第141話 夢は尽きない
俺はアバンス商会にいる。
そう言えばアイザックさん、大司教ヨハネス様、アバンス商会のアルバンさんと話すのも久しぶりかもしれない。
開拓村に住むようになってから、色々忙しかったりしたからね。
『マヨネーズ』、『味元』、『醤油』、『醤油タレ』、『ソース』は、シャルエル教が人を集めエリアス商会に人材を派遣してもらい作っている。
リヤカー、農機具、キックボードはシャルエル教で、鍛冶、木工職人を集めて作りエリアス商会が買い取っている。
そしてこれからは自転車、三輪自転車、台所用品のフライパン・鍋・やかんなども作っていく。
商業ギルドとアバンス商会は、その商品を販売網を駆使しそれを売りさばく。
アバンス商会に全部任せてもいいが、商業ギルドの販売網には及ばない。
「では今日ここに来た、本来の目的をお話ししましょう」
「「「 本来のですか? 」」」
アルバンさん以外のアイザックさん、大司教ヨハネス様は驚いた顔をしている。
なぜなら今まで話していたことが、今回の目的だと思ったのだろう。
俺はストレージから開拓村と、アレン領のジオラマを床に出した。
アイザックさんやヨハネス様は、アルバンさんから話を聞いているようだ。
蒸気機関車という車を走らせ10tの重さの荷物を、開拓村からアレン領まで30分で運べること。
そして鉱物や石炭の話。
鉱物がたくさん発掘できれば値段も安くなり、加工品は身近なものになる事を。
「まずは開拓村とアレン領を鉄道で結びます。いずれはこの国、全土へ伸ばすことになるでしょうけど」
「この国、全土ですか」
「えぇ、他の領主もきっと欲しがりますから。鉄道をアレン領から王都まで引けば、馬車で6日かかるところを2時間で着きますからね」
「「 2時間ですか!! 」」
「人も荷物も載せられ、流通が飛躍的に進歩しますよ」
「今までなら鮮度が持たないものでも、短時間で運べるなら商売になりますな」
アイザックさんも乗り気だ。
「蒸気機関車を停める駅は、城門の内側に創ってきましたから」
「もうですか。ではエリアス会長。公爵様の許可がおりたのですね」
「えぇ、蒸気機関車が通ることでこの領も潤いますから」
「それはよかった」
「ただ残念なのはこの場所まで、鉄道が引けないことです。蒸気機関車の横幅は約3m、高さ4m、長さは20mくらいあります。今ある道に線路を引いたら人や馬車が通れません。建物を買収し別の道を新たに作り、鉄道を引かないとここまでこれないのですよアルバンさん」
「そうですか、それは余りにも難しそうですね」
「そのため、セトラー領から蒸気機関車で石炭、鉱物を運んできた時に保管する場所が必要になります。できればここまで運ぶのではなく、城門近くに土地を買い大きな倉庫を作りそこに降ろしたいものです」
「それであればお任せください、エリアス会長。私達3人が居れば今ではこの街では、大概のことは出来ますから」
大概のことは?
ボスか?
闇のボス3人衆なのか?
「あ、そうなのですか。余り手荒なことはしないでくださいね」
「分かっております。どちらに倉庫があればいいでしょうか?」
「そうですね、出来ればここら辺に…」
倉庫があれば良いと思う場所と面積をアルバンさんに伝えておいた。
いったいどうするんだろうか?
「しかしエリアス様、蒸気機関車というのは物々しいですな」
「どんなところがでしょうか、ヨハネス様」
「まず側面です。槍の刃の様なものが、横並びにたくさん出ていますが」
「はい、これは魔物や盗賊団撃退用の槍です。アスケルの森は凶暴な魔獣や魔物も多く、そしてこれから鉱物や石炭がお金になると分かったら、盗賊も出るかもしれません。だから武器を付けたのです」
「それは最もなお話しですな」
「貨物の側面には約1mの大型の刃が、普段は縦に収納されています。そして走る時は真横に降ろします。蒸気機関車は走っているので横からくる敵は切り裂かれ、正面からは先端を大きく尖らせた突起をつけ体当たりで粉砕します」
「おぉ、それはなんと壮観な、そんな大型の物を襲うとも思えませんが」
「用心に越したことはありませんから。保管する場所が確保できたら教えてください。私が更地にしてますから。それができてから蒸気機関車は運行します」
「城壁を切取り、駅を作ったあの魔法ですね。庶民の間で噂になっております。私も見てみたいものです」
「あはは、そうですか。線路を引いたら、作業員が必要になります。蒸気機関車で運んできた鉱物や石炭を降ろす仕事です。ヨハネス様はそれまでに人材を。アルバンさんは商業ギルドや鍛冶ギルドに買い取ってもらえるように手はずを。アイザックさんは一般の人にも、石炭を木炭代わりに使ってもらえるように店頭販売してください」
「「「 わかりました!! 」」」
「では早急に保管場所になる土地の交渉をしませんと」
まだまだ夢は尽きることが無い。
始まったばかりだ。




