わかりません。だがやらないと」
「さっさと放送をしろ!」
「わかりました!!」
アルガスは壁に据え付けてある木琴を叩く。
『ピンポンパンポ~ン。乗客のみなさまにお伝え致します。これより本機はサーベルウルフの群れと戦闘に入ります。窓を閉め席に座りシートベルトをお締めください。ピ~ンポンパンポ~ン』
「なあ、これって意味があるのか?」
「俺に聞くな、アルガス」
一緒に居るセサルはにべもなく答える。
サーベルウルフはもうすぐ目の前に迫る。
「両翼を出せ。アルガス、セサル!!」
「「 おう!! 」」
アルガス、セサルは左右にある壁のレバーを引く。
〈〈〈〈〈 ガシャ~ン!! 〉〉〉〉〉
すると両サイドに取り付けてあった1mの刃が水平に降りる。
蒸気機関車、石炭と水を積む炭水車、客車を合わせると全長40m。
15cm間隔で刃は取り付けてあり、片側だけで240本出ていることになる。
「行くぞ~~!」
サーベルウルフの群れに突っ込む!
「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」
「ドン!」「ドン!」「ドン!」「ドン!」「ドン!」
「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」「ズシャ!」
正面からくるサーベルウルフは、先端に付けた突起に体当たりされ吹き飛ぶ!!
左右に逃げれば240本の刃に切り刻まれる。
客車の窓からはサーベルウルフの血が舞い吹き飛ぶのが見える。
「お母さん、すご~い!」
「見ては駄目よ」
さっきまで、はしゃいでいた親子が驚いている。
「こんな凄い戦闘力がある物を創れるなんてエリアス様は凄い」
群れを一瞬で通り抜け、サーベルウルフの群れは消えていく。
黒い車体に赤い血がべったりと付き気味が悪い。
「あれは、なんだ?」
「サーベルウルフの群れが一瞬で全滅なんて…」
「あ、あれはヤバい。Bloody black devilだ」
汽笛の大きな音を聞き、駆け付けたそれぞれの異種族が言う。
「小人族が腹の中に、居るのが見えたぞ」
「く、食われたのか?」
「で、このサーベルウルフは、どうするんだ?」
「倒した奴が要らないみたいだから、俺達で拾って良いんじゃないか?」
「サーベルウルフの肉は不味いが、贅沢は言ってられないからな」
「毛皮は助かるな」
森に暮らすそれぞれの種族は、争うことなく必要な分を分け合った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「「「 これは、なんですか!エリアス君 」」」
血まみれになった蒸気機関車で、開拓村に戻るとアリッサさんに怒られた。
「外で洗ってきてから、中に入ってください!!」
そう言われ俺達は開拓村から一旦出た。
ストレージ内でデッキブラシを20本近く創り、俺は生活魔法の水を出しながらディオさん達や小人族に手伝ってもらい蒸気機関車を洗った。
しかし戦闘の後に毎回これでは大変だな。
そう言えば小さい時にTVで見た、ヒーロー物の戦闘ロボットもリアルにやれば、戦いの後は番組の最後に洗うところで終わるのかもしれないな?
さ、錆びちゃう!油ちょうだい、なんて言いながら。
戦闘の度に壊される建物の、賠償金はどうするんだろう?
怪獣保険とかあったりして。
何事も楽しく前向きに考えるエリアスであった。




