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第145話 遭遇

 シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

     シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ


    〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉


  C61(シロクイチ)の物凄い大きな汽笛が辺りに鳴り響く。


 ディオさん達には、汽笛を頻繁に鳴らし走る様に伝えてある。

 汽笛は蒸気の噴出を利用して、周りに存在を知らせるための音だ。

 だがこの森で頻繫に鳴らすのは警報音と威嚇としてだ。


 聞いたことのない大きな音は、弱い魔物や魔獣を怯えさせその場から離れさせた。

 逆に縄張り意識が強く怯えないものは姿を現す。


 そう後ろから追ってくるサーベルウルフの様に。



 俺は客車の後ろに移動し、外を見ていた。

 するとサーベルウルフの群れが、ワラワラと森から出てきた。


 縄張りを冒されたと思ったのが、機関車の後ろを着いてくる。


「ハア、ハア、ハア、ハア」

   「ハア、ハア、ハア、ハア」

  「ハア、ハア、ハア、ハア」

「ハア、ハア、ハア、ハア」

    「ハア、ハア、ハア、ハア」

「ハア、ハア、ハア、ハア」



「ハア、ハア、ハア、ハア」

   「ハア、ハア、ハア、ハア」



     「ハア、ハア、ハア、ハア」

         「ハア、ハア、ハア、ハア」

              「ハア、ハア、ハア、ハア」



                    「ハア、ハア、ハア、ハア」

                        「ハア、ハア、ハア、ハア」


 

                           「ハア、ハア」

                               「ハア、ハア」


 

サーベルウルフは段々と距離が開き、どんどん離れていった。

機関車は60km/hで走っている。

サーベルウルフの走る速度は45~56k/mくらいか。


瞬間最高速度は早くても、その速度を維持し進むのは違うからね。

これから森の中で走る時は、60k/mくらいで十分かもしれないな。




そこから更に15分くらい走ると鉱山だ。

そしてそのまま進み丁度、鉱山から回り込むように線路を引いており、分岐器から元の線路に戻りセトラー領に帰って行く。




  〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 

「おい、見たか?」

「あぁ、見た」

「あれは、なんだ?」

「わからねえ」


 草むらの中から、2つの顔が出る。


「と、とにかくみんなに知らせるんだ」




 はあ、はあ、はあ、はあ、

    はあ、はあ、はあ、はあ、


 しばらく走ると簡素な塀で囲まれた場所に出る。


「お~い、大変だ!」

「ランスにウーログじゃないか、どうしたんだ。そんなに慌てて」

「ガエタン、魔物だ。黒い魔物が出た」

「黒い魔物?」

「森に食い物を探しに行ったら、突然大きな音がしたんだ」

「大きな音だと?!」

「ブォ~!!て、物凄く大きな音だったよなランス」

「あぁ、奴が現れると辺りが突然、霧に覆われて黒くて大きな物が現れたんだ」

「な、なんだと。大変だ、長老に知らせないと。お前達も一緒に来い」



 ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

    ダッ、ダッ、ダッ、ダッ


 塀の中は簡素な家が多数あり、他の家より作りがしっかりとした家の前に来た。

「長老、アルベルト長老、大変だ!開けてくれ」

「なんだ、騒がしいぞ。ガエタン」

 戸が開き中から60代後半の男が出てきた。

「大変だ、新しい巨大な魔物が出たらしい。ランスとウーログが見たんだ」

「なんだと、それは本当か!こちらへ来い、中で話そう」


 3人は家の中に入った。


「詳しく話せ。ランス、ウーログ」

 ランスとウーログは、森に行った時の出来事を話した。


「そんなに巨大な魔獣か!しばらく前から緑竜(グリーンドラゴン)が姿を見せなくなり、平和になったと思っていたが…」

「また怯える日々が続くんですかね、アルベルト長老」

「それは分からん。明日から見張ってくれ。そして現れたら知らせるんだ」

「分かりました、長老。明日からその巨大な魔獣を見たことがある、ランスとウーログに見張らせますから」

「頼んだぞ、2人共」


 そしてこれが彼らの運命を大きく変える、出会いになるとは誰も思わなかった。


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 蒸気機関車の運転にディオさん達が慣れるまで俺は毎日、運転の練習に付き合っている。

 そして交代で運転して、全員に覚えてもらおうと思う。


 俺達は炭鉱そして鉱山から、セトラー領へ戻るルートを走っている。

 炭鉱で一度降りストレージで石炭を掘り、鉱山へ行きストレージで鉱物を掘る。

 石炭や鉱物が売れたら人を雇い、人力で掘り起こしていこう。

 俺が1人でストレージで掘るなら機関車は必要ないからね。



 鉱山で鉱物を掘り機関車に戻ると、何やら大きな声がした。


「「 調教師と話をさせてくれ! 」」

 

 よく見ると手に弓矢を持った、身長120cmくらいの人達が5人いた。

 これが噂に聞く山小人(ドワーフ)か!

 こんなに早く出会えるとは。

 それにしても現実は違うな。

 ファンタジーだと山小人(ドワーフ)は屈強で、男性は髭のイメージがあるが。

 彼らは少し耳が尖っているくらいで人と変わらない。

 身長が低いので小学生の子供の様に見える。



「どうしたのですか、ディオさん」

「エリアス様、突然こいつらが現れ調教師に会わせろと言い始めて」

 すると5人の内の1人が前に出て話始める。

「俺達は抵抗しない、従おう。だから条件を言ってくれ」


 何を言っているんだ?

 俺は前に出て、その男に話しかける。



「俺はエリアスです。言っている意味が分かりませんが」

「俺の名はアルベルトだ。この近くに集落があり、そこを治めている」

「その方が俺達になんの様でしょうか」

「俺達はこの森に棲んでおり、以前は緑竜(グリーンドラゴン)に怯えながら暮らしていた。そしていつの間にか緑竜(グリーンドラゴン)が居なくなったと思ったら、こんどは黒い魔物だ」

「黒い魔物?あぁ、この蒸気機関車のことでしょうか」

「蒸気機関車?この黒い魔物の名前なのか」

「これは魔物ではありません。鉄でできた作り物です」

「作り物だと!こんな巨大な物がか?!」


「嘘だと思うなら、こちらに来て触って見てください」

「う、そうだな」

 アルベルトさんが機関車の側にやってくる。

「アルベルト長老!」

「大丈夫だ、心配するな」


 他の4人が今生の別れのような顔をしている。

 見ているこちらは吹き出しそうになるのを必死に堪えた。


 たしかに蒸気機関車は煙突からたくさんの黒い煙を吐き、その後ろにある蒸気貯めから蒸気の量を調整するために白い蒸気が出て走っている。

 蒸気機関車という概念がなければ、霧の中から現れる魔物に見えるかもしれない。


「触ってみてください」

 恐る恐るアルベルトさんが機関車に手を伸ばす。


「おぉ、確かに作り物だ。だがこの蒸気機関車は何をするものなのだ?」

「物を運ぶ乗り物ですよ」

「物を運ぶだと?だが何も積んでいないではないか?」

 今はね。


「今は積んでいません。ですがいずれそうなる為に、動かす練習をしていたのです」

「動かす練習とな、お前達は何をしたいのだ」

「俺達は炭鉱と鉱山を見つけました。そこから人を使い掘り出し、蒸気機関車でそれをアレンの街まで運び売るのです」

「鉱山だと、確かにこの森は鉱物が豊富だが。人族も鉱物を欲するのか」

「えぇ、鉱物を使い生活用品を作れば生活は楽になりますから」

「生活用品を作るだと?武器ではなくか」

「はい、鉱物でこんな物を作ろうと思っています」


 俺はそう言うとストレージから、鍋、人力車、自転車、キックボード、農機具を出しそれぞれ用途を説明した。

 アルベルトさんはストレージから出したことに驚いていたようだが。


 説明を聞きながらアルベルトさんは頷いていた。


「どうですか」

「あぁ、他の物は必要に感じないが農機具は良いな。我々も開墾をしているからな」

「それなら、造ってみませんか?」

「造るだと。それは無理だな」

「どうしてでしょうか?」


「我々には鍛冶技術はないんだよ」


 アルベルトさんは寂しそうな顔をして言う。


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読んで頂いてありがとうございます。
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― 新着の感想 ―
切実に願う!設定集!! 【疑問点】セトラー領はどこにあるの? 開拓村の名称なのかな?
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