第124話 ダークエルフと生態系
俺達夫婦4人は『なごみ亭』で夕食を採っている。
「なあエリアス。今日はどこに行っていたのだ?」
オルガさんが聞いてくる。
「アスケルの森を開拓してました」
「開拓ですって?!」
ノエルさんが驚いて、聞いてくる。
「ノエル、エリアスはこう言うやつだ。目を離すと何をするかわからないからな」
オルガさん、その言い方はないでしょう。
「そう言えばドゥメルグ公爵の所に行ったときに、そんなことを言っていたな」
「ええオルガさん、善は急げと言いまして…」
「なんだ、それは」
「良いと思ったことは、ためらわずに実行するべきだということ…「そんな事ではない!なにを勝手なことをやっているのか、と聞いているんだよ」
なにか最近、オルガさんは母親みたいに口うるさくなってきたな。
「みんな忙しそうだから」
俺だけ暇だから、とはさすがに言えない。
ああぁ、そうだ。
聞きたいことがあったんだ。
「アリッサさん。緑竜の素材は、冒険者ギルドで買い取れますか?」
「 え?! 」
みんなが驚いた声を上げる。
「な、なにを言っているのかな~、エリアス君は?」
アリッサさんの目が怖いぞ!
実は…と開拓村で俺は闇妖精を救い、緑竜を倒したことを話した。
するとみんなとても驚いていた。
「買取出来るわよ、エリアス君」
「商業ギルドでも鱗などの状態なら買取れます」
アリッサさんが答えれば、ノエルさんも負けずに答える。
そういえばアリッサさんは冒険者ギルド、ノエルさんは商業ギルドの出身だ。
2大ギルドの対決だ!バチ、バチ、バチ、バチ、火花が飛び散る!!
「な、わけないでしょう?なにを解説しているのかしら?」
アリッサさんに怒られてしまった。
なぜか俺の頭の中の考えを読み取ることが出来る嫁達だった。
エリアスは知らなかった。
【メンタルスキル】高速思考のおかげで、物事を瞬時に考えられるスキルがある。
しかし絶えず人は物事を考えている。
そのため、頭が疲れ無意識に独り言が多くなるのを、自分では分からなかった。
「美味しいのかな?」
「 え?!! 」
「エリアス君。今、なんと言ったの?」
「アリッサさん、ドラゴンの肉と言えば、美味しいと相場が決まっているので…」
「ドラゴンの肉なんて市場に出回らないわ。だから誰も食べたことがないの」
「じゃあ、焼き肉大会でもやりますか」
「な、なにを言っているの?ドラゴンよ、ドラゴン!!馬鹿なのかしら?」
そう言われ俺はアリッサさんに、両手の親指を口に入れられ広げられえる。
さあ、学級文庫と言ってみなさい!言いなさい!そう言われているようだった。
「そう言うがアリッサ。ドラゴンなんて買取に出したら大変だろう?」
「そんなことをしたら大騒ぎよ、オルガ。普通はドラゴンなんて倒せないから」
「価値があるのは鱗、皮膚、骨、肉です。血は不老不死になると言われています」
ノエルさんが解説してくれる。
アリッサさんに、両手の親指を口から抜いてもらった俺は答える。
「でも血だけ抜き取っても、ドラゴンの血だなんて分からないよね?」
「えぇ、そうです。エリアス様」
「では肉や骨、血は本体がそのままあって、初めて価値があるてことですね」
「そういうことになりますね。言葉だけではなく、目で見てからではないと信じてもらえないかもしれません」
「そうか、それならストレージの中に閉まっておこうかな」
「それがいい、いつか必要になる時が来るかもしれないからな」
「そうですねオルガさん」
「でも村も見たいな。明日、村をみんなで見に行こうか」
「いいですね、行きましょう」
翌朝、俺達4人は開拓村に向かった。
ノエルさんは事務系なので心配したが、思った以上に体力があり付いてこれた。
なにをやらせているんだ?
するとオルガさんとアリッサさんが、何かを言っていた。
『恐るべし、強者』
開拓村の前に着いた。
すると門の前に人がいるのが見えた。
先日のディオというダークエルフだった。
他にも5人いて5人中3人は前日、見た顔だった。
「エリアス様。先日はありがとうございました。長老を連れてお礼に参りました」
「そんなことはいいのに。ここではなんだから、俺の屋敷に案内します」
「ディオ様。人間相手に下手に出ることなんてありませんよ」
「なにを言うんだ、アルガス。おまえは実際に見ていなかったから言えるのだ」
アルガスと呼ばれたダークエルフが不満そうな顔をして言う。
「しかも何日待ったと思っているんだ?こんな奴が緑竜を倒せるわけがない」
「では魔法で吹き飛んだ山脈をどう説明するのだ?」
「うぅ…、それは…」
待っててくれたんだ。
それは悪いことをしたな。
「さあ、中へどうぞ」
俺達はダークエルフ5人と城壁の中に入った。
「へ~、よくここまで、やったなエリアス」
開墾した畑と屋敷を見て、オルガさんはそう言った。
「エルフ、猫族、人族なんて面白い組み合わせだな」
アルガスと呼ばれたダークエルフは更に言う。
エルフ?ノエルさんが首をかしげる。
そう言えばノエルさんには、アリッサさんのことは言ってなかったな。
「こんな女を引き連れた人族の男が、我々が相手にできなかったドラゴンを倒せるわけがない」
「失礼もいい加減にしろ、アルガス」
「しかしディオ様」
俺は面倒になり、仕方がないので村の空いている場所に緑竜を出した。
〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉
俺は無意識に軽く、ジャンプした。
ダークエルフの人達もつられた様に、軽くジャンプしてみんな驚いている。
「初めて緑竜を見た」
「上顎から吹き飛んでいる」
「うげ~、グロイ」
みんなそれぞれ感想を言っている。
これで信じてもらえますかな。
「ディオ様。これはいったい」
「だから言っただろう、アルガス。これをよく見てみろ」
アルガスと言われたダークエルフは、緑竜を見て黙ってしまった。
それから俺たちは屋敷に向かい一階の客間に集まった。
それぞれ席に座ってもらい、リンゴでジュースを作り振舞った。
「「「 美味しい 」」」
「先日から高い塀の建物が、出来たのは知っていたがこれほどとは」
「エリアス様。こちらは我が部族長カーティス様です」
ディオさんは紹介を始めた。
アルガスと言われたダークエルフを含めた4人が戦士で護衛だと。
「昨日は我が部族のものが世話になりました。言葉にも出来ないほどです」
部族長カーティスさんの話を聞くと最近、ウサギ、イノシシ、熊系など肉が食べれる魔物の数が極端に減ったという。
生態系が壊れた?
そして魔物たちは共食いを始め、数が減ったそうだ。
大型の魔物ほど食料がなく、飢えから狂暴化して村を襲うようになったという。
ドキッ!!
俺のストレージの中には、その食べれる魔物がたくさん収納されている。
犯人は俺?




